書評『グーグルに勝つ広告モデル』
最近、久しぶりにテレビや新聞、雑誌などマスメディア各方面の関係者の集まる席に顔を出す機会があったのだが、なんだかそこで話を聞いていると、僕がメディア業界を離れてからまだ3年ばかりしか経っていないのに、マスメディアの内部というのはかなりひどい勢いで人材の劣化が進んでいるんだなあと思わされる話ばかりだった。出席している人たちはそういう業界動向からやや距離を置いていたり、既に引退されたりしている人が多かったのだが、僕よりもかなり前に引退された方にとっては、そこで関係者から次々報告されるエピソードや結構な地位の責任者の仰天発言などに、目を白黒させて「信じられない」といったふうだったので、まあ信じられない事態が進行中なのだろう。
そういう最近のマスコミの絶望的な雰囲気に当てられてからこの本、『グーグルに勝つ広告モデル』を読むと、何という天使のような優しきオプティミズムに立った本だろうと感動する。皮肉で言っているのではなく、心からそう思う。帯には「消費者がわからない、モノが売れないと悩む人、広告・マスコミ関係者必読!」とあるが、ひたすら「あっち(ネット)側」の世界の知についてのオプティミズムを語る梅田本などより、それなりの責任ある地位にいるマスコミ人の方々には、帯のとおりむしろこちらの本をこそ熟読してもらいたいと強く思う次第だ。これを読んでまだ何か動き出さなければと思わないマスコミ人がいるとすれば、正直そういうマスコミ人にはマスコミに居る意味などないとすら思う。
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