2007/04/09

政治的に(ぎりぎり)正しいメディア・アート

 選挙期間が終わるまでは怖くて(自分も含めて)誰も言い出せなかったのかもしれないが、今回の都知事選で何が面白かったといって、それは「選挙」というものを素材にした、見事な国際的メディア・アートが登場したことであった。そう、「外山恒一の政見放送」である。ここには、ニコニコ動画にアップされたものを転載した、最もサウンド・エフェクトの秀逸なものを1つ貼っておいた。ほかにも、YouTubeで「外山恒一」と検索すれば、さまざまなエフェクトを施された秀逸な動画が無数に視聴できる。

 「メディア・アート」の定義については、このブログの2004年11月の記事でも取り上げているし、あるいは東京芸大の藤幡氏のインタビューを読んでもらえれば良い。狭い意味では、「我々を取り巻く新しいメディアやテクノロジーと、我々自身との関わりを意識化しようとする表現の試み」とでも定義すれば良いのではないか。海外ではそこに「社会批判的メッセージが込められていること」という条件が付くようだが、その定義をすべて適用しても、これは完璧な「メディア・アート」であるとしか言いようがない。

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2004/11/05

メディア・アートとは何か-「ART WIRED」イベントレビュー

 「メディア・アートとは何か?」という問いは、二重の意味で難問である。「アートとは何か」という、素朴だが非常に難しい問いの上に、「メディア」という言葉が引き起こす意味の限定・拡張が行われる。そしてその答えは、どんどんファイン・アートの定義からかけ離れ、ずれていってしまう。

 10月29日(金)、多摩美術大学上野毛キャンパスで行われた『ART WIRED-アートとテクノロジーが可能にする表現の最先端』という講演を見に行ってきた。この講演はリンク先を見てもらえば分かるが、アジア欧州財団(ASEF)という文化交流団体と、東京で現代アートのネットワーク・人材育成を進めるNPO「アーツ・イニシアティブ・トウキョウ(AIT)」の共催した、アーティストキャンプの一環として行われたものだ。

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