2005/09/09

ACCESSがPalmSourceを買収

 NIKKEI.NETのトップに出てた。気になるお値段は358億円。びっくりあんぐり。500億円のCBはこのための調達だったのね。ていうかあんな将来のないテクノロジーの会社買って、どうするんだACCESS。米国市場の携帯向けOSに進出するための橋頭堡にでもするつもりなのか?

 奥一穂君とかDude-sanあたりにこの件についてぜひコメントしてもらいたい。よろしくお願いします。あと、変則的三角合併のモデルケースとしても面白いかも。磯崎先生、ぜひ分析を。(笑)

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2005/02/22

ソニーはCLIEでなぜ失敗したか

 とりあえず過去記事をはっとく。サルベージはまた今度。
ソニーはCLIEでなぜ失敗したか(June 03, 2004)
あいまいでスマートなニッポンの携帯(December 08, 2004)

08:38 午後 携帯・デジカメ コメント (4) トラックバック (2)

2004/12/08

あいまいでスマートなニッポンの携帯

 スマートフォンについてのふにゃらけた論旨のエントリに、早速奥さんとmgkillerさんからTBをもらった。答え書かなきゃ~と思ってるうちに切込ブログにレスしてたりいろいろと忙しかったので、応酬エントリが遅れてしまった。

 この議論のそもそもの始まりとなった三田隆治's Blogのエントリなども読みつつ、つらつらと考えていて思ったこと。まとまらないかもしれないが「遅くて良い記事より早い記事」の鉄則に従い、突っ込んでおこう。

 三田氏のブログで指摘されているのは、通信端末の内外格差の根本原因が「国内ではインセンティブで3万円台で入手できるケータイも、海外に持っていけば、そんな多額のインセンティブを付けることは難しいから、結果的に6万円以上とか、そういう値段になってしまう」という点にあることだ。だから日本の端末メーカーには、北米や欧州などの海外市場で死にものぐるいで戦うモチベーションがどうしてもなくなってしまう。

 ま、これは少々古い話でもあって、実際のところそんなことは各社とも重々承知していて、mgkillerさんのエントリで指摘されているように「実際FOMAを販売するメーカー同士が協業の名の下にコスト削減に走っている」のが実態である。つまりドコモ向けの端末は徹底省力化して、その開発余力を北米や欧州市場での競争力向上に回そうという戦略。日本の電機メーカーも、ただのバカではありません。その意味で三田氏の指摘は、むしろもう解決されつつある問題かもしれない。

 本当の問題はここからだ。だいたいデジタル家電製品というのは、同じルールで競争しさえすれば、日本の消費者の方が数段品質・機能とも高い商品を要求するので、自動的に日本市場向け商品が世界のハイエンドの水準になるはずだ。例えば、デジタルカメラなどは日本市場向けに先行発売される機種が世界のカメラヲタクの垂涎の的になっていて、日本のデジカメ情報サイトは海外のマニアによって日々ウォッチされている。

 ところが通信端末分野に限ってはこの法則が成り立たない。日本市場と海外市場の競争ルールがまったく違うからだ。普通に端末価格だけで見た場合、無線通信機能の搭載されている携帯電話は、(Palmなどシステム標準化が進んだ)PDAに比べて割高だったため、欧米市場では「PDAの付加機能に無線通信を加える」というかたちで進化の主軸が作られた。

 これに対して日本ではキャリアのインセンティブによって「携帯<PDA」という端末価格が常識になってしまったため、無線通信機能のある電子機器のほうが先に爆発的に普及してしまい、インセンティブによるディスカウントのないPDAなどに、今さら誰も見向きもしなくなってしまった。

 だからこの「端末にインセンティブを払う代わりに特定キャリアに顧客を一定期間以上縛り付ける」ことを条件とするビジネスモデルを一気にぶっ壊さない限り、端末の仕様のイニシアチブをメーカーでなくキャリアが持つという日本市場の特性をなくすことはできないと、僕は思う。市場の拡大期ならまだしも、成熟期に自分でR&Dのイニシアチブを持てないビジネスの将来を誰が期待するだろう?というわけで、端末メーカーに丁重にだがじわじわと間を置かれつつあるドコモが苦況に陥るのも、ある意味では当たり前なのである。

 とはいえ、今からインセンティブを全廃して端末の販売価格を倍近く引き上げれば、市場の絶対的なシュリンクを招くのは火を見るより明らかだ。ナンバーポータブル制が導入されて、特定キャリアに顧客を一定期間縛り付けることができなくなったとしても、端末価格値上げだけは回避したい。とすればキャリアはどこにビジネスモデルの活路を見いだすべきか?

 それに対する夏野氏の回答が、恐らく「Felica」なのだろう。ありていに言えばドコモ(とソニー)が目指しているのは「全国民の電子財布に“ショバ代”をかけること」だ。このビジネスモデルが秀逸なのは、ショバ代を巻き上げられるのが自社の携帯電話端末にとどまらないということだ。他社の携帯、あるいはまったく違う形をした電子財布も、Felicaチップを搭載していればライセンス料を巻き上げられる。

 他社の商品からも薄く広く「税金」をすくい取って自社携帯電話の販売インセンティブに回せれば、そりゃ負けるわけがない(笑)。で、たぶんそれが実現する頃には、iアプリの仕様オープン化などいつでもOKということになっているのだろう。

 奥さんの反論エントリで指摘されているiアプリのジレンマも、お客がぶちきれない程度のゆっくりさでちまちまと「仕様追加」していけば、上記の理由で遅かれ早かれ問題にならなくなってしまうと夏野氏は見ているのではないか。

 だから、ドコモを倒す方法があるとすれば、携帯でできることを急激に広げて(jigブラウザのように)ドコモの想定以上のことをやってしまうiアプリを投入する一方で、Felicaをデファクトにしないよう、非Felica系ポイントシステムのあらゆる抵抗勢力を結集するみたいなことをやればいいんじゃないのかしら。と思うわけだ。

 …と、ここまで語ってみたものの、なんかスマートフォンの普及の話に持っていけないのよね(笑)。結局スマートフォンがPDAから進化したデバイスである以上、日本ではどうしても技術的可能性以前に「ユーザー(市場)に受け容れられない」という、厚い壁にブチ当たってしまう。だから、いつまで議論してもマーケティング戦略の話に至らない。

 それに、12月に発売されたSH901iCなんか見ると、シャープがザウルスのノウハウを全部つぎ込んで、miniSD経由でOfficeやPDFのドキュメント開けたり、ピンクのクマが出てきたり、テレビ録画機能までついてるという、もはや下手なPDA真っ青の高機能てんこ盛りだ。これではスマートフォンとか威張ってみても、日本人に「高機能ケータイにフルキーボードつけただけのごっつい端末でしょ?」と笑われてもしょうがないよな。

 僕としては、今の901iCのスケジューラにPCのスケジューラとのHotSync機能さえ搭載されれば、もうたぶん何もいらない。日の丸端末メーカーが海外市場で勝てるかどうかは別にして、日本市場の携帯電話は、もう既に実質的なスマートフォン一歩手前まで来てしまっているからだと思う。

10:35 午前 携帯・デジカメ コメント (0) トラックバック (1)

2004/12/04

企業はスマートフォンを欲するか?

 以前にこのブログでも長尺のインタビューを掲載したこともある、Xiino開発者の奥一穂・モビラス社長が、ブログを始めている。

 僕は、ソフトウエア開発者というのは一種の「ウィザード(魔術師)」だと思っていて、とりわけcoolなソフトを書く人を非常に尊敬する。奥さんは書くソフトがcoolだというだけでなく、世の中を見る魔術師的視点もとてもcoolなので、2重の意味で尊敬している。

 で、その彼が直近のエントリ「iPod の成功と NTT ドコモの未来」で、興味深いことを書いていた。

 内容を簡単に言うと、「ドコモはiアプリで成功しているように見えるけど、iPodに完敗したソニーみたいに、スマートフォンが日本市場に出てきたら負けますよ。なぜならDoJa(iアプリのプラットフォーム)でソフトウエア的にできることは、スマートフォンのOSができることよりもずっとずっと限られているから」というものだ。

 このエントリを読んで思ったのは、「さすが、通信関係のテクノロジのトレンドがよく見えているな~」ということと、「しかしそんなことはドコモの連中だってとっくに考えていて、分かってるから抵抗してるんじゃないの?」ということだ。

 奥さんの頭の中には、すべてのロジックが線でつながっているのだと思うのだが、ブログの文章はその線の上に何カ所か点を打つようにしか書かれてないので、この分野のことを知らない読者にはおそらく何を言っているのか全然分からないに違いない(笑)。

 彼の言うとおり、この分野は端末のヴァリエーションなどでは米国の方が圧倒的に進んでいる。ちょうどITProの「ケータイonBusiness」という特設サイトに、IBMの人が書いたスマートフォンの動向紹介記事があったので、リンク()しておこう。ここを読むと、Nokiaの「6630」などは年内にボーダフォンから日本語化されて出てくるようだ。個人的には、ソニエリの「P910」がカッコイイと思ったけど。

 で、ポイントは本当にこのテの商品に日本で(Geek向け以外の)需要があるのか?ということだ。

 これまでの答えは「ない」だった。もちろん企業向けPDA端末とかも出ていたが、物流センターとか医療機関などの特殊用途ばかりにしか売れない。

 テクノロジカルな側面から言うと、「画面が小さい、解像度が粗い」「通信速度が遅い、コストが高い」「端末の処理能力が低い」といったことが普及の阻害要因として挙げられていた。だから、特定用途に特化したカスタマイズ端末でなければ使えないし、売れないと。僕も、それらの要因は確かにあったと思う。

 だが、高解像度LCD、3G+無線LAN、BlueToothといった携帯ブロードバンドの普及、MPUの高集積化などによって、それがクリアされれば(実際、最近の携帯を見るとハードスペックのレベルではほぼクリアされつつあるように見える)普及するのか?と言われると、正直「どうかな」と思ってしまう。

 なぜ僕が懐疑的かというと、そもそも米国でスマートフォンが普及する背景には、ホワイトカラーの生産性を徹底的に管理して高めようという、企業と個人の双方の強い意志があると思うのだ。

 奥さんのエントリでも少し触れられているが、例えばスケジュール帳を出して仕事の「終了」ボタンを1つ押すだけで、それまで処理していた業務のワークフローにメッセージが送られ、関係者に周知され個人の就労管理システムに記録され、チームでこなす業務全体のABC(活動基準原価計算)のデータにもなる、といった情報システムを作ることが、スマートフォンによって可能になる。だが現時点で全社的にABCを導入している日本の大企業なんて、そもそもどれだけあるのか。ABCが分かりもしないのに、こんな情報システムを入れようと考える企業など、ほとんどないに違いない。理由は省略。自分の会社の愚痴になるので(笑)。

 そもそも、スマートフォンを使うレベルまで日本のホワイトカラーのレベルは達していませんぜ、というのと、仮にもしそうなったとしても、やっぱり携帯電話メーカーのビジネスモデルとスマートフォンは相容れないという気もする。つまり「ドコモがスマートフォンをやらないのはほぼ確信犯」ということだ。

 実は今、ある企業の社員管理システム構築を手伝っているのだが、ホワイトカラーの生産性をきっちりmeasureし、向上のための施策を的確かつスピーディーに打てる仕組みを作れるかどうかで、これからの企業の“基礎体力”が決まるような気がする。今僕が作らせているシステムはウェブベースのものだが、MySQLを直接叩くことができるアプリケーションを簡単に作れるスマートフォンが登場すれば、生産性管理の精度はより一層高まるだろう。

 だがそれをやると、システムから落ちる収益というのは、アプリケーションの開発者か、スマートフォン端末の開発メーカーにしかいかなくなると思う。間にいる通信業者という「土管屋さん」には、別に何の付加価値もないわけだし、となるとコスト削減圧力だけがかかることになる。実際米国がそうだし、僕自身も「jigアプリ」を自分のケータイにインストールして以来、iメニューをほとんど見なくなった。同時にXiinoも使わなくなったけどね(笑)。

 それがわかっているからこそドコモはボーダフォンやauがフルサイズブラウザ搭載の携帯とかスマートフォンを出すのを横目に動いてこなかったのだし、これからも収益がきちんと自分たちに落ちることが確認できない限り、アプリの仕様が完全にオープンになった携帯端末など出そうとはしないだろう。あ、でもiアプリを作った時点で、既にそのパンドラの箱は開いたと言ってもいいのかな。jigみたいなアプリが出て来ちゃったしな。

 ドコモ自身がjigのようなアプリを作って売れれば一番理想的なのだろうが、これってめっちゃ手間がかかる。あんな大企業が今さらそんなこと、やりたくないだろう。とすれば、彼らが取りかかるのは端末開発の自由を徹底的に制約してメーカーにいらぬ超過利潤を落とさないこと、これだけだ。

 楽曲のネット販売の既存収益などもともとビジネスの中に入っていなかったソニーのウォークマンが、自分で一から作った楽曲販売ビジネスを味方につけてヒットをかっさらったiPodに負けたのとは、ちょっと意味が違うと思うのはこの点である。しかも、iPodは楽曲のフォーマットではオープン(MP3)だが、ソフト(iTunes)とハードの結びつきではクローズドだ。

 問題はこうした「押さえるべきところをがっちり押さえる」戦略をドコモがとり続けたとしても、「それでもいつかオープンネットワークのスマートフォンは勝つ。ドコモは負ける」と、言えるのかどうかだ。奥さんには、そこんとこをぜひもう一度エントリで書いてもらいたいと期待している。

(18:31追記)下から3パラグラフ目など、一部を少し書き直し・書き足しました。

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