2006/11/28

冗談じゃなく、結構ありと思うよ

 僕だって「連載してけろ」とか言われたら嫌だけれどもさ。いや、別にこれだけじゃなくて、その「醜悪な男性誌」のほうでも、どっちも。そういうキャラじゃないんでね。

 「品のない女性週刊誌を作ろう!」と呼びかける馬鹿っていいなー(切込隊長BLOG)

 以前にあるマーケティングリサーチの会社が「10年後の顧客ニーズ」という調査をして、もっともニーズが高そうと出たのが女性向け風俗サービスという結果だったという話からしても、こういう情報媒体には猛烈なニーズがありそげ。

 ただ、隊長の言うとおり、男性版と違って表紙にこれ見よがしな艶めかしい女性の写真を配するといったかたちでは媒体を訴求できないのがちょっと考えれば丸分かりなわけで、ニーズはあるけれどいったいどういう体裁を取って売るべきかというところでみんな悩んでいるところだと思うのだよね。いや、別に僕が企画書いた訳じゃないけど。

 そういう意味では、確かに「L25」は大変な可能性のある媒体だと思った。これ、「R25」以上に大化けするんじゃない?もしかすると。すでにフリーペーパーだけあって、率直な欲望に忠実なその手のコンテンツが多々混じっている気配ではあるが、将来的にはもっと下品なコンテンツと広告で大いに賑わいそうな予感。

 某食品メーカーの出した金キラキンの下品なデザインのボトル入り飲料も、聞くと発売前の社内では「ブランドイメージを損なう」と反対の大合唱だったようだが、いかにもなパッケージデザインで目を引いて売れてしまえばもうこっちのもの。今じゃ驚異的な売り上げで株価も上がり、大騒ぎになっているらしい。まあ、あれは男性向けだけどね。女性向けのそういう商品は、きっとさらに難しいだろう。絶妙なパッケージデザインを思いついただけでノーベル賞ものですよ。

 上品で誰もが無難と認める商品なんざ、いくら言葉巧みに売ろうとしたって利益なんか出やしない。それよりも身も蓋もない下品な商品を、消費者の劣情感を刺激しないようにうまく提供できる企業にはすごい利益が転がってくるというのは、非常に普遍的な法則のような気がするよ。隊長に向かって脳内妄想を延々としゃべりまくるその編集者氏にも、ぜひとも頑張ってほしいものである。こっちに近寄らないでねって感じだけど。

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2006/11/11

正直、このMBOはあり得ないだろ

 日本というのは、なんでこういう一般泡沫株主に後ろ足で砂かけるようなディールが平気でまかり通るのかね。

 「牛角」など展開のレックス、MBOで株式を非公開に(読売新聞 via gooニュース)

 株価の推移を見てみると、今年1月の55万円を最高値に、じりじりと下がってきてこの8月の中間決算発表とともに30万円台から一気に半額の15万円まで下がった。そして現在20万円にようやく戻したと思ったところで、過去1ヶ月(!)の株価平均に14%のプレミアムを乗せた23万円というTOB価格を発表。

 別に僕はレックスの一般泡沫株主でも何でもないのだが、このTOB価格はいくら何でも一般株主をバカにしすぎ。こんなディール、果たして許されるのか?来週以降の市場での一波乱が予想されます。てか、波乱してくれ。この世に正義はないのか、正義は。

 西山社長は責任とってかとらずしてか会長に退くとのことだが、持ち株SPC(特別目的会社)の3割の株主にはなるらしい。ampm買って成城石井買って、ここまで必死で多角化してきたのに、結局この株価じゃ意味がないよと言いたいんだろう。でもそれってコングロマリット・ディスカウントですから!残念!(死語)

 まあ、いくら牛角やampmの業績が苦しいとはいえ、成城石井とかは好調なわけだし、西山社長が低株価に業を煮やすのもわからんではない。だが、同じくMBOで上場廃止したすかいらーくが、数年にわたって低迷していた株価がじりじり上げてきていたときにMBOを発表し、しかも過去3年の株価よりも高い水準のTOB価格設定だったのに対して、レックスはわずか3ヶ月前の中間決算発表までは30万円台だったものを、決算で特損出して株価爆下げさせたところでTOBというのは…もし僕が同社の株主だったら、到底同意しかねる。あるいは、誠に遺憾の限り。もう少し直截的な表現でもって申し上げるとすると、まさに外道まさに詐欺。あり得ないあり得ない。

 TOB価格の基準が直近1ヶ月の平均ってどういう意味ですか。意味もなくデイトレーダーによって株価が大幅変動するような流動性の少ない株ならいざしらず、流動性だってちゃんとあるし、根拠のない株価じゃないでしょう。まして、わずか1年前に50万円超で買った株主には半減の損させて…っていうのは、常識的にちょっと許せないものがある。NTT株売り出しとか、楽天の上場以来の暴挙じゃないですかね。せめてTOB価格は8月の中間決算発表前の30万円にしておけば良かったのに。これってもしかして、株主代表訴訟起こせば勝てるんじゃないのか?ひょっとしてひょっとすると。

 というわけで、誰か証取法と会社法に詳しい方、分析をよろしくお願いします。<(_"_)>

02:19 午前 ビジネス コメント (6) トラックバック (4)

2006/07/24

「残り物」を総取りするAMDの戦略

 1月にApple、Intelといったホームユース側に期待を賭けるプレーヤーに視点を当ててこんなエントリを書いたが、どうもちょっと逆サイドのプレーヤーの戦略のほうが面白そうだ。というので、半年前の読み違いを反省しつつエントリ。

 AMD、ATIを55億ドルで買収へ(ITmedia News)

 フレームワークのレイヤーが上位層に移るほど、下層のレイヤーはプレーヤーの統合が進む。 今さら言うまでもないが、現時点のコンピューティングの中心的フレームワークは、ブラウザである。そしてこの流れは恐らく今後10年は変わらないだろう。

 だとすれば、ブラウザより下のレイヤーのプレーヤーは可能な限り統合され、シンプルなソリューション提供に徹するべきだというのが、このアクションに秘められたAMDの戦略と言えるのではないか。まさにIntelと逆さまのアプローチである。ちなみにIntelの戦略動向についてはayustety氏による先月のET研報告を参照のこと。

 Dual-Core、そしてgraphic processorまで入れたQuad-Coreへと、PCにおけるgrid computing技術の実装が急激に進む中で、AMDの生き残り戦略はなかなか巧みだ。graphic processorとの統合というのは、かつての90年代前半のCyrixの戦略のそっくり焼き直しといえばその通りなのだが、あの当時は誰もがPCの構成要素にconsciousだった。今は違う。ブラウザさえきちんと動けば、もう誰もPCの中身など気にしない時代になった。AMDは、池田信夫氏言うところの「ウェブには『三度目の正直』がある」をまさに地で行っている。

 Viiv、vProへと上位レイヤーのビジネスに必死で食い込もうとする戦略展開を図るIntelよりも、GPUチップメーカーを統合して「ボックスの中身をシンプルに」していこうとするAMDのほうが、少なくとも彼らのコア顧客であるビジネスユーザーから見れば魅力的に見えるだろう。ここは目の前の要塞構築の総仕上げにあたる。

 そして、2~3年後という中長期のスパンで見れば、敵の最後の牙城であるモバイル系プロセッサへの侵攻にもメドが立ってくる。まず、Intelがサーバ系技術の応用であるチップコアの複数化に、ホームPCへの実装で先鞭を付けてくれている。そのうえ、ITmediaの記事を読む限りでは、AMDはIBMとのアライアンスで対Intel戦略上の課題であった45ナノ以降のプロセス開発でも急激な追い上げをものにできそうだからだ。

 AMDといえば、今年3月頃にはサーバのビジネスクライアントとして恐らく世界最大のGoogleにも猛烈アプローチをかけていた話が報じられていたっけ。以前のエントリで僕はGoogleを「ホームユースに期待をかける」側に分類していたが、これは間違いだった。Googleはもちろんそちらの市場を収益源としてはいるのだが、Google自身のコスト構造から考えれば、GoogleがわざわざOSSで構築しているサーバのアーキテクチャーに口を出そうとするIntelよりも、grid computingに適切なハード・プラットフォームを提供してくれるAMDとアライアンスを組んだほうが、よほどメリットが大きい。

 AMDのこの的確すぎるアプローチを見ていて、PCビジネスを自社規格で覆い尽くそうとするIntelのポジションが、製品戦略上最終消費者とのタッチポイントを持たない彼らにとって実は画餅に過ぎないのではないかという懸念を感じているのは、僕だけだろうか。

03:18 午後 ビジネス コメント (14) トラックバック (2)

2006/07/04

フラット化するニッポンの象徴としてのNAKATA

 HBSの入学資格は四大卒業同等以上の最終学歴なんですがねといった野暮なツッコミはさておき。

 中田英寿、MBA取得 第2の人生は実業家(gooニュース)

 彼ほどの才能があれば特例で入れてあげても良いと思うし、米国の大学というのはそのへん野暮なことは言わないと思うのでまあ期待して待つが吉。で、思ったのは彼がそういうものを目指すと公言することの2つの社会的な意味である。

 1つは、ビジネス社会の中のさらに中央官僚とか外資とか超大手グローバル大企業とかの人たちだけの世界のブランドであった「MBA」、そして「ハーバード・ビジネス・スクール」が、彼の一言によって一気に日本のお茶の間に広がった点である。

 サッカーでも同じだった。それ以前にも奥寺や釜本など名選手で欧州のリーグで活躍した人は多数いたが、結局のところサッカー界の中の話に過ぎなかった。だが98年に彼がペルージャに移籍した時から、「トップクラスの人間は日本ではなく世界に行く」ということが、サッカーだけでなくあらゆるスポーツ、そして日本のお茶の間の常識になった。

 自らの行為で示しただけでなく、それをムードとして日本社会に浸透させてしまったこと、これこそがNAKATAの最大の功績であった。日本人にとっては、これからは「MBA」が好むと好まざるとにかかわらず、ある種の「常識」化するだろう。欧米を初めとする世界がそうであるように、日本も彼のおかげでグローバルスタンダードの価値観を社会常識とせざるを得ないようになるに違いない。

 そしてもう1つ、(彼が今後HBSに入学でき、卒業できればの話だが)大きな意味を持つだろうと思うのは、「MBA」あるいは「ハーバード・ビジネス・スクール」というブランドを持っていれば何でもかんでも一流なのではなく、やはりそこに明らかに個人の素質が必要だ、と世間が認知するだろうということだ。

 サッカーでも、NAKATAの後に多くの選手が欧州のトップクラブに移籍したが、その中で芽が出なかった者もいたし、また大きな成果を挙げた者もいた。要するに「欧州のクラブへの移籍」がブランドなのではなく、そこで個人が何を成し遂げるかがブランドになるのだという、フラット化した世界の冷厳な事実が日本のお茶の間に突きつけられることになったわけだ。

 よく考えればそんなことは当たり前のことなのだが、舶来のブランドと言えばそれだけで思考が止まってしまう日本人にとって、NAKATAが突きつけるこの事実は大きな意味がある。当然ながら、今後ハーバードMBAを取った人間は、「NAKATAと比べてどうなのか」というベンチマークを一生突きつけられ続けることになるわけだし、またそれが社会に明らかにされるだろう。公費で留学している中央官僚は、その異様なドメスティックな凝り固まりぶりを白日の天下に晒されるだろうし、自分のキャリアについて深い考えもなく漫然とMBAを取った人は常にそのダメっぷりをNAKATAと比較対照されるかもしれない。そして、多くの日本人に「MBAだからって特別でも何でもないんだ、そのうえでちゃんとNAKATAみたいに努力しなきゃダメなんだ」ということを思い知らせるだろう。

 いずれにせよ、彼の通る道はこれまで確実に日本人の意識をグローバル化する先鞭を果たしてきた。今度の発言も実現するか否かにかかわらず、日本の社会をトム・フリードマンの指し示す世界へとまた1歩いざなうきっかけになるに違いない。

 追記:尊敬するスポーツジャーナリスト、増島みどりさんの「中田英寿の現役引退によせて」の記事が出ていたのでリンク。

11:36 午前 ビジネス コメント (16) トラックバック (11)

2006/06/25

動体視力

 渡辺さんとシンクロニシティがあったようなのでちょっと触れておく。

 マーケティング基盤:コミュニケーションとユーザー制空権(CNET・情報化社会の航海図)

 非常に強固なマネジメントサイクルを持つが完全に安定期に入ってしまったビジネスを、より精緻なsegmentationとtargetingによって何とか拡大軌道に戻そうとするようなマーケティング施策というのは、何か新しい取り組みをしているように見えて、実のところその完成されたマネジメントサイクルの為していた何かに対する理解と敬意が足りないが故に非常に危険であることが多いように思う。

 context targetingによってfocusされた顧客というのは、ぱっと見ると何やら非常に明確に特定された属性のように見えるが、実のところそのsegmentは非常に流動的であり、またcontextではなくそのダイナミクスこそがまさに顧客のニーズの本質であることがしばしばある。

 これをある一瞬のsnapshotによって個別のビジネスユニットに囲い込んでしまい、マネジメントサイクルの組織まで閉じてしまうことは、個別のビジネスの成否に関わるだけでなく、組織全体に対して顧客というもののダイナミズムを見失わせることにつながる。

 重要なことは、そうした刻一刻segmentを移動してゆく顧客のダイナミズムそのものをマネジメントの側が的確に受け止め、wholisticに把握できるかどうかであり、そこで必要なことはビジネスユニットのSegmentationではなくてむしろIntegrationである。

 しかし、組織というのは良くあろうとすればするほど落伍者よりも功労者を増やしたがるものだし、残念ながらあらゆる組織は常にパーキンソンの法則に従う。したがって人為的にそれに逆らったマネジメントを行わない限り、ビジネスユニットのsegmentationは自然法則である。CFTなどでどうにかなるものではない。CFTもまた組織の一種であるし、またCFTはtemporaryだというのであれば結局それは組織というものの自然法則を否定し得ない。

 Integrationの必要性に気づくのは常に顧客と接している現場である。なんとなれば彼らのミッションは顧客を追尾(trace)することだからだ。現場が顧客を追尾することをミッションとしないような組織はそのmomentumが起こらない。

 したがって良い組織と悪い組織を見分けるためには組織が顧客のsegment移動のダイナミズムを的確に追尾するのを妨げるようなユニットに分かれているかどうかを見れば良い。顧客の移動は常にマネジメントの側の想像を超えて起こるので、完璧な組織デザインというものはあり得ない。とはいえ、その組織デザインが外部の人間が見ても明らかにsegment移動のダイナミズムに反していると思われる場合は、どう見てもダメである。

 もう一つのクライテリアは、商品そのものである。そして商品こそは今もっともintegrationの問われているものである。ネットの登場で商品が極めて細かくSegmentされるようになった。そして顧客はそのsegmentを喜んで受容/需要しているように見える。だがそれは何度も言うようにcontext targetingの魔術に嵌った見方だ。segmentaionが容易になり、一見膨大な商品が切り刻まれて市場に出回っているように見えているからこそ、integrationにより生まれる価値はますます高くなる。

 それはビジネスがmediaであればaggregation、retailingであればmerchandisingと呼ばれるもののことである。retailingの比喩で言えば、それは単なる「品揃え」ではない。全体を紡ぐ大きな「物語」の流れのことである。Marketing of Integrationを成す根本の力は顧客に対する動体視力である。止まっているものは見ない。動いているものだけをそのベクトルにおいて見る。自然法則に反した意思決定のできるマネジメントのある組織でなければ、顧客に対する動体視力を持つことの意味は活かされない。これは勇気の有無の問題ではなく、ある種の動物的な勘の有無の問題かもしれない。少なくとも今そのことが理解され、仕組み化されている企業はそれほど多くないように思う。

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2006/04/12

Web2.0の終わり

 このエントリのタイトルを見て、「おきまりのネタキタ━━━━(°Д°)━━━━!!!!」とか思ってる人、多いんじゃないだろうか。「ブログブームの終わり」を書いてから1年、4月になると終わりを宣言するR30がまた戻ってきましたよ。

 こっちの記事とかが「Web2.0=メディア事業、広告モデル」っていう結論を出して納得しちゃったりしてるのを見て、もう脱力しまくり。今さら否定する元気さえも起こらないというか。もうそれでいいんじゃない?とか答えたくなる。どうせ「真実のWeb2.0」が何だろうと、結局世の中の人が理解したようにしか世の中は進んでいかないと思うので。

 そういう意味で言うと、「ブログブームの終わり」を書いたときには、ブログが日常化して「巡航速度とは何かを探す」展開になるだろう、みたいな予測をイメージしていたんだけど、今回の「Web2.0」はもともと何か具体的なサービスや製品を指すわけでもなく、実体のないただの言葉遊びだったので、2年後ぐらいには世の中から完全に忘れられてしまう気がする。2000年の頃によく言われていた「ニューエコノミー」みたいなのと同じようにね。

 米国だと、ニューエコノミーという言葉にも、「在庫調整を原因とする景気サイクルの緩和・短縮化」という、マクロ経済研究の成果に裏付けられた一定の定義が与えられている。Web2.0という言葉も、おそらく「ユーザーが参加・貢献することによってトラフィックを増大させ、サービスを改良・向上させていくウェブサイトの設計思想とその要素技術」みたいな定義が与えられて、その定義の範囲内で議論とビジネスの試行錯誤が広がっていっているんじゃないかと思ったりするのだけど、これが日本に持ってこられると途端に超胡散臭いバブルネタに変形するところが何ともまた寒々しい。

 昨日、99年頃に光通信で働いていたことがある某後輩と飯を食っていたんだが、そこで彼が「Web2.0って言葉を使って何かしゃべってる人たちって、昔僕が光通信にいた頃に見ていた、目つきのいっちゃってる営業マンの連中と雰囲気がそっくりなんですよ」と話していた。ちまたには自分が知りもしない、見たこともないものの名前を呪文のように唱え続けることで、何千万、何億単位のカネを動かそうと必死になっている人たちが跳梁跋扈しているらしい。

 まあ、何十億、何百億のカネが株券とともに飛び交いまくっていた2000年のITバブルに比べりゃあ、そんなもの可愛いものだぐらいの話かも知れないが、しかしなぜそうなりますかね。

 もちろん、米国にだってそういう怪しげなカネを動かす輩がいないとは言わないけれど、日本ほど「みんながそっちに我先に走っているようだから何だかよくわかんないけど俺も俺も」という傾向が強いとは思えない。そういう意味では、90年代後半以降の日本は、謎めいたバズワードがちょっと流行っただけで常にミニバブルが起きやすいような環境になってきているのかも。

 誰のせいかっていう議論は難しいんだけど、こういう謎めいたキーワードをロジカルに分解して理解しようという努力を払う人がほとんどいないことっていうのは、1つあるような気がする。あとは、実際にそれでどのくらい自分のビジネスが影響を受けるのかとか、実際どのくらい儲かるのかっていう定量評価をきちんとやって、そのデータをパブリックに出そうとする人がいないこととかも。

 まあ、これは正直なことしゃべるよりも、手の内伏せてIPOしちゃったほうががっぽりお金が儲かるよねっていう、日本の株式市場が生み出したベンチャー業界に見られる悪弊の結果なのかもしれず、よく分からない。asahi.comにはこんな記事も載っていたけど、正直思うのはそもそも日本のWeb2.0ビジネスの代表格って言われるはてなが、月間ページビュー数億、国内ウェブサイトのリーチで15位という膨大なトラフィックを集めて、いったいどのくらいちょっとしか儲けていないのかという数字を出さないから、こんなことになってるんじゃないのか(笑)。

 はてな自身も手の内伏せておきたいっていう気持ちは分からなくもないけれど、「うさん臭さが漂い始めた」とかコメントするぐらいなら、近藤社長ご自身がはてなの経営数字を公開して、「Web2.0」でカネを集めて回る胡散臭い奴らどもに冷や水ぶっかけた方が良くないですかとか思ったりする今日この頃なのであった。

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2006/03/30

『ウェブ進化論』とGoogle論、ふたたび

 今朝からすごい勢いでアクセスが集まっていると思ったら、切込隊長のところからのアクセスでしたか。ごぶさたしておりました。久しぶりに読みでのあるエントリでしたね。

 よりによってのイベントの準備でおおわらわな時なので、あまりどっぷりとディープな反応を返すこともできないのだけれど、簡単にレスしておきたい。finalvent氏同様、『論座』の記事はまだ読んでませんが、というただし書きつきで。

 隊長の言い分をまとめると、「Googleの価値観にくっついて行きたい奴はがんばってくっついていきやがれ。でも別にGoogleだからって特別なことしてるわけじゃなくて、かつてMicrosoftがやっていたみたいに、単に一時代の産業の恣意的な価値観を象徴し、それを中の人が世界中に押しつけてるだけだからな。ま、市井の一般大衆はその程度に受け止めておくのが吉」ということかなあと思う。

 これについては、違和感は特にない。自分もそのつもりだし、FACTAの阿部編集長とかは梅田本に深掘り的コメントを寄せたうちのブログもまとめて「Google礼賛論者」と一絡げにして批判されているが、別に僕も礼賛してるつもりは全然無くて、ただ資本力も価値観押しつけの圧力も、ここで泡沫ブロガーが泣き喚いたところで始まらないほど強烈に強いので、隊長の言うように「Google神に代わる新しい神」がどっかから現れるまで首をすくめて待ってるしかないんじゃね?ぐらいの話だと思ってるだけ。

 それでも勘違いする人もいるかもと思うので言っておくと、『ウェブ進化論』の書評の第2回目の中で、

Googleワールドの原理というのは、Google様の指先1つでビジネスのルール変更が可能な世界なのである。そこに会社としての基盤を依存するなんて、どう考えても正気の沙汰ではない。もちろん、それでも何かあるかもしれないと思ってチャレンジする「はてな」のような会社には男気を感じるし、がんばってほしいと思うわけだが、少なくとも既存のビジネスでそれなりのボリュームを持っている「失うもののある」企業が、オープンネットの世界に今から挑むなど、戦略的にあり得ない選択肢と断言しても間違いないだろう。
 と、申し上げている。もし僕が本当にGoogle神の礼賛論者なら、こんなこと書くわけない。

 で、FACTA阿部氏のほうはというと、サイバーエージェントが昨日Google八分にあったことを取り上げた番外エントリで「大量虐殺にひとしい」と断じているが、そんなおおげさなものですかね。いつものグーグルダンスじゃん。一民間企業が、自分の価値観に合わない競合他社をハブンチョにしただけっしょ?何度も言うけど、競合する相手のダンスで自分の事業が振り回されるのが嫌なんだったら、Googleの影響の届かないビジネスにとっとと逝けっつーの。

 冗談めかして言っているが、Googleがネットの中だけの神だと思ったら大間違いである。Yahoo!が実質的に広告代理店機能を持つという決断を下し、Googleがどこを買収するつもりか知らないが市場から21億ドルものエクイティ・ファイナンスをした今、これからメディア・広告業界は巨大な資本力にあかせての大M&Aの時代に突入することが確定したようなもんなのだ。

 問題なのは、こうした変化が「『ウェブ進化論』は良書だ」「いや、ただのマンセー本だ」とか、そういう馬鹿げたペダンチックな議論の向こう側で黙って起こっている事実だということだ。この前の『ウェブ進化論』の出版記念イベントの後の飲み会でも話していたのだが、高尚な議論よりもエンジニアの書いたコードの方が圧倒的な説得力を持ってしまうのが、ネットの(そして阿部氏的に言うなら米国資本主義の)世界の習わしというものだ。

 既存メディアの人間が「大事なのは民主主義」とか「言論の自由を守れ」とか「ポピュリズムどーたら」とか議論している間に、Googleの中のエンジニアたちは黙々とコードを書き、スパムサイトの検閲を進め、メディア産業をブルドーザーで押し潰し、地ならしして新しい建物をガッツンガッツン建てていってしまうのである。Googleに地ならしされたくなければ、叫ぶより前に自分の考えを表したコードを書く(=ビジネスモデルを作る)しかない。コードが書けないなら、Googleの目の届かないところに逃げるしかない。

 どうもそのあたり、もう議論のための議論はお腹いっぱいというのが僕の正直な感想だ。議論してるヒマがあったら自分でメディアを作れよ、と思う。FACTAは昨年前半とかにブログ界で流行った「ブログとは何か」論みたいな、自己言及的な議論のための雑誌なのかもしれないけど、まあそれはそれで好きな人がいそうだが、もしそうだったら僕自身は読む気がしない。

 たとえGoogleが神だからといって、その神が企業であり、米国に実在する存在である以上、資本主義の原理から自由なわけがないというのは当たり前だ。そして、我々も同様に資本主義の中に生きている。であれば、Googleの長いしっぽの端っこを自分のビジネスのバリューチェーンに入れて商売するもよし、Googleとまったく違う価値観でネット上に新興宗教のようなサイトを作って客を集め、お金を回すもよし。好きに商売して生きていけば良い。

 ただし、Googleがこれまで一言も「言論の自由が大事」とか「ポピュリズムがどーたら」とかの高尚な説を自ら考えてのたまったことがない、無言のブルドーザー集団だということだけは覚えておくべきだ。神かどうかよりも、そちらのほうがずっと大切な事実(FACTA)である。

01:37 午後 ビジネス コメント (8) トラックバック (6)

「ソフトバンク×ボーダフォン」シンポジウム直前のご案内

 いよいよ掲題の「ソフトバンク×ボーダフォン買収を分析する」のイベントが、明日に迫ってまいりました。関係者一同、直前の準備追い込みで大変なことになっております。お客様のほうも、イベント当日まで待ちきれず、なぜか先週24日の夕方に会場においでになった方も数名いらっしゃったようです(笑)。

 今回のイベントには受け付け開始直後より予定座席数をはるかに上回る申し込みが殺到し、とうの昔に締め切って抽選を行い、申し込んでいただいた多くの方にお断りを申し上げざるを得ませんでした。にもかかわらず、相変わらず「まだ席は空いてるか」の問い合わせが毎日入って来ておりまして、対応している事務方の気が狂いそうになっています。一部の方には大変ご迷惑をおかけしておりますが、これ以上「まだ入れるか」とか問い合わせてこないでくださいお願いします(汗)。

 メディアの方々もテレビ、新聞、通信社、業界紙・誌、ネットメディア等々、二ケタに上る媒体から来られる予定です。なので、一般申し込み客に関してはかなりギリギリの(実はドタキャンを見込んで予定数を上回る)見通しで当選通知を出してます。18時開場・18時半開演の予定ですが、当選通知をもらったからといって開演時刻間際に来られても、会場内に入れない可能性が高いです。混雑を避けるため、なるべく早くにご来場ください。

 ここ数日間、パネリストの方々と打ち合わせをしていますが、当然ながらどの方も各分野で僕なんかとは桁違いに膨大な現場経験を積み上げてこられた方々だけに、「FMCでリバンドル化」なんていう簡単な結論に収斂するわけもなく、イベント開催前から侃々諤々の異論反論噴出状態。しかも皆さん、頭が切れすぎです。このとっちらかった真剣勝負状態をどうやってモデレートして話をまとめていくのか、渡辺さんの捌きの腕前が試される状況。裏方の方がドキドキハラハラしてます。

 あと、「事前準備何しておけばいい?」という質問を複数の方々からいただいてますが、ソフトバンクの記者会見の様子をもう一度見ておくか、パネリストの森祐治さんの書かれている「情報経済ブログ」の二本のエントリを読んでおいていただくのが良いのではないかと。以下、ご参考までリンク。

 なお、参加されるブロガーの方は、渡辺さんのブログにアップされた注意書きもざっと読んでおいてください。では、明日いろいろな方々とお会いできるのを楽しみにしております。

12:27 午後 ビジネス コメント (0) トラックバック (1)

2006/03/18

日本史上最大のディールについての簡単な感想

sb_son いやー、今日は絶妙のタイミングだった。

 17時から始まったソフトバンクのボーダフォン買収の記者会見のストリーミングを聞きながらメモに起こしてブログにアップ。同時にそれをプリントアウトして見ながら、渡辺さんと夜19時から3/31の緊急イベントについての打ち合わせをした。ちょっと前までは、こんな世紀の記者会見など、一般の人間にはマスコミの報道を通じて以外、全貌を決してうかがい知ることのできないイベントだった。今では誰でも会見を同時に見られるし、マスコミより先に感想記事を書いてしまうことができるし、すぐに作戦会議(笑)に使うこともできる。感慨もひとしおだ。

 僕はというと、打ち合わせを終えて帰宅してから、もう一度オンデマンド放送の記者会見を見直していた。それでちょっと思ったことをいくつか、書き残しておこうかと思う。

 今日の発表を聞いて、まず一番びっくりしたこと。それは、「この話、資金調達が最初の難関だろう」という僕の予測が見事に外れていたことだ。

 報道陣の撮影後、ボーダフォンのモロー氏が去ってから最後の質疑応答で、孫氏は「今回の件が知られて以来、国内外の金融機関から、予定額の何倍ものオファーをいただいた。非常に積極的で、金利も十分に魅力的だった」とコメントしていた。

 ソフトバンクに金融機関が、“魅力的で積極的なオファー”?!最初に融資してくれた興銀をメーンバンクから蹴落として金融機関を天秤にかけ、銀行業界から総スカンを食らって野村證券出身の北尾吉孝氏とともに株式市場からのエクイティ・ファイナンスに社運を賭けた90年代のソフトバンクを知っている人間からすれば、この10年の金融業界の様変わりは、まさに「隔世の感」とも言うべきものだ。

 あるいは、景気加熱×金融量的緩和解除直前で空前のじゃぶじゃぶカネ余りという絶好のタイミングで、成熟産業の巨大企業に売却を持ちかけて首を縦に振らせた孫社長の天才的戦略家ぶりのなせる技だったのかもしれない。おそらく彼はVFのサリーン氏に囁いたことだろう。「今このタイミングを逃せば、我々が1兆円をはるかに超える資金をご用意することは、もう永遠にできないかもしれませんよ」と。

 それにしても、ファイナンスに溺れ、あるいは振り回されるベンチャー経営者があまりにも多い中で、ファイナンスをあくまで「自分のビジョンを達成するための戦略ツールの1つ」としか見なさず、徹底して「市場を振り回す」側に回る孫氏の豪胆さには、心底恐れ入るばかりだ。

 あと、12日から14日にかけて、「サーベラスやKKRがカウンターオファーを出した」という投資銀行筋経由の情報が出たのは、VFがSBのオファーを受け入れることをほぼ固めていたからだったんだろうね。つまり、VFに門前払いを食ったので、VF株主向けにカウンターオファーの金額をアナウンスすることで、「これ以上安い価格でSBに売るようなら訴訟を覚悟しろよ」という脅しのつもりだったのだろう。残念ながら、その程度でぐらつくほど孫社長の信念と準備はヤワではなかったということのようだ。

 それから、VF買収の戦略面からみた分析については、詳しくは3/31のイベント席上に譲るとして、ここでは簡単に会見の感想だけ書いておこうと思う。

 記者会見の発言をテキストに起こしてみて、孫社長は一見さらっと説明しているかに見えて、実はその言葉の1つ1つに周到な意味を持たせているということが改めてよく分かった。さすがだと思う。このテキストを読み抜くことから、今後のSBの方向を予想する作業が始まるといっても過言ではないだろう。

 分析で分かることはたくさんあるが、ここではその中の1つだけ書いておく。孫社長が記者会見で言っていたSBのVF買収に関する戦略面の説明(ファイナンスのスキームやそれぞれの持つ顧客基盤の規模の話を除く)は、要約すると結局3つに絞られる。1つは「VFはSBグループと一緒になることで、基幹網の共有化によるコスト削減が可能」、2つめは「ヤフーが総力を挙げてモバイル向けのコンテンツ供給に取り組む」、そして最後に「SBは2000億円以上のカネは出さないし、それ以上のリスクもかぶらないから株主は安心してくれ」という3つだけだ。これ以上、何も言ってない。

 「コスト削減可能」ということについて、その節約できたキャッシュを新たなネットワーク設備への投資につぎ込むのか、それとも価格戦略に使うのか、それ以外の用途なのかには一切触れていないし、「ヤフーが総力を挙げてモバイルコンテンツの開発に取り組む」というのも、それを「VFのために開発する」とは一言も言ってない。言っているのは「開発する」ということ、そして「4200万のヤフーユーザー、1500万のVFユーザーの両方に相互のシナジーが起きる」ということだけ。ヤフーユーザーの携帯電話保有者を、すぐに全員ボーダフォンに買い換えさせてみせるとは言ってないところが、ミソである。

 おそらく、この「会見で言及しなかったポイント」にこそ、孫社長の意図がひそんでいると見て良いのではないかと思う。おおかたの出方は当初の想定内だったと思うが、あの会見を聞いて孫氏の隠れた意図に気が付いた人はあまりいないのではないか、と感じた。

 ここから先の分析は、3/31のイベントでさらに突っ込んで考えてみたいと思っているので、お楽しみに。ちなみに、渡辺さんのところではイベントの申し込みは既に締め切りましたが、グロービスの一般向け申し込みの枠がまだ少々空いているそうなので、参加ご希望の方はなるべくお早めにお申し込みください。

 なお、ネットメディアの記事リンク集を作ってくださったブログと、資金調達や資金の流れのポンチ絵を作って掲載していたブログがあったので、最後にご紹介しておきます。ご参考にどうぞ。

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2006/03/17

ソフトバンク孫正義社長 会見質疑応答

続いて、質疑応答についても速記しました。聞き取れなかったところもあるので、参考程度に。


質問:

Q:VFというブランドはどうなっていくのか。また、ビジネスモデルについて、水平分業というお考えが以前にあったと思うが、ハンドセットの調達も含めてどうするのか。また新規事業として割り当てられた周波数帯についてどうするつもりか。

孫:ブランドについてお答えします。基本的に新しいブランドに切り替えますが、移行期間として半年~1年ほどかかると思うが、お店の看板掛け替え、印刷物などを徐々に新しいブランドを浸透させていきたい。ブランドについてはできるだけ早い時期に決めたい。これから検討する。

水平分業については、ヤフーへの質問ですか?

Q:ヤフーと端末と両方教えてください。

井上:ヤフーについてはBBの時に経験していますが、インターネットユーザーに広く提供していくということと、VFのユーザーの方々にキャリアに近いところにいるために利便性を提供できる部分があると思うので、社内ではT字形というが、横に広くサービス提供する部分と、会員の顧客に深いサービスを提供する部分とに分けていきたい。

孫:端末はこれまで通り多くのメーカーさんから調達することになるが、新しいテクノロジーや使い方についてはもっともっと深く関わっていきたい。周波数については新規事業者として1.7mhzを得たが、新規事業の部分を残すか、それとも完全な既存事業者としていくのかは総務省と話し合って決めていきたいと思うが、1.7mhzを返すとしたら、VFは既存事業者としてイコール・フッティング、高速データサービスなどをやっていくのに必要な周波数を持っているのか、800mhzなど浸透率の良い周波数についてはどうなのかというのをよくよく議論して、収まるべきところに収まるのだろうと思って検討していきたいと思っています。

Q:念のため。手放す手放さないについてはどうお考えで。

孫:よく相談のうえ、ということになるかと思います。

Q:(ITmedia)新体制ですが、津田会長・モロー社長という体制は残すのか、SBから新しい役員は入るのか。また新規で一からやったほうがIPネットワークは作りやすいとおっしゃっていたと思うが考えは変わったのか。

孫:本当に買収できるかどうか、今日まで議論していたので役員体制まで考えている余裕がなかったので、これから考えていきたいと思っています。新規ネットワークを一から構築、MVNOなどあらゆる可能性を検討すると、私は一貫して言ってきたつもりですが、新規事業でのみやるという印象を与えていたとすれば、誤解を招いていたかもしれません。私は携帯は必ず参入するつもりであると、何度も聞かれるたびに言ってきました。今後も何でもありうるということは申し上げておきます。ただ、本業のデジタル革命の部分は変わりません。この幹の部分はそのままです。

Q:(NHK)VFは日本でいまいちだったわけだが、これをどのように分析し、NTTに対抗できるように強化していくのか、一言で言うとというのをお話いただければ。

孫:少なくとも3Gについてはつながらないところが多すぎるという声があったと認識しています。これについては徹底的につながるようにこだわってネットワークを強化していきたい。これはまったくの新規で作るのに比べれば、はるかに苦労が少なく、早くできると考えている。2つ目はコンテンツだが、ドコモ、auに比べて少なかった。これはヤフー、SBグループ総力を挙げて一気に強化したい。3つ目、営業についてはSBは営業を非常に重視しており、それを強化したい。ただ今回は格好良くやりたい(笑)。泥臭くやると持っているのが恥ずかしくなるので、格好良くスマートにやりたいと思っています。端末デザインについては海外端末への意識が強くなりすぎていたと思いますが、モローさんが戻ってこられてからかなり改善しているが、今後一気に強化していきたいと思っている。この4点です。

Q:利用者にとっては料金がどうなるのか興味があるところですが、どのようにしていくか。

孫:少なくとも料金がドコモ、auに比べて高いというイメージはユーザーの中にはないのではないかと思いますが、新たな価格戦略についてはコメントすべき時期ではないと思っています。

Q:(NCC)2.5GHzのサービスについてと、ボーダフォンがこれまでやろうとしていたこと、MVNOについての見通しを。

孫:WIMAXについては、これまでいろいろ実験をやってきておりますので、VFの買収によって早く展開できることになってきたので、これは進めていきます。またMVNOについても新たな顧客獲得の手段と思っていますので、積極的に検討していきたい。

Q:(朝日)価格をどのくらい武器にして戦っていくつもりかを知りたい。ADSLでやったような価格破壊者として臨むのか、寡占クラブの一員としていくのか。

孫:まだコメントすべき時期ではないとお答えした通りです。

Q:(FSBI)設立する新会社の出資比率はどうなるのですか。それと1.75兆円の買収額は、LBOとか各社の出資を足していくと上回ると思いますが。

孫:議決権のある株式はソフトバンクが100%です。また、97.5%の英VF保有株を1.75兆円で買収するわけですが、VFJが一部外部からの借り入れが1200億円、英VFからの融資が1400億円だったかあります。その部分をはずして考えると、英VFから譲り受ける株式の価値は1.75兆円。ただ、新会社が借り入れするものの中には、親会社VFからの借り入れのスライドもあるということです。

Q:ノンリコースローンについては、SBの子会社負債として出てくるということでしょうか。

孫:連結では入ってきますが、返済リスクはあくまで遮断されていると。SBの株主から見るとリスクマネーは2000億円で打ち止めで、新会社がキャッシュフローで負債を返済していくということです。

Q:(NSSB)既存借り入れや既存融資の債権者については不利な立場になるかと思いますが、もう少し詳しく説明してください。

孫:既存の社債が1000億ちょっとありますが、これは社債のまま引き継ぐのではないかと。最終調整を行っているところですが、資金調達の中で置き換えるかどうかも調整中です。残りの債権者はVFUK本体から1000億円ちょいでているのですが、それは新会社の1000億円の劣後債として残すということにVFと合意しました。それ以外の債権者はほんの数十億円あるということですので、今回の調達で借り換えて返済ということになるのではないかと思います。

Q:(CNBC)2点。現在の各社の料金体系について高い、安いどのように考えていますか?

孫:さっきと同じ趣旨の質問ではないかと(笑)。まだコメントする時期ではないと、時期が来ればお話しさせて頂きたいと思っています。

Q:3Gのつながらないところが多いという話でしたが、年間いくらぐらいの設備投資を考えていますか?

孫:これまで2000億円規模の投資をVFではやっていますが、同じレベルはやっていくと思います。それに加えて3Gのつながりにくいところへの補強、ユーザーキャパシティも増やしていきたいと思っています。

Q:(朝日)交渉の過程について、モローさんが空港に来るのを待ちかまえていたと聞きましたが、モロー社長は一貫して売却の意志がないと言っていたのが1カ月ほど前に転換した理由を聞かせてください。

モロー:MVNOについてはこれまでも交渉していたが、空港で待ちかまえていたというのは、そういう熱心さを象徴する話です。また、売りには出していなかったけれども、孫さんから話をもらって、私どもとしても株主に価値がある話として検討するべきと考えたということでした。

孫:昨年早い時期までは自前でやりたいと考えており、暮れにかけてはMVNOを交渉していましたが、よく考えるといっそ買収したほうが早いかなと思って私のほうから今年に入って申し入れた、ということです。

Q:ヤフーとの関係でコンテンツを拡充していくということでしたが、10月にはMNPが予定されていますがいつ頃にやるんでしょうか。

孫:何をするにも時間がかかるのですが、本格的な展開ということでいうと半年ぐらいはかかるかなと。またそこから徐々にふくらんでいくという、ただ半年後からは急に積み上がっていくということで。

井上:そんな感じにするようにがんばります(笑)。

Q:(quick)子会社を作って買収というのは、本体での買収には不都合があったのでしょうか。またノンリコースローンはコストが高くなると思うのですが、なぜそこまでして切り離したのか教えてください。またこれでケーブルとワイヤレスとを手に入れられたわけですが、当初から全部まとめて買った方が良かったのではないかと思いますが。

孫:子会社での買収は戦略的な意味があるわけではなく、手続き上の意味だけです。BBモバイルが1.7GHzの周波数をいただき、人員も研究開発もいるわけですが、このチームがそのまま所有するというのが自然かと思っている、最終確定ではありませんがその方向で検討しているということです。またノンリコースのことですが、SB株主から見ると財務リスクは遮断できると。直接リスクを負わなければいけないのは2000億円というところで完結できるほうがいいと思います。また、VFJに3000億円のEBITDAがありますので、それを使うほうがコストアップにはならないという判断です。日本テレコムとJフォンを一括で買わなかったのは、その時にはそんなにお金がなかったというのがシンプルなお答えです。

Q:(FT)PEからのオファーも出ていたと思いますが、VFグループについては他のオファーも検討されましたか?しなかったとすればなぜですか?

モロー:検討しましたが、SBと生み出せる価値を見ますと、この価値に満足できるし、それを生み出すことができると思います。だから取締役会は孫さんのオファーを受け入れると決めたわけです。

Q:(日経)無議決優先株式については、将来議決権が発生するものなのか、また配当ルールはどうなっているのか。また

孫:無議決権株式については、7年の累積EBITDAが3.35兆円を超えたら、VFとヤフーは新会社の普通株式を入手できる権利がついています。VFJは、同じ条件が起こった場合新会社の10%の普通株を取得できる条件があります。またヤフーは新会社の4%の普通株を入手できることになっていますので、SBの持ち分は合計14%のダイリューションが起こる可能性があるということになります。また配当は(聞き取れず)。ブリッジローンの後のパーマネントローンについてはこれからシンジケーションを組成します。その中で調整していきます。ただ大半のお金はシンジケーションになります。一部流動化、あるいはリースが入ります。(以下略)

07:01 午後 ビジネス コメント (2) トラックバック (0)

ソフトバンク孫正義社長 会見速記録

期間限定で削除します。とりあえずネット中継を見ながらメモったのをアップ。最初のほうとか、聞き取り間違ってるところもあるかも知れないので、使う時には注意・裏取りを必ずしてください。


ソフトバンクの孫です。これまで創業してから20年、いろいろな事業を開始・買収し、5~6年前からブロードバンド事業を開始し、一日も早く携帯電話事業をやりたいと強く思っていた。いろいろな選択肢を検討してきた。自前の新規ネットワーク、MVNO、買収など様々な検討をしたが、今日正式にVFJの株式を買収すると決定した。少し待たせたのは契約の文言についての詰めをしていたから。この後アルーン・サリン氏が電話であいさつをしてくれることになっている。無事回線がつながれば。

買収成立まで随分交渉したが、SB・VFの両方から見て納得のいく内容になった。VFから見れば日本からの撤退ではなく、私どもと新たなジョイントベンチャーを設立するという方向で検討した。

(サリーン氏の電話コメント)

VFJの概要については書類でお渡しする。買収の方法は、SBの全額出資子会社が行う。エンティティについては、詳細を詰めているところ。VFJの株式の97.7%を、新会社が約1兆7500億円で買い取る。2.3%は少数株主がいるが、TOBで買い取る予定。今日調印し、1~2カ月後までに詳細を詰める。新会社はSB自身が2000億円出資で新会社を設立。

そこから無議決優先株式を発行して、ヤフーに1200億円、英ボーダフォンに3000億円割り当て、さらに英VFに1000億円の劣後債を発行。そこに銀行等からLBOで1.1~1.2兆円を借り受け、VFJを買収する。

まず最初にブリッジローンをやり、買収後に新会社が長期の社債、借り入れ(シンジケート、メザニンローン)を使って設備投資をやっていく。これらの借り入れのすべてはノンリコースとなる。SB自身は一切の返済義務、つまり借り入れのリスクを負わない資金調達方法となる。今年9月までに長期借り入れに転換する。従来のSBグループは連結有利子負債が4700億円。過去9カ月の連結EBITDAを1年分に換算すると、1200億円ある。これで従来の順有利子負債を返済し、新たな有利子負債は返済原資を分離し、VFJの年3000億円の営業キャッシュフローを使って独立返済することになる。

売上高で2.5兆円、回線数で1500万。これにY!BB、日本テレコム、ヤフージャパンなどをミックスしていく。私がイメージした「デジタル情報革命」のための構えが一通りできてきたという感じ。

NTTグループ、KDDIグループと比較して、SBグループの世界300社の企業が、デジタル情報革命のパワーとして役立ってくれる。

買収メリットとして、顧客基盤(国内1500万、JVで1億のVFグループ)がある。新規参入に比べてはるかに多くのベースからスタートできる。それに加えて、VFはバックボーンのネットワークを自前で持っていない。日本テレコム、Y!BBなどがもつ自前のネットワークを、VFも使うので、この部分が大きなコスト削減になると考える。

さらに、アクセス回線のフルラインナップがそろい、いつでも誰でも情報のやり取りができる。NTT、KDDIは音声については立派なネットワークを持っているが、データについてはVFとSBグループのほうが他のグループよりも先を行っていると言える。

BBネットワーク、モバイルネットワークが、IPのネットワークで全部つながる。オンデマンドでユーザーの望むものが望む時に使えるというものになる。ネットワークの内容は、WBMのネットワーク、超高速光ネットワーク、世界的に見てもこれだけの完全なネットワークを持ち、しかもコンテンツを持っているグループは他にないと自負している。

端末調達は自前でするとなると茨の道だと思っていたが、VFとの提携で端末品揃えも一気に加速できる。もともとSBが考えていた機能を盛り込んだ端末をこれから続々用意していきたい。

次にシナジー効果だが、お客様にトータルパッケージを提供できる。

営業体制は、VFに1800店の専門ネットワークがある。一方、SBは家電量販などに強いネットワークがあり、ヤフーも強い代理店網を持っている。ブロードバンドも携帯も両方でたくさん売れる。インターネットユーザーを獲得しやすくなると考える。

ヤフージャパンとのシナジーは、コンテンツの販売だ。井上社長に発表してもらうが、ヤフーの強みを全面的に活用していきたい。モバイルコンテンツの充実を図って行きたい。月間300億PVを超えるトラフィック、4200万人のユニークユーザーと、1500万人のVFのユーザーが相互のシナジーを起こせれば大変大きなエンジンになると思う。ちなみに、ドコモの公式サイトのコンテンツは5800、KDDIは4300だが、ヤフーの携帯コンテンツはこれをはるかに超える量、インターネットのサイトも含めると何億サイトという、桁違いのサイトがあり、これらをスムーズに携帯で使えるようになると、インターネットユーザーから見て大変満足できるサービスが提供できるのではと思っている。

最後にVFグループとSBグループでジョイントベンチャー設立を検討するというLetter of intentを調印した。世界を見ると、VFのユーザーは5億人。世界の携帯ユーザーの4分の1がVFのユーザー。このVFグループとコンテンツを持つSBが世界的なジョイントベンチャーを作れないかという提案があり、ちょうどそれは作りたいと思っていた、という返事をした。その方向で検討していくつもり。

世界的なVF live!のユーザー数は3000万だが、潜在的なユーザーの数はVFが圧倒的に大きく、SBの持つコンテンツとVFが組めば、世界にインターネットユーザーの倍いる携帯ユーザーへの道が開けると考える。SB、VFグループを足すと膨大な量の市場があり、チャンスが開けてくると目論んでいる。

たとえば、Eコマースではオークションやショッピングがあるが、ドコモやKDDIはこれらのECからの収入はほとんどない。しかしヤフーはこれらの手数料収入が合計で600億円ある。VFと組めば将来のマーケットは大変大きい。日本のモバイルポータルを世界のポータルにしたい。

VFLive!は、VFJで作ったものがベースになって欧州などでも展開されている。日本の携帯事業を我々に売却するということは、VFにとって先進的なマーケットとのつながりがなくなるというのが、交渉の最初に言われていた。もしVFとSBが組めば、先進的なマーケットで我々がもっと強化したサービスを、VFのワールドワイドのサービスに展開できれば、撤退ではなく強化だということで思惑が一致した。

固定と携帯の融合で、我々が目指すのは「ユビキタスな総合デジタル情報カンパニー」。決して「総合通信会社」ではない。そういうふうに言わないで欲しい。それは我々の志からすると、ちょっと小さい。

06:21 午後 ビジネス コメント (0) トラックバック (1)

2006/03/16

油断も隙もないですね

 うわ、金融界って本当に油断も隙もないな。一瞬「1兆5000億円なんて安すぎ」って思ったのは僕だけじゃなかったっぽい。サーベラスが1兆8000億円でカウンター・オファーを出してきましたよ。

 米投資会社が買収提案・ボーダフォン日本法人(NIKKEI.NET)

 これでSBは1兆8000億円以下の提案はもうできなくなった。シナジーがどうたらとか、関係ない。これより下げたら英Vodafoneの株主が黙ってないだろう。この調子だと、3月中にはクローズまでたどり着かないかもしれませんね。

 ファイナンス的には、もうソフトバンク自身が増資とかMSCB発行とかなんかして、3000億円ぐらい余計に積み上げるしかないだろう。でなければ、カーライルとか別の投資ファンドと連合軍を組んで、自分は業務提携モードに切り替えるか。ここに北尾さんがいれば、敢然と戦いに出ただろうが、今のSBにはこれだけの資金調達スキームを描いてマーケットに売り込める人は、果たしているのだろうか。

 ちなみに、その後もこの件に関するエントリをアップするブログはあちこち巡回してチェックしているが、昨日今日と、面白いエントリが上がったのでそちらをご紹介しておく。はてなダイアラー歴6日目にして突然ストレートの超剛速球を投げ始めた、コンサルタントのクロサカタツヤ氏のブログ。

 ボーダフォンとソフトバンクの行方(1)、 ボーダフォンとソフトバンクの行方(2)(another aspects from txk)

 クロサカ氏は、これまでウェブ上に出たいろいろな意見を的確に整理したうえで、PCの世界のYahoo!に比べて、VFのビジネスの「リアルな個人とひも付いている」というアフォーダンスがPCインターネットの側の事業リスクを低減する、と見る。そのうえで「(ソフトバンクは)ビジネスモデル次第で、今の価格帯と同じ端末やサービスで、既存のビジネスモデルを壊すことができる」と喝破している。すごい。

 ちなみにこのブログ、梅田氏の『ウェブ進化論』への池田信夫氏の書評をばっさり切った批評など、(4日分しかない)過去エントリもものすごい読み応えなので、いきなり通信業界関係者の必読ブログにのし上がりそうな予感。

 というわけで、あちこちで絶望したり投げ出したくなったりしている人もいるようだけれど、僕自身はなんだかんだ言いつつ今日もますますブログの世界から目が離せないのであった。

03:46 午後 ビジネス コメント (19) トラックバック (3)

2006/03/04

ソフトバンク×ボーダフォン関連まとめ

 表題の件、あちこちのブログで猛烈な勢いで分析がアップされているので、ちょっとリストアップ+一言コメントを付しておく。

 リリースが金曜日深夜だったので、ビジネス系メディアはネット媒体も含めて一報を伝えた後に沈黙。もっとも身近な、そして国際競争力があるんだかないんだか分からない巨大業界のルールが、一夜にして変わろうとしている時に、まったく役に立たん。まあ、関係者に必死で取材しようとしてるんだろうけどね。そんなときに、ブログは遠慮無くどんどんさまざまな角度から分析がアップされる。本当に素晴らしい。今後新しい分析記事が出てきたら追加していく予定。 (3/5 2:30、3/5 7:30、3/5 11:20、3/6 0:45、3/6 4:00追記)

 ●ボーダフォン1.7兆円でソフトバンクへ身売り?日経が「大筋合意」と報道(番号ポータビリティ対策)
 ●ソフトバンクは2兆円も出せるのか? ボーダフォン買収(番号ポータビリティ対策)

 SB系の媒体に書いているライターの三上洋氏の分析。今回の買収の最大の狙いは「端末メーカーとの関係を手に入れられること」という指摘はなかなか興味深い。あと、2兆円の買収資金は新株や社債の発行、ヤフー株売却などで捻出するんじゃないか、とのこと。付け加えるなら、後はボーダフォンの資産を担保にしたLBO(Leveraged Buy-Out)ですよたぶん。これなら何とか1兆円は調達できると思われ。

 ●ソフトバンクのボーダフォン買収には反対します(ケータイAlternative)

 同じくライターの三田隆治氏。こちらは「いかにSBといえども、これだけの巨額の投資をしておいて料金を下げるわけにはいくまい。携帯の寡占が強まり価格が上がることには反対」とのこと。このへんの記事を根拠におっしゃっているのだろうと思うが、実際のところ価格を下げずにブレークスルーは可能なんだろうか。なんかちょっと違う気がする…。

(3/5 2:30追記)三田氏から長大な反論エントリが送られてきた。ものすごい読み応え。さすがプロのライターさん。ていうかこんなところにタダで書いていていいんですか?(笑)

 ●本当に大きな変化は起こるのか?ボーダフォン買収(ケータイAlternative)

 割と短期間(これから先1年程度)までの間に何が起きるか、というところでの予想をされている。プロらしい、堅実な記事だなあと思った。予想の内容は、(1)既存プレーヤーの買収ということで、価格破壊よりは業界秩序維持が基本路線となる(2)07年3月までは価格体系を多少いじるぐらいで、Vの政策がほぼそのまま踏襲される(3)中長期的に見てもSBにできるのは海外製の低機能な安い端末を安くばらまくことぐらい、というもの。というわけで、SBには「ボーダフォンを買うよりMVNOを選択せよ」と訴えている。(追記終)

 ●携帯キャリアとしてのソフトバンクの登場。(Mediologic.com/weblog)

 タカヒロノリヒコ氏@mediologicの分析。「VodafoneとYahoo!のブランド・シナジーは、Docomo+gooなんかとは比較にならない強烈な衝撃」「ボタン1つでYahoo!に繋がる端末が発売されるに違いない」との予想。これは面白い。固定回線からブロードバンドネット、無線、そしてインフラからコンテンツまでコミュニケーションの全レイヤー・全カテゴリをグループ傘下に持つ企業の登場で、「最大手Docomo(つまりNTT)も戦略の大幅練り直しが急務」という指摘は興味深い。

 ●ソフトバンクのVodafone買収が引き金を引く携帯コンテンツと国産携帯端末事業の統廃合(雑種路線でいこう)

 南方司氏の分析。方向性の予測としては僕とほぼ同じ。SBには元Jフォン時代の人材が数多く転籍しているので、ボーダフォンの内部事情は筒抜けだろうとのこと。なるほど。あとは、海外低価格端末の調達による電話料金価格破壊のシナリオ。まあこれは予想の範囲内。だれかもう少し電波の帯域利権についての情報を書いてくれる人がいると面白いのだけど、そっちはあまり目新しい話はないのかな。

 ちなみに、ITmediaの+D編集部ブログでは、2/28に
 ●ボーダフォンがつぶやいた「FMCの障害」(+D編集部ブログ)

 という記事が掲載されていて、ここでボーダフォンの津田志郎会長がFMC(Fixed Mobile Convergence)について「アライアンスを検討している」とコメントしたことが書かれている。個人的な印象で言うと、楠氏のブログと合わせて考えれば、おそらくSBの孫正義氏はこの時点で津田氏との顔合わせは既に終えていたのではないだろうか。

 ざっと見渡した限り、SBの買収資金の調達方法と、端末とサービスの競争軸の変化あたりがこれからの論点というところでしょうか。他の論点があるよ、または異論反論あり、といった方々は引き続きトラックバック求む。

(3/5 7:25追記)
 ●ボーダフォン、ソフトバンクが買収か(fareaster)

 fareaster氏のブログ。FMCを考えると、ボーダフォンがSBグループ入りして連携するのはY!BB(個人向けISP)ではなく日本テレコム(法人サービス)ではないか、という予測。

 ●Yahoo!×Vodafone新戦略を妄想してみる(雑種路線でいこう)

 南方氏の追加記事。新サービスはYahoo!とアカウント(課金システム)、メールボックス、サービスなどを共有し、待ち受けや着信画面などにふんだんに広告を組み込むのではないか、など具体的な予想。いやはや、すごいです…。

 ●SoftbankがVodafone(J)買収か!? ケータイコンテンツ屋の悲劇はここから始まる...(キャズムを超えろ!)

 携帯端末メーカーの企画部門にいる和蓮氏が、SBの携帯参入によって携帯向けコンテンツ業界のボロ儲け構造が崩壊するという予測を面白おかしく語っている。ちょう面白い。最後のとこに笑った!

(3/5 11:20追記)
 今朝の日経が「米Yahoo!と英Vodafoneが業務提携」というヘッドラインを流しました。また2兆円の資金調達の内訳として、ボーダフォン(j)のLBOで1兆円、ボーダフォンの増資を英Vodafoneが4000億、SBが2000億程度引き受けることで賄うとの報道も出てます。またVodafoneグループへのコンテンツ提供を米Yahoo!が行い、Yahoo!グループとVodafoneグループの業務提携にまで発展するみたい。昨夜のLBO1兆円の読みは当たりました(フフッ)。

 ●ソフトバンクのVodafone買収 3つのインパクト(近江商人 JINBLOG)

 近江商人JIN氏の分析。このディールのインパクトを、「MNP料金競争の開始、FMCでARPU20,000円の争奪戦開始、モバイルコンテンツ市場の崩壊」の3つにまとめている。そっか、これって個人・家庭における通信・娯楽支出全体のシェア争奪戦と考えるべきなのか。なるほどね。ということは競合はNHKでもあったりするわけか。ぎょぎょぎょ。

 ●ソフトバンク × ボーダフォンの問題整理(SW's memo)

 昨夜GoogleTalkで話していた渡辺聡さんのまとめエントリ。実は火を噴くところは株式市場だったりキャピタリストだったり総務省だったりと、携帯電話業界に収まらないですよーという話。そうなんですよね。米Yahoo!まで巻き込んでの包括提携とLBOによる2兆円の過去最大の資金調達、しかもキャリアだけでなく、コンテンツ業者や端末メーカーを干上がらせ、テレビや法人向けITシステム構築などの業界にまで影響が及ぶとなると、短期的にも中長期的にも、日本経済にとって「大激震」なんですよね、このニュースって。「Yahoo!の"Google"化」、言い得て妙です。

 ●ソフトバンクのボーダフォン買収で、Vodafone Live! が Yahoo! Live! に!?(お仕事日誌&一日一麺)

 渡辺さんとこで紹介されていたayustety氏の分析。NTTグループ再々編とともに、日本の携帯端末メーカー大再編の論議にも火がつく予感。まあ、ここまで来ると今さら「業界秩序の維持」もへったくれもない気がしますが…。どうなるやら。

(3/6 0:45追記)
 ●ソフトバンク、ボーダフォン買収に思う(■財務アナリストの雑感■)

 財務アナリストのdancing-ufo氏のボーダフォン企業価値分析。1.7~2兆円という買収金額は、少なくとも今期中間決算発表の内容を見る限りは妥当な水準とのこと。ま、そのへんは日経の記者もちゃんと計算して記事は書いているでしょうしということで、特に目新しい切り口はなし。やはりファイナンス面の焦点は調達手法の方ですかね。個人的には、1兆円まではLBOで調達可能だと思いますが、それ以上はたぶん無理なので、英Vodafoneの要求する買い取り価格との差をどう埋めるかが焦点となるはず。

 ●Google化するYahoo! JAPAN :ソフトバンク × ボーダフォンの追記(CNET:情報化社会の航海図)

 このブログも引用していただきました、渡辺聡さんのCNETでのまとめ記事。「ネット業界は水平分業から垂直統合へと競争の圧力が変化」、そして逆に「携帯業界は垂直統合から水平分業への激烈なオープン化競争への変化」。これらの変化が、今のところSB×VFという組み合わせから読めてくる。これって、Googleが欧米で起こしている変化の構図と、実は非常によく似ているという指摘が興味深い。

(3/6 4:00追記)
 ●SoftbankのVodafone買収によるYahoo!JAPANのGoogle化を考える(ちよろず。)

 上の渡辺聡さんの言う「Yahoo!JapanのGoogle化」という言葉の意味がわからん!という人にぜひお勧めの、屋島新平氏による分かりやすいエントリ。要するにDocomoやauのような、キャリアによって囲い込まれた疑似インターネットではなく、Yahoo!360やYahoo!BlogといったCGMを通じて生み出されるコンテンツに検索連動広告を挟んで稼げば、端末価格や通信費用を抑えられるじゃん、ということ。

 ●[ケータイ]ソフトバンク、ボーダフォン買収へ(atkondoの日記)

 atkondo氏のこちらのエントリは、CDNの技術からみたWeb2.0的分析。SBが採用を予定しているクアルコムのMediaFLOの技術だと、既存の3Gに専用チップを追加するだけで、ワンセグをはるかに上回るチャネル数と省電力のケータイテレビが可能になるとのこと。こうなると、既にBBTVで42chもの動画コンテンツを持つSBは圧倒的に有利。MediaFLOは、KDDIとどちらが導入が早いかが見物。

 ※このテーマで、3/31に緊急のイベントをやります。ご興味がある方はこちらからぜひお申し込みを

09:31 午後 ビジネス コメント (10) トラックバック (42)

SBが引き金を引く、携帯電話業界の「大殺界」

 ボーダフォンがとうとうチキンレースに音を上げたっぽい。で、身売り先はソフトバンクですか。

 Vodafone、ソフトバンクへの日本法人売却交渉を認める(ITmedia)

 英国の報道によると売却額は1兆円とのことだが、これってちょっと安すぎじゃね?一応日本全国をカバーしてるインフラを持つキャリアですよ?すごいディスカウントセールだな。呆然。

 こんな端末の発表とかもして、ようやく日本市場に本気で合わせていこうっていう機運が出てきたところだっていうのに。あ、そうか、英国の本社の思惑にしたがって動かしたら結局どうにもこうにも赤字が止まらなくなって、結局本社の世界戦略に組み込むのを諦めたからこれが出てきたっていうことなのかしら。なんだかなあ。

 一方、ソフトバンクとしては痛し痒しということなんだろうか。先月初めのITmediaのこちらの記事などを読むと、まずはMVNOでのアライアンスから手を付けようと思っていたっぽい。普通に考えたら、それが一番順当なところだろうね。1兆円の買収資金、いくらカネ余りだからって市場から調達すればそれなりの資本コストはかかるわけだし、ARPUがこれ以上伸ばせない成熟市場の事業に今さら1兆円を張ろうというのは尋常な感覚じゃない。

 だけど、MVNOならソフトバンク以外にもいろいろな新規参入組が相乗りしてくる可能性があるし、Y!BBの時のような固定網とは違って、ネットワークと端末を切り離して汎用品をばらまくみたいな戦略も無線では取れないから、どちらかというとネットワーク自体はなるべく自社と少ないメンバーで囲い込んでおきたい。とすれば、株の過半数を握って取締役会を押さえたうえで、大株主以外のMVNOを受け入れないという選択肢のほうが、なんぼか魅力的でもある、ということなのだろう。

 英ボーダフォン撤退後の実質的な会社のハンドリングについては、孫氏のことだから会長に上がった元ドコモの津田志郎会長を三顧の礼でトップに返り咲いてもらい、指揮を執ってもらうつもりでいるに違いない。津田氏に5000億、ネットワークに5000億の値段をつけた、ぐらいのつもりかも(笑)。そこまではいいとして、やはり問題は今後ボーダフォンのネットワークから1兆円の投資に見合った収益を上げるための戦略が描けるかどうか、に尽きるだろう。その戦略がなければ、いかな津田氏といえどもどうしようもない。

 戦略の天才孫正義の考えることなど、僕には到底想像すらつかないのは当然なのだけど、しょせん泡沫ブログなのだし、外し覚悟であえて予想してみる。

 今までのボーダフォンはNTTドコモのコバンザメ路線だったが、少なくともそれではもう後がないことが明らかになった。auは価格志向のユーザーが多く、ナンバーポータビリティが導入されても簡単にはドコモに流れないだろうが、ボーダフォンはFOMAとできるサービスが限りなく同じであり、このまま行けばナンバーポータビリティの導入によってドコモへの顧客流出がますます加速するだろう。

 したがって、おおまかな方向としては3つの選択肢がありうると思う。1つめは、「女性」という、伝統的にボーダフォンが強い地盤のある顧客層に徹底的にフォーカスした端末、サービスを投入して、ニッチプレーヤーの地位を確立すること。2つめはドコモやauがまだきっちり押さえ切れていない、法人顧客向けの無線IPソリューションをいち早く展開して、企業のネットワークをインフラごと乗っ取ってしまうこと。そして最後の1つは、Y!BB参入の時と同様、ソフトバンクが持つコンテンツビジネスへの相乗効果を期待しつつ、ナンバーポータビリティ導入に合わせて「無料(あるいは定額格安)ケータイ」という、ぶっちぎりの価格破壊に出ること。

 個人的には3つめの選択肢をとってくる可能性がものすごく高い気がする。1つめはいわゆる「差別化」の戦略だが、競合の追随をかわして顧客をがっちり囲い込み続けるのは、極めて難しいだろう。また、2つめの戦略は1つめに比べれば成功した時のロックオンの効果は高いだろうが、企業顧客に自社のネットワークを全部SBに任せようと決断させるには、飛び抜けて優秀な営業マンと飛び抜けて優秀なエンジニアがたくさんいなければならず、しかも時間がかかりすぎる。1兆円の投資の成果がすぐに目に見えない。

 3つめの戦略は、携帯業界にとっては「大殺界」だ(笑)。ドコモ、auもこれをやられたらもう逃げようがない。自社のもつネットワークのインフラが「収益基盤」から毎月莫大な赤字を垂れ流す「過剰債務」にある日突然変化するのを、指をくわえて眺めているしかない。もちろん、追随値下げしなければ顧客は全部ソフトバンクのものになるだけ。まさに悪夢のシナリオだが、ソフトバンクが1兆円のカネを張っても意味があったことを市場に見せつけて勝つためには、もうこれしかないだろう。

 というわけで、ナンバーポータビリティ制の導入はソフトバンクの登場によって、携帯電話業界の最悪シナリオを実現する引き金になりそうな気がしてきた。たぶんこれから、各社とも必死でこのさらなるチキンレースからの脱出をはかるべくあがきまくるだろうが、さてどうなるか。数年後にはドコモ、auの大リストラが待ち受けているような気がして仕方がない。南無。

10:35 午前 ビジネス コメント (11) トラックバック (15)

2005/12/22

郊外出店規制じゃなくて、中心市街地商店廃業強化が必要じゃね?

 すったもんだの挙げ句にようやく出てきました、大型店出店規制のまちづくり3法改正案。でもおまいら遅すぎですよ&何だかスジが悪そげ。

 大型店の郊外出店を制限、1万平方メートル以上対象・政府案(NIKKEI.NET)

 1万㎡以上っていうと、家電量販で首都圏最大規模って言われているケーズデンキ東京ベイサイド浦安店の売り場面積が約8000㎡だから、単独の専門業態店でこの規模を超えるところってたぶんほとんどない。規制の焦点は明らかにイオン、ベイシア、プラントなどのウォルマートライクな大規模スーパー、ショッピングモール、あと一部のホームセンターか。

 しかし今さら遅すぎだっちゅーの。ホームセンターについては、10月にこんな記事とかも出てたしねえ。流通業の側からしたら、今さら政府に言われなくっても店舗面積の上限に挑戦する時期というのはもうとっくに終わってると思うんですが。

 地方都市のスプロール現象を防ぐための大型店出店規制は、今年の5月頃に内閣府がやった調査で国民の50%が「大型店イラネ(゚⊿゚)」と答えた、とか発表されるなど、足場作りは進んでいたっぽいが、例によって邪巣湖などからおアシをいただいているネオ自民党が大反発、国交省内で進んでいた都市計画法改正案が止まってた。っていう理解で、いいのかな?それとも反発したのはクラシック自民党の方だろうか。意外に、そっちのスジのほうがあり得るかも。よくわからん。

 アンチ邪巣粉の私R30としては、出店規制そのものには賛成。でも日経の記事によれば、この規制は「郊外への店舗進出に歯止めをかけ、停滞する中心市街地の活性化を促す」のが狙いだそうだ。残念ながら、そういう意味ではこの法改正、以下の2つの理由でこの狙いは実現できないと断言してもいいと思う。

 1つは「もう小売りはSC内場所貸しがメインの一部の企業を除き、別の方向(つまり店舗面積の適正化)を向いてますよ」ということ。専門業態店で1万㎡以上の店構えが必要なところなんてないわけだから、この規制そのものが日本の地方の幹線道路沿いのチェーン店だらけのみっともない光景をなくすわけでもないし、ましてや幹線道路沿いのロードサイドの方が商業集積として便利な以上は、規制したからすぐに中心市街地に客のにぎわいが戻ってくるなんてことはない。

 もう1つは、大型商業施設を開発できる地域を中心市街地に限ったからといって、イオンなどの流通デベロッパーが中心市街地を何とか開発したろうとは、絶対思わないよということ。彼らが郊外の市街化調整区域に開発の目を向けたのは、カネを積まれれば広大な田畑を手放してもいいやと思う地主農家がたくさんいたからであり、しかも1万㎡の店舗を作るのに必要な土地(店舗はたいてい平屋建てなので、その2倍近い駐車場と合わせると最低でも3万㎡以上の土地が必要)が簡単に手に入ったからだ。

 ところが中心市街地はそうではない。商店街には開店休業のシャッター通りになっているにも関わらず、税務署にはまだ「営業」していることにして、猫の額みたいな土地なのに固定資産税の大部分を免除してもらって暮らしている人がたくさんいる。彼らは農家と違って何よりその地面の上に住んでいるし、近くに大型商業施設が来れば棚ぼたで自分の土地のあるところの回りにも客が来ることを知っているから、簡単には土地の買収にも応じない。デベロッパーは、そんな猫の額地主がうじゃうじゃいるところで3万㎡の商業施設用地を手に入れられるのか?まあ、まずあり得ないでしょう。

 そんなバカなことするぐらいなら、郊外の幹線道路沿いに駐車場を取り囲むようにして5000㎡ぐらいの店を3店ぐらい建て、その回りに「勝手に」チェーン店を集めるネイバーフッド型SC(NSC)でも作った方がずっとましだ。で、たぶんこれから日本の地方の商業開発はウォルマート型メガスーパーや大型専門店を核とした高集積RSCから、集客力のあるいくつかのチェーン店を3つほど集め、中央に供用駐車場を作るNSCにシフトすることだろう。だからやっぱり中心市街地に商業施設は戻ってこない。

 そもそも、日本の田舎というのはもうクルマしか移動手段がないのである。で、中心市街地というのはたいてい古くからの町とかであればあるほど、まっすぐの大きな道路がなくて細い道がくねくねと走っている。そんなところにでかい商業施設など作って週末になるたびに郊外からクルマが殺到したら、都市機能はすぐにパンクしてしまう。

 内閣府の調査を見て疑問に思うのは、この調査に答えた「全国の成人男女3000人」のうち、首都圏と近畿圏以外の人って何人なんだよ?ということだ。大都市圏に住んでいる人間にしてみたら、そりゃ郊外型大規模店なんて要らないだろうさ。でも、田舎の大規模店というのは、家族が週末に遊びに行ってそれぞれの興味の持てるものを眺めて楽しめ、帰りに1週間分の食料も買いだめして来