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2006/08/19

書評:「マーケティング2.0」

マーケティング2.0 ブログの面白さについては個人的にひそかな仮説があって、「結構長く続けてきた仕事を、一念発起して転職/離職しようとしている、あるいはした若手リーダーレベルの人のブログ」っていうのが、やっぱり要注目だと思うわけです。なぜなら、もともと所属していた業界に対する批判的なものの見方というのが、取引先や所属組織のしがらみを切り離せることで一気にあふれて出てくるため、通常は絶対に出てこない一言というのがぽろっと出てくるから。

 ・・・というような意味で、この本なのだが、とにかくこれは絶対に読む価値がある。渡辺聡氏の監修による「Web2.0を使ったマーケティングの教科書」というべき本だが、その中に衝撃的な記事が入っているのを見つけてしまったのだ。

 もったいぶるようで悪いのだが、もろもろの配慮をした結果、それがどの原稿のことなのか、どういうことが衝撃だったのかはここでは具体的に書かないほうが良いだろうと判断し、書かないことにした。何が書いてあるのか知りたい人は、自分で買って読んで探してみてください。

 これは、さすがにネット上でもし本人がブログに書いたりしたら、ど派手な爆発・炎上は確実と思われる内容。でも真実を突いてるし、これからネットを相手にするマーケターにとって忘れてはならない着眼点だと思った。内容が内容だけに、いまだ似たようなことをずばっと書いたブログにはおめにかかったことがない。しかも、この記事は本人の前職でのプランニングの体験が元になっている(と、ほのめかされているわけではなくて本人が文中にそう書いている)わけなので読めば分かる。この原稿を読むためだけでも、この本を買う価値はある。

 思えば、ネットについてネット上で語り得ないことというのは、やっぱりあるのだなあという印象だ。自分の場合はネットでなければ理解者を得ることもできなかっただろうことを2年前に書こうと思ったのがブログのきっかけだったわけだが、今や紙でなければ語れないし(まっとうなかたちで)理解者を得ることもできないことというのが生まれてくる世の中になったのだなと思うと、何というか、複雑というか感慨深いものがある。

 というわけで、加藤ちゃん、あとでこの本貸すから絶対目を通してください。よろしく。(以上業務連絡)

05:52 午後 書籍・雑誌 コメント (8) トラックバック (6)

2006/08/12

blogolonyを逃げだそう

 以下、とあるジョーク系ブロガーな人から最近聞いた悩み相談。って他人事じゃないんですが。

 オフ会とか出まくってるうちに、業界内がみんな知ってる人だらけになった。しかもその人たちがあちこちでネットサービス始めてるのを知ってしまったので、ネットサービスの悪口とかおいそれと書けなくなってきた。

 特定の人の悪口を書かないように、慎重に業界全体のことを冗談めかして書こうとすると、必ず「あそこで書いていた○○って、××さんのことですよね?」とか探り入れてくる空気の読めない読者がいる。探り入れてくるだけならまだしも、はてなブクマで「真相究明大会」とか開いちゃって煽り入れる人たちまで出る始末。

 しょうがないから、「これは△△のことではありません」みたいな、注釈を入れまくった汚らしいエントリを書かざるを得なくなる。でもジョークを入れた面白さは減らしたくないから、他のところでもう少しひねりを入れてみたりするのだけど、そちらがまたすぐに曲解されて、「☆☆さんは△△さんと最近仲が悪いらしい」とか何とか、知りもしない他人のはてなダイアリーに書かれたりする。

 おまけに、業界ジョークで書いたつもりのネタがはてなブクマで「すごい。これが事実なら…」とか、「んなわけねーだろボケ。一回死ねよ」とか、マジに受け取られまくる。んで、その後に業界の顔見知りばかりが集まるオフ会とかに顔を出すと「☆☆さんってこの前、すごいこと書いてましたよね」とか若い女性ブロガーに声をかけられ、その瞬間に回りにいる業界関係者が全員顔をそむけ、1歩あとずさるのが分かる。気まずいムードが炸裂。(←今このへん)

 やがて、業界オフ会に出たくなくなり、ブログを書くのも嫌になってくる。でもブログやめると「☆☆って死んだの?」とかはてな界隈でネタにされたりして、それをまた大まじめに受け取って「☆☆さんってなんか体でも壊したんですか?」とか探り入れてくる奴が湧いてくるかと思うと、考えただけでうんざりしておいそれとブログ更新を止めることもできない。

 …なーんて話をとうとうと語られた。聞いてるうちに誰が誰のことかも全部分かっちゃうので、思わず吹き出したくなるのをこらえて「そうだよね、うんうん、大変だよね」とか相づち打ってるのに必死だったですよ。しかし、これって笑えないよな。

 実際、僕自身も最近つくづく感じてるのは、ネットサービスってどこのイベントに行っても同じような顔ぶればっかりで、しかも同じ人がこっちの会社からあっちの会社へ移ったりしているだけで、他業界との人材移動があまりないってこと。まあ、それって日本の典型的な「ナントカ業界」の特徴そのものだったりするわけなので、今さら驚くには値しないのですが、しかしトレンドもプロダクトもこれだけ流動的なはずの分野で、どこまで行っても顔ぶれが変わらないってのもどうよ、と思う。

 あと、こういう固まった顔ぶれの人脈に長く浸ってると、使う言葉も限られて来ちゃうというのが、最大の弊害だと僕は思う。言葉が固まると、自分の考え方も固まる。状況を批判的に見ようとしても見られなくなる。批判を述べても、(ほぼ予想可能な)お決まりの反論が返されてくるだけだし、批判のポイントが図星であればあるほど、言葉ではなくて「お前空気を読め」的な無言の人間関係プレッシャーが返ってきて、黙らざるを得ない。息が詰まりそうになる。

 そういうときは、たぶん「状況そのものを捨てて逃げる」しかないと思うのさ。そして、新しい言葉を探しに行く。自分だけの世界を、探しに行くんだ。難しいことじゃない。たぶん、それは職場ですぐ隣に座っている人との間に転がっているかもしれないし、いつも昼食を食べに行っている定食屋の店の人と声を掛け合うことから始まるかもしれない。あるいは、本屋で自分が読んだこともないジャンルの本を手にとってみることが、そのきっかけになるかもしれないんだ。

 ブログを捨てよ、町へ出よう。もう、閉じこもっている必要はない。言葉は世界に散乱している。君はそこで好きなものを拾い上げて、それを読み上げればいいのだ。そうすれば呼吸は楽になる。Blogolonyを、逃げ出せ。今すぐ。

07:13 午前 ウェブログ・ココログ関連 コメント (19) トラックバック (7)