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2006/12/29

拝啓FT様 サービス業の生産性について

 英FT誌の安倍政権批判記事が結構面白くて、gooニュースの中でもアクセスを集めているみたいだ。

 「破壊者」を無視する余裕など日本にはない―フィナンシャル・タイムズ(gooニュース)

 英国系経済メディア独特の回りくどいレトリックとロジックが駆使されているので、ネット上の特亜批判的な分かりやすい罵倒記事を読み慣れた人には何を批判しているのかよく分からないだろうが、まとめると以下のような感じかな。

 「ライブドア堀江がつるし上げにあったのは、彼が攻撃しようとした日本の政治・経済を牛耳る保守的なエスタブリッシュメントたちのせいだ。この連中は一見進歩的知識人の皮をかぶって安倍政権のブレーンとなっていたりもするが、実際のところ彼らの主張は『世界トップの日の丸製造業をもっと保護せよ、外資の侵入から日本を守れ』ということだけだ。要するにお仲間クラブの馴れ合いを守りたいだけなのである。かつて小泉政権で大胆な改革に踏み出しかけた日本の政治も、経済政策に定まった知見のない安倍首相になってから元の黙阿弥になってしまった。中国・インドにのされようとしている既存の大企業や製造業を保護するのではなく、網の目のように張り巡らされた規制の撤廃によって芽を潰され続けてきているベンチャー企業、またはサービス業にもっと大胆な可能性を与えて、第三次産業の生産性を上げなければ、日本に将来などない」
 細かい部分についてはさておき、FTアジア担当コラムニストのグイ・ド・ジョンキエール氏によるこの主張自体にはまったく同意だ。安倍政権の経済政策について「財政赤字を削減し、時期尚早な金利引き上げで景気が失速しませんようにと祈る――─安倍氏の経済政策とは結局、これくらいしかなさそうだ。」と喝破するに至っては、お見事というほかない。

 まさに日本のややこしいところは、歴代自民党政権にも密接に関わるメインストリームにいる「進歩的(リベラル)」とされる知識人・経済人の多くが、実は言葉の本当の意味での「リベラル」ではない――米国のリベラリストのように、あらゆる人種・立場の人々に対する可能性を損なわないように配慮する役割を重んじるのではなく、日本の同じメインストリームにいる人たち(企業、団体、個人)が立場を失わないように配慮する役割も、同時に担っているというところにある。

 日本の場合、リベラリストはリベラリストというだけで社会的に尊敬され、その地位を維持できるというわけではなく、「お仲間クラブ」の誰かのメンツを潰すようなことをした瞬間に、その「お仲間クラブ」から追放されてしまうのである。したがって日本でエスタブリッシュメントであろうとすれば、米国の上流階級の人たちと渡り合える「リベラリスト」であると同時に、必然的に仲間をかばう「保守」たらざるを得ないのだ。財界・学界だけでなく、これこそが「リベラル」と「保守」が同居する自民党政治の本質でもある。

 小泉前首相は、その意味で言えば実は徹底的に自民党お仲間クラブの「アウトサイダー」でもあった。だからこそあれだけ豪快な改革をやってのけられたわけだが、安倍氏は残念ながらそうではないということが早々に明らかになってしまった。さて、日本の人たちは一見リベラルでその実極めて保守なお仲間クラブの人たちが再び凝集して密室で談合する政治への逆戻りをよしとするのかしないのか、というところが2007年の見どころだろう。

 さて、その話はともかくとして、ちょっと気になったのはジョンキエール氏の論考の後半の段の「製造業よりサービス産業の改革とその担い手としての『破壊者』、つまり堀江のようなイノベーターが必要だ」というくだりだ。ロジックそのものには全面的に賛成するものの、例示や理解が間違っている。そこのところを補足しておきたい。

 ジョンキエール氏はサービス産業の労働生産性が低いことの証明として「銀行の窓口」を挙げているが、これは必ずしも正鵠を射ていない。日本の労働生産性が先進七カ国中最低となっているのは、確かに全産業中労働投入量の58%を占めるサービス産業(第三次産業)の労働生産性が全産業より16%も低いせいだが、金融サービス業自体の労働生産性は、国内平均値よりも高い。やや古いデータだが、2001年の産業構造審議会のこちらのデータ(PDF)の、7ページ左下のグラフを見れば分かる。金融業は、全産業の平均以上のところにいる。

 これに対し、労働生産性が著しく低いのは、「飲食」「商業」「生活支援サービス」の3つだ。日本の労働生産性統計の足を思いっきり引っ張っているのは、このうち第三次産業全体の労働投入量(労働者数×平均勤務時間)の34.7%と、3分の1以上を占める「商業(卸売業、小売業)」である(ちなみに、飲食業の労働投入量は7.0%、生活支援サービス(介護、保育)のそれは3%弱)。ちなみに、僕の手元にあるデータによれば、小売業の労働生産性は国内全産業平均の52%、卸売業のそれは59%しかない。

 さらに細かく見ていけば、小売業の中でもっとも労働投入量の多いサブセクター、それは家族経営商店(全小売業の55%)である(こちらのデータ(PDF)の9ページ上の図参照)。僕の手元にあるデータによれば、家族経営商店の労働生産性は、ただでさえ低い国内の小売業の労働生産性平均に比べて、さらに40%も低い。要するに、地方のシャッター通りの商店街にある、商売をやってるのかやってないのかも分からないような無数のお店が、日本の第三次産業の労働生産性を思いっきり引き下げてるってこった。詳しくはこのブログの過去エントリ「郊外出店規制じゃなくて、中心市街地商店廃業強化が必要じゃね?」をどうぞ。

 で、誰がこんなとんでもない構造を作り出してるのかってことも、そのエントリに書いた。ありていに言っちゃえば、流通分野の中小企業にありとあらゆる補助金を与え、固定資産税を軽減し、開店休業状態でも店を閉めないほうが税制上有利になる仕組みを作ってきた政府ですよ。ジョンキエール氏は労働生産性の著しく低い日本のサービス産業の事例に、都銀の窓口などではなく、「どこの田舎でもいい、JRの駅を降り立ってすぐのところに、生きているのか死んでいるのかも分からないような静まりかえった小さな商店の連なるモールがある。日本政府は何十年もの間、莫大な税金を投入して、この競争力のまったくない個人商店をひたすら生きながらえさせ続けているのだ」とでも書けば良かった。都内の銀行は、ここで言う「サービス産業の低生産性」の事例としては、いささか適切ではなかった。

 まあ、それはともかくとしても、「日本の問題は、有望な新興企業が少ないことではない。有望な新興企業が、なかなか大企業にまで成長できないのが、問題なのだ」といった指摘は、正しすぎるぐらい正しいので、この1件をもってジョンキエール氏の論旨を否定するものではない。どこの誰とは言わないが、「サービス業=金融業」とか勝手に読み替えて外資ハゲタカ批判してる人とかは、大いに反省した方が良いよ。

 というか、これだけストレートに日本経済の問題点をきちんと指摘できるエコノミストが、日本国内に皆無ということのほうが、はるかに大きな問題だと思うのだけど。やっぱりアレですね、日本人エコノミストたるもの、サービス産業がすでに国内の総労働投入量の3分の2を占め、年々増え続けていると分かっていても、偉大なる我らが経団連様の前では「やっぱり日本はものづくり、製造業立国ですよねはっはっは」とか言わないといけないのですよ。

 もしそこでとちくるって「いやだってサービス産業のほうがずっと深刻な問題じゃないですか、医療とか教育とか、もっとガンガンに規制緩和すべきです」などと正論レポートを書いた瞬間に、それこそ政財界の「お仲間クラブ」からパージされてしまうという、この息の詰まるような閉鎖的言論空間そのもののほうがずっと大きな問題かもしれませんね。ではこのへんで。読者の皆様も良いお年をお迎えください。

追記:文中で「手元にあるデータ」と記したものの類似データがネット上に公開されてるのが見つかったので、リンクを張っておく。2004年の経産省のもので、データ(11ページの「サービス業における労働生産性」のグラフ)は1999年のもの。

08:06 午後 経済・政治・国際 コメント (13) トラックバック (2)

2006/12/25

収税係 is coming to home!

 ♪You better watch out, You better not cry, better not pout, I'm telling why. The 収税係 is coming to home♪

 というクリスマスらしい陽気な音楽にのって(嘘)、我が家に警察ならぬ市役所から未納住民税の取り立て係がやってきた。追徴金の額は1億1600万円…じゃなく、3000円である。

 彼女(たぶん60歳ぐらいのおばさん)は、2カ月ほど前にも1度我が家に来られたのだが、僕が「どういう理由で追加の税金を納めなきゃいけないのかちっとも分からないので、その理由を説明してください」って言ったら、ほぼ即答で「今分からないので、調べてきます」と去っていったのである。そして待つこと2カ月。彼女はきっと、あれから東京・霞ヶ関の財務省内部に決死の覚悟で潜入し、2カ月の内偵を終えて僕の質問に答える物証をつかんできたに違いない。

 このたった3000円の税金の未納は、実は昨年の秋ぐらいから自宅に「未払住民税のお知らせ」という封書がたびたび届くようになっていたのだが、「理由不明」とみなして放置していたものだった。何度か督促状が来たのち、今年の秋についに封書ではなく収税の担当者が直接おみえあそばしたというわけだ。

 で、僕が再び「どうして追加の税金を納めなければならないのか理由を教えてほしい」と尋ねると、彼女はおもむろに僕の出した2年前の確定申告書を出して、「雑所得」欄に僕が書いたアルバイト原稿の原稿料のところを指さして言った。「ここの分の住民税です」

 でもその原稿料は、所得税の源泉徴収はすでに払われているはずだったので、僕は「これまで普通に住民税も払ってきているんですけど、どうしてその雑所得に対する源泉徴収以外にさらに住民税を払わなきゃいけないんですか?」と質問した。すると彼女は「分からない。市役所の収税課に聞いてみてください」。いや、その、2つめの質問でもうアウトですか?(笑)この2カ月何して来たんだか。

 またかよと思いつつ、ここでまた追い返すと、このくだらない3000円の件が3年越しになってしまう可能性が高く、ここにいる誰も得をしないなと思ったので、玄関口に彼女を待たせたまま、電話を取ってきて彼女の指し示した「収税課」の番号に電話をかけた。「すいません。雑所得に対する住民税が払われてないって今、家に来ている収税係の人に言われてるんですけど、既に源泉徴収で払ってるんじゃないんですか?源泉徴収って、国税だけに100%入るんですか?」と聞くと、電話口の収税課職員がもごもご言った後に「分かりませんので、ちょっとお待ちください。のちほどかけ直します」。…収税課の人間が、自分が今取り立てようとしている税金の根拠も知らんのかいな。

 で、しばらく待っていたら電話がかかってきて、はきはきした女性の声で「雑所得に対するものではなく、給与所得とすべて合算したうえで、既にいただいている特別徴収額との差額をご請求させていただいております。源泉徴収に住民税は含まれておりませんので」。やっと納得し、目の前の年輩女性に3000円払った。ちなみに、僕の税に関する疑問にいつも一番明快に答えてくれる公務員って、たいてい若い女性担当者だったりする。なぜなんだ(笑)

 前々から思ってることだが、税金集めてる連中って、本当に全然自分たちの集めてるカネのロジックを知らずにやっている。まあ、税の体系は複雑怪奇だから全部頭に入れられないのかも知れないが、ロジックを知らずにかけずり回ることの積み重ねがどんだけの無駄につながるのかということの意識がないのが、まさに官の官たる所以。だいたいそのカネはなぜきちんと確定申告なり源泉徴収なりの、通常プロセスの中で集められなかったのか。それをきちんと分析して今後のプロセス改善にフィードバックしなければ、たった3000円のために職員がわざわざうちに2回も訪問するなんてことになる。徴税コストのほうが徴税額よりずっと高くつくじゃねえか。

 たとえ当該案件の課税のロジックが出てきたとしても、職員によって言ってるロジックが違うことがままあるので、同じ税務署内の違う職員に確認するだけで、数万円とか数十万円も課税額が変わったりもする(これも経験済み)。今回はそういうことはなかったが、税金を払うときはロジックをよくよく確認して、自分で納得できるまで税務署内のあちこちの職員に尋ねて回った方が良い。これ、確定申告のジョーシキである。

 それにしても、そもそも源泉徴収に住民税が含まれないことぐらい、どうして地方自治体で収税業務している職員が即答できないのか?税金と国民年金の徴収窓口を統一、という話が出てるが、そんなややこしい話以前にそもそも地方税と国税の収税業務を税務署か地方自治体のどちらかに集約したらどうなのか。めんどくさくてしょうがない。

 まったく、クリスマス当日にとんだ来訪者だった。ま、今年は住宅ローン減税でがっぽり年末調整が戻ってきたから、いいけどさ。収税係の皆さんも、こちらのレシピ等もご参考にローストビーフなどご用意しつつ、せいぜい良いクリスマスをお過ごしください。

03:53 午後 経済・政治・国際 コメント (4) トラックバック (0)

2006/12/13

書評『ヒューマン2.0』、または流動化のための心得集

ヒューマン2.0 web新時代の働き方(かもしれない) 最初に断っておく。先日出版記念パーティーにお誘いを受けた。久しぶりにお話しがしたい知り合いからのお誘いでもあったので、忘年会も兼ねてと思い、ひょいひょいと顔を出した。上はMSKKの古川さんから、下は僕のような舌禍ブロガーまで、ものすごいレンジの人が集まっていた。参加者が20~30代の男性ギークだらけだった梅田さんの『ウェブ進化論』の出版記念オフ会と比べて、渡辺さんのお客さんは幅が広いなあと感じた。

 で、本を受け取って渡辺さんにお祝いのごあいさつをしに行ったら、サンタ帽子をかぶったちょうかわいい渡辺千賀さんに「ここに来たからには5冊以上買うこと!」と笑顔で脅迫された。出版記念パーティーの席上で、サンタコスプレした著者が列席者に向かって「献本もらったんだからブログで紹介し、さらに1人5冊ずつ買え」とか脅すのを見たのは初めてだ。サンタにあるまじき所業。シリコンバレーのサンタっちゃ、えずか(恐ろしい)ばいね!というわけで、全部ネタばらしした上でアフィリエイト貼っておく。ディス・イズ・クチコミ2.0。

 で、本の中身なのだが、すでに「働き方」というコンテンツの本丸については、千賀さんの三菱商事時代の1年先輩かつ親友でもある岡島悦子センセイが「ヒューマン2.0的な働き方の波は日本にもやってくるか?」という命題について、余すところなく論じていらっしゃるので、僕が口を差し挟む余地は特にないかな、と思う。

 ただ、岡島さんが述べているのは、リアルなヒューマン2.0的ワークスタイル、つまり「フリーランス」あるいは「(非熟練ではなくプロフェッショナルワーカーへの)アウトソース」という事象についてであるが、僕はもう少し広い意味でこの本を座右の書にする人が多くても良いかな、と思っている。それは、帯で孫泰蔵氏も書いているように、「会社に依存しない」というメンタリティを持つ、あるいは持ちたいと思うすべての人々が身につけるべきマインドセットが、ここに極めて分かりやすく面白く描かれているからだ。

 この本を読むと、たとえば日本の昨今の教育における議論やそこで持ち出されるテーゼが、労働力の流動化する社会において本来持つべきマインドセットからいかにあさっての方向を向いたものであるかが、ものすごくよく分かる。本書の第8章「ヒューマン2.0のルール」では、「仕事」「転職」「楽にやる」「リスクを楽しむ」「サバイバルする」という5つの項目に分けて14のルールが紹介されているが、その中に「理論上の『本当の自分』を探さない」というルールがある。要するに、万物流転、情報混沌のシリコンバレーにおいては、「自分は本当はこういう人間だから、こういう仕事をすべきだ」といった発想で仕事を探してはいけない、むしろ小さく週末のバイトみたいな形でこっそりやってみたり、小さなプロジェクトベースで始めてみて、自分にできるのか、合うのか確かめていくべきだ、というのが渡辺さんの言い分だ。

 聞けば当たり前のことのように思えるが、こうした「パラレルキャリア」「セカンドキャリア」の発想を持って人生を送ろうと考える人が、日本では意外なほど少ない。僕よりも上の世代は「天職」という概念、僕より下の世代は「あなたが一番好きなこと、やりたいことをやりなさい、仕事にしなさい」と教え込まれ続けてきたことが、職業選択やワークスタイルの極度の硬直化を招いている。会社が自分のことを必要としていないことを自分自身分かりすぎるほど分かっていながらそれでも会社にしがみついたり、「自分が本当にやりたいと思ってきた仕事」を高望みしすぎて目の前の労働機会と自分の人生に絶望し、無気力になってしまうといった不幸な人たちが数多く生まれてしまうのも、これまでの公的教育において教えられてきた誤ったワークライフ概念の結果のように、僕には思えるのだ。

 また、その次に書かれているルール、「時にはあきらめる」ことも、実際に見ているとできない人が多い。ここでの「あきらめる」は、無気力になるという意味ではなく、「戦略的撤退」のことである。自分の能力を超えた問題が目の前にある場合、耐え難く嫌な人間が職場にいてその人事権を自分の力ではどうにもできない場合は、「職場を変える」つまり自主的にその会社を去ることが大事だ、と渡辺さんは書く。これまた当たり前の話なのだが、実際には常日頃から刷り込まれてきた「とにかくがんばれ、為せば成る」という自意識の脅迫観念にさいなまれて、どうにもできないことが分かっている状況に突撃を繰り返し、燃え尽きてしまう優秀な人が後を絶たない。

 そういう、本当は蒙るべきでないはずの不幸を蒙っている多くの日本のビジネスパーソンに、1人でも多くこの本を読んでもらいたいと思う。前半だけ読むと、海賊みたいな超絶コンピュータ・ギークの跋扈するシリコンバレーの攻撃的な風土が鼻につきすぎるきらいがある。「別に俺ギークでもシリコンバレー信奉者でもないんだよ」という人は、前半はあえて読まなくても良い。ぜひとも読んでほしいのは後半だ。

 文系な方には、ぜひ6章の「人生とお金」あたりから読み始め、日本の生活環境のぬるさと幸せさを実感した後で、7章「シリコンバレーで誕生する4つの働き方」で未来の日本のナレッジワーカーの姿と自分のキャリアのあり方に思いを馳せ、8章「ヒューマン2.0のルール」でそれを実現するためのマインドセットと現在の自分の意識ギャップを測ってみる、というのがオススメだ。会社で日々上司と経営トップの悪口を同僚と愚痴っている人は、自分が人生の貴重な時間そのものを無駄にしていることに気がつくだろう。そこに気がつけば、それこそがあなたにとって「ヒューマン2.0」の第1歩。明日から、パラレルキャリアでもチャンクワーカーでも何でもいい、来るべき将来のワークスタイルをイメージして、自分をそれに合わせるための前向きな行動を起こせる。

 こういう言い方をすると新興宗教みたいでアレだが、この本に書かれている渡辺千賀式マインドセットをきちんと自分に言い聞かせ、実践できるようになれば、必ず「ラッキーになり」「ハッピーを最大化し」、冒険で自由な楽しい人生を送れるようになると思う。実際、僕自身も今の会社に来てから、このマインドセットと同じことを教えられたなあと、思い当たるところはたくさんある。シリコンバレーに行かなくても、「シリコンバレー的精神の自由」は手に入れられるものだと、僕は信じている。この本は、そういう「働くことの夢と楽しさ」を、落語のような軽快でユーモアにあふれた文体で教えてくれる本である。

11:50 午前 書籍・雑誌 コメント (26) トラックバック (11)

2006/12/08

コンテンツ品質とIT活用のコストはタダではありません

 なーにが「過剰」だよ。インターネットをバカにするのもいい加減にしろ。ふざけんな。僕だったらこんな仕事、7億円ぽっちじゃあ到底引き受けねーぞ。無茶言うなよ。

 過剰広報予算:小泉メルマガ、官邸HPに年間7億円超(MSN毎日インタラクティブ)

 毎週一国の総理とその閣僚に旬の話題のコラムを書かせ、誰が読んでも分かりやすいように書き直しつつ、文章の中に含まれている文言に関係する省庁すべてに筋を通すという気が遠くなるような調整作業を毎週1回のメルマガに間に合うように超スピードでこなし、しかも一方で購読者200万人に毎週同じ曜日の決まった時間に遅滞なく配信する。これだけのサーバのキャパシティを確保し、高品質のコンテンツを作り出し続けることに一体どれほどのコストがかかるか、その手間と苦労と技術水準を想像することすらできない党の党首さんに、「実は私、宮崎アニメのファンなんです」とか眠たいことをぬかして欲しくないわけですよ。もうね、豆腐の角でヘディング100回ぐらいして死んでくださいと。

 面白いことをちょこっとしゃべるだけならそりゃ小泉首相1人でもできただろうけど、あれだけ豊富な話題を、しかも旬なネタを逃さず漏らさず、きちんと拾い集めて回りながらしかも読み手にとって分かりやすく面白いコラムを数本、毎週発信するなんて、相当にプロフェッショナルな組織でなければ到底できないこと。読者がせいぜい数千数万の、誰の了解を取らなくても責任も発生しない言いたい放題の放言を党の方針に沿って書き殴り、配信数もせいぜい数千数万と、そこらのメルマガASPで十分配信できちゃう泡沫政党のメルマガやHPとは訳が違うのだよ。

 それとも、インターネットの情報発信なんてタダでもできるじゃねえかとか言いたいのかね。じゃあ、逆に紙媒体で全国200万の読者に無料で毎週2~3本の面白いコラムを送り届けるコストがどれぐらいかかるのかと、比べてみればいいよ。年間7億どころか、50億だってきかねえぞ。それを7億でやっちゃってるコストパフォーマンスを、何だと思ってるんだ。社民党は、プロフェッショナルなIT屋さんやコンテンツ屋さんの労働コストをどこまで削れば気が済むんですかね。関係者全員年収150万円ぐらいの奴隷労働者にでもなれってことですか。すんばらしい。格差社会に涙がちょちょぎれまっせ。

 そもそもこれまで、日本の政治で支持者にしか理解できないイデオロギー用語じゃなく、誰でも分かる平易な言葉で政治家や政府がステートメントを発信したのって、小泉メルマガが初めてでしょ。しかもインターネットを使いこなしている政党すらほとんど存在しなかった時代に。社民党がそこまでネットを使いこなして、ウェブの活用で先頭走ってきたから言うってんならいいけどさ。実際にはサイトデザイン1つとっても、どう見てもそうじゃないわけでしょ。むしろ社民党のこの分野の遅れっぷりは目を覆うばかり。

 社民党のウェブサイトなんて、未だに首相官邸サイトの足許にも及ばないしょぼさじゃん。トップページは可変幅でリーフは固定幅とか、バナー広告みたいなロゴ脇Flashはクリックしても微動だにしないわ、過去記事一覧へのリンクさえないわ、検索窓はGoogleそのまんまだわ(笑)。デザインポリシーもIT戦略もへったくれもないページ作ってる政党から「首相官邸がウェブサイトに金かけるとはけしからん」なんぞ、言われたかぁないわけですよ。せめて民主党のウェブサイト並みにFlashでトップナビゲーション作ったうえで「おまえら7億もかけてトップページに動的ナビゲーションさえ置けないわけ?どんなヘボ業者使ってんだよバーカ」とか言うなら分かるけどね。

 技術と戦略とコストパフォーマンスで先頭を走っている政党が「政府はもっと安くできることに金を使いすぎだ」とか言うなら分かるけどねえ。最近のはただ単に「広報とかITの戦略活用には一銭も使うな」って言ってるだけ。もうね、社民党は日本のITとネット業界関係者にケンカ売ってるとしか思えない。で、その社民党の質問に「過剰予算」とか見出し付けるマスコミもマスコミですよ。おまいら、コンテンツで飯食ってるんじゃないんかと。いったいどれだけの給料の記者を首相官邸と永田町に張り付けてんのかと。まあ、日本のマスコミにIT活用とかコンテンツ戦略がどうとか、今さら求めてもしょうがないしねえ。あーあ。どうでもいいや。しょーもないことに怒りをたたきつけちゃったかな。反省。

10:48 午後 メディアとネット コメント (48) トラックバック (15)