某えん罪事件の映画の件
映画そのものは見てもいないわけですが、あちこちで盛り上がり始めているのでちょっと一言。例の、前田有一氏曰く「すべての男が見るべき大傑作」、磯崎先生曰く「他人にどうすすめてよいのか分からない」と悶絶されるところの、あの映画でございます。
まあ、いろいろな意味でフジテレビ亀ピーGJ、なんでしょうね。素直にそう思います。痴漢えん罪がどうこうというのでなく、司法というのがいかに不条理な世界であるかというのを、これから4年以内に「裁判員制度」が始まる前に、国民の皆さんがよく知っておいた方がよろしかろうと。 知ったからどうこうなるものでもありませんが。
不肖私もこの前とある刑事事件で地元の警察に原告側証人として呼ばれ、調書作りにつき合わされたのですが、いやもうなんというか「職業としての司法」というのはこういうものかと絶句致しました(警察は厳密には行政ですがね)。最近は公務員に成果主義導入とか話題になっているようでございますが、警察には既に業績評価賃金が導入されているかのごとくでございます。とにかく明確で疑いを差し挟む余地のない事件を立件するのが職務ですから、そのために刑事さんってのはグレーもすべて「クロ」と断言させようと、誘導尋問しまくりなんですな。
こちらは一応原告(被害者)の人にとって唯一の頼れる証人ということもあり、あいまいな証言をすると加害者が無罪放免になっちゃう恐れもあり、まあ多少の誘導尋問には目をつぶるしかないかと思ってもいたんですが、それにしてもこっちの話の意図や目撃内容を必死にねじ曲げて、あたかも犯罪があったのが自明であるかのようにでっち上げようとする様子が、本当に痛々しいことでございました。
逆に考えると、自分が何かのはずみで事件に巻き込まれ、加害者の嫌疑をかけられたら、裏でこうやってものすごい勢いで周辺に誘導尋問されて罪をでっち上げられるんだろうなと思うと、とにかくああいう場にかかわりにならない生き方をするのが善良なる市民の責務でさえあると思うようになりました。
以前にどこかで読んだ気もするのですが、満員電車の中で女性に手を捕まれて「あなた、痴漢でしょ!」とか叫ばれたら、「違う」と主張したり「出るとこ出てやろうじゃないか」とかバカなこと考えたりしないで、とにかく脊髄反射的にすぐに手を振り切って、脇目もふらずに電車を降りて(あるいは別の電車に飛び乗って)人混みに紛れて逃げるのが最上の策であるらしいですね。自分自身は痴漢したい衝動に駆られたことも痴漢したこともありませんが、万が一痴漢扱いされたら脊髄反射で脱兎の如く逃げられるように、いつも心構えはしているつもりです。
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コメント
>「違う」と主張したり「出るとこ出てやろうじゃないか」とかバカなこと考えたりしないで(中略)人混みに紛れて逃げるのが最上の策であるらしいですね。
その代わり、それやっちゃったら「やられた女の側が」深く根に持って狂って新たな事件の温床化しますな。はっはっは。
>万が一痴漢扱いされたら脊髄反射で脱兎の如く逃げられるように、いつも心構えはしているつもりです。
そういうこってすな。そのためにも、話で分かる人には、話。実演しなけりゃ分からない馬鹿には、実演。個々の知性差に応じた教育っつうですか? そういうの。重要でしょうね。
皆が皆、言えば分かる人だけなら、世の中お気楽なんですけどね。
投稿: ハナ毛 | 2007/01/21 16:25
大体そんなこと言い出したらシャチョサンだって「私から2度まで米野菜貰ってメールで要らん数値出してる」訳ですから。
まあ、あまり大きなことは言えませんよね。
斯く言う私も、平気な顔して悪戯三昧ですから。そこは、合い身互い身。頑張ってくださいね。
あと。春先東京へ出るんですけど。お米とか、要ります? ん?
投稿: ハナ毛 | 2007/01/21 16:28
シャチョサンの疑念(?)を解くべく正直に言っときますけど、1回目にお会いしたとき戴いた名刺は帰宅後焼却処分してますし、2回目にお会いした後(少々)やり取りしたメールは、脊髄反射返信したら即削除。何も覚えておりませんよ。変な悪さとかする気は毛頭ありませんから。
そういうことで。
投稿: ハナ毛 | 2007/01/21 16:32
逃げ出すのも結構リスキーみたいですよ。
痴漢冤罪シュミレーションってのを見つけましたのでお試しあれ。
http://pya.cc/pyaimg/pimg.php?imgid=19664
投稿: iseeker | 2007/01/21 17:37
だから、女性専用列車などいらないから、さっさと男性専用列車を作って欲しいです。善良な男性を女性と警察から守るための。
投稿: とおりすがり | 2007/01/21 21:18
痴漢被害に苦しむ善良な女性がごまんといることは社会的に広く認知されているわけですから。痴漢冤罪についてもその影響がある程度定量的に分析されてくれないと、いつまで経ってもバックラッシュとか言われちゃうだけでしょうね。
痴漢冤罪は男女の問題というかR30さんが仰るとおりケーサツの問題ですから、この映画のテーマが痴漢冤罪と見られるか警察の腐敗と見られるかで社会的なインパクトも変わってくるでしょうね。ちなみに僕はキャー痴漢よと叫ばれたらおそらく示談を選びます。
投稿: m | 2007/01/22 11:54
刑事裁判において被害者は原告ではありません。ていうか、刑事裁判に原告はいません。検察官と被告人の対立構造であるという点はご理解下さい。駄文失礼しました。
投稿: Desperado | 2007/01/22 21:07
痴漢の冤罪を経験したことがあるものです。幸いにも私の場合は無実を証明することができ、今は普通に社会生活を送れています。
しかし捕まった際には、裁判官の拘留質問では当然の様に拘留決定、警察、検察共にお前がやったんだろうとしか言いません。22日間の拘留を経験しましたが、やっても居ないことを、延々と取調べでおまえがやったのだろうと言われ続けることは本当に精神的に辛いことでした。今でも寝ている間に、この時の夢を見て目を覚ますことがあります。
このとき心の支えになったのは、会社の先輩同僚、友人、そして同じ檻の中の人々でした。幸い当時の会社は全面的に私が無実であることをバックアップしてくれ、弁護士も雇ってもらったり、ほぼ毎日のように先輩方が面接に来てくれたりと、くじけそうになった時でも本当に支えになってもらったのを覚えています。友人も休んで面接に来てくれたりしたことは本当に今でも忘れられません。檻の中の人々は皆罪を犯した人しか居ませんでしたが、真摯に話を聞いてくれて励ましてくれました。
もちろん嘘でも罪を認めることは簡単にできました。示談にすることが一番簡単でした。常にくじけそうになりましたが、それでも耐えて何とか無実を勝ち取った時の気持ちを今でも忘れられません。無実の罪を認めてしまうのは自分の尊厳を失うことです。
現在は海外で生活しており、この映画を残念ながら今見ることはできないのですが、日本の人が少しでもこういう理不尽なことをに目を向けてもらえればと思わずには居られません。
投稿: a | 2007/01/25 12:43
>aさん
貴重なお話を書き込んでいただきまして、ありがとうございました。
投稿: R30@管理人 | 2007/01/26 01:49
この取調べの方法を、ネット内の快楽いじめに悪用している人がいるのには言葉がない。
その上、取調室には数人しかいないのに、ネットでは、ちょっと事実関係をほのめかせば、新たな取調べ人がいくらでも現れる。悲しいことに、その新たな取調べ人は力量などを考慮されつつ、結局は、使い捨てにされるわけだし。
一度集団ヒステリー状態になると、もうどにもならない。
そうだな、ネットの個人を救う意味でも署名活動して、そこには実名ハンドルだろうがなんだろうが、一覧をつくって、仲間を守る意思表示が必要なんだと思う。また、快楽いじめをするものも署名を集めるだろうけど、いずれ真実があきらかになったとき、集団ヒステリーでしかなかった人たちは反省すると思う。
今は、きっと個々に、彼の友達が暖かく包んでいるだろうけど、花見の暖かさになったら花見をかねて、R30チンが幹事になって歌舞伎に大勢で観劇にいくというのはどうじゃ? ま、夏でもいいけど。
とにかく人数が多ければ多いほど参加者も気楽だろうし、快楽いじめがネットからなくなってほしい。じゃなければ、ネットなんてイラナイ!
投稿: noneco | 2007/02/25 10:51
見ました。エンターテイメントとしておもしろくありませんでした。しかし、映画としては警鐘という意味ですごく価値がありました。しかし、妻はあまり喜んでいませんでしたね。
投稿: りん! | 2007/03/09 11:06
>>R30さん
私の存在自体がスパムで申し訳ないんですけど、失礼します。今月いっぱい時間使って、こちらのブログで放言させて頂いた文章の回収作業に入らせて頂きますので。その旨お伝えに上がりました。
基本的に回収した文面はワードパッド(チラシの裏)に俺メモリアルとして保存しておきます。当面ブログを開設する気はありませんので、他所への流用は、致しません。あくまで個人保存用とさせていただきます。もし今後気が変わって自分でブログでもやってみようかという段に成りましたらご挨拶に上がらせて頂きますので。その節は宜しくお願いいたします。多分、そうなった暁には今までのような無礼放言に及ぶことは無くなりますので。それが味と思われておられるようでしたら、肩透かしかもしれませんね。
短い間でしたが、ご厚情賜りまして、誠に有り難う御座いました。
追記:過日頂きましたmixiへのお誘い、有り難うございました(←言っていいのかな? コレw)。当面、参加する気はありませんが、何かまたきっかけでもあれば、その節は宜しくお願いいたします。手前勝手で申し訳御座いませんが、そういうことでご諒解頂ければ幸いに存じます。
それでは。
投稿: ハナ毛 | 2007/03/10 17:56
はな毛さんの新しい門出に、少し寂しさも感じつつ、乾杯!
投稿: トリル | 2007/03/12 11:10
今日、たまたまこのBlogをみました。
他でも書いた内容となりますが、私の先輩である弁護士に金額が幾らかかるのか聞いたことがあります。
再現ビデオも含め、なんと900万円だそうです。
しかもえん罪ですから勝っても、そのお金と時間・労力は被告には戻ってきません。
ですので大変疲労感の残る裁判になるそうです。
投稿: いりえ | 2007/11/22 18:14