学校2.0
Main
blogolonyを逃げだそう

2006/07/24

「残り物」を総取りするAMDの戦略

 1月にApple、Intelといったホームユース側に期待を賭けるプレーヤーに視点を当ててこんなエントリを書いたが、どうもちょっと逆サイドのプレーヤーの戦略のほうが面白そうだ。というので、半年前の読み違いを反省しつつエントリ。

 AMD、ATIを55億ドルで買収へ(ITmedia News)

 フレームワークのレイヤーが上位層に移るほど、下層のレイヤーはプレーヤーの統合が進む。 今さら言うまでもないが、現時点のコンピューティングの中心的フレームワークは、ブラウザである。そしてこの流れは恐らく今後10年は変わらないだろう。

 だとすれば、ブラウザより下のレイヤーのプレーヤーは可能な限り統合され、シンプルなソリューション提供に徹するべきだというのが、このアクションに秘められたAMDの戦略と言えるのではないか。まさにIntelと逆さまのアプローチである。ちなみにIntelの戦略動向についてはayustety氏による先月のET研報告を参照のこと。

 Dual-Core、そしてgraphic processorまで入れたQuad-Coreへと、PCにおけるgrid computing技術の実装が急激に進む中で、AMDの生き残り戦略はなかなか巧みだ。graphic processorとの統合というのは、かつての90年代前半のCyrixの戦略のそっくり焼き直しといえばその通りなのだが、あの当時は誰もがPCの構成要素にconsciousだった。今は違う。ブラウザさえきちんと動けば、もう誰もPCの中身など気にしない時代になった。AMDは、池田信夫氏言うところの「ウェブには『三度目の正直』がある」をまさに地で行っている。

 Viiv、vProへと上位レイヤーのビジネスに必死で食い込もうとする戦略展開を図るIntelよりも、GPUチップメーカーを統合して「ボックスの中身をシンプルに」していこうとするAMDのほうが、少なくとも彼らのコア顧客であるビジネスユーザーから見れば魅力的に見えるだろう。ここは目の前の要塞構築の総仕上げにあたる。

 そして、2~3年後という中長期のスパンで見れば、敵の最後の牙城であるモバイル系プロセッサへの侵攻にもメドが立ってくる。まず、Intelがサーバ系技術の応用であるチップコアの複数化に、ホームPCへの実装で先鞭を付けてくれている。そのうえ、ITmediaの記事を読む限りでは、AMDはIBMとのアライアンスで対Intel戦略上の課題であった45ナノ以降のプロセス開発でも急激な追い上げをものにできそうだからだ。

 AMDといえば、今年3月頃にはサーバのビジネスクライアントとして恐らく世界最大のGoogleにも猛烈アプローチをかけていた話が報じられていたっけ。以前のエントリで僕はGoogleを「ホームユースに期待をかける」側に分類していたが、これは間違いだった。Googleはもちろんそちらの市場を収益源としてはいるのだが、Google自身のコスト構造から考えれば、GoogleがわざわざOSSで構築しているサーバのアーキテクチャーに口を出そうとするIntelよりも、grid computingに適切なハード・プラットフォームを提供してくれるAMDとアライアンスを組んだほうが、よほどメリットが大きい。

 AMDのこの的確すぎるアプローチを見ていて、PCビジネスを自社規格で覆い尽くそうとするIntelのポジションが、製品戦略上最終消費者とのタッチポイントを持たない彼らにとって実は画餅に過ぎないのではないかという懸念を感じているのは、僕だけだろうか。

03:18 午後 ビジネス

 TrackBack URL:: http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/16309/11081920

TrackBackList::「残り物」を総取りするAMDの戦略

AMD の ATI 買収。 トラックバック お仕事日誌&一日一麺 @2006/07/26 5:15:01
R30 さんのブログで取り上げられたおかげで、先月の ET 研の Intel エ... 続きを読む

日記/2006-07-27 - KeNji Hyper Special トラックバック PukiWiki/TrackBack 0.1 @2006/07/27 3:11:53
コンピューティングの中心的フレームワーク † なるほど、たしかにブラウザが現在のところコンピュータの中心かもしれない。何でもかんでもWebでできるシステムが開発されてるし。最近CPUやらメモリやらそういうハードなことに関してあんまり話題にならなくなった...... 続きを読む

Comments

"ayustety氏による先月のET研報告"がリンク切れ(?)なのですが…

POSTED_BY:nishi @2006/07/24 21:11:32

>僕だけだろうか。

僕だけ、かと。

POSTED_BY: @2006/07/24 21:17:37

>ブラウザさえきちんと動けば、もう誰もPCの中身など気にしない時代になった。

全然なってません。
5年後はどうか分からないけど。

そういういみでは、現時点では「インテル入ってる」ブランドが
あるだけ、インテルの方が有利ですな。

また、システム導入時にも普通はインテル選びます。
AMDの利点は「安い」のみ。今のところは。

POSTED_BY:通りすがり @2006/07/25 13:36:10

>ブラウザさえきちんと動けば、もう誰もPCの中身など気にしない時代になった。

「ブラウザがきちんと動く」とユーザーが認識するレベルは、以前よりはるかに厳しくなってますね。
ブラウザに統合されるアプリは増加の一途なので。

インテルはCore 2 Duoの開発に成功して、いまや省電力性能においてもAMDを上回るCPUを作り出してます。
既にXeonにも同じベースのコアを導入しているので、これからのIntel製CPUは企業にとってとても魅力的ですね。

AMDとATI?そりゃゲーマー向け戦略だってw

POSTED_BY:すがりつき @2006/07/25 22:40:39

ネトバ戦術からの転換の遅れの際には、だんまりだったのに、C2Dの成功に気が大きくなっているようで。
追撃態勢は整ったが故のネガティブキャンペーンをわざわざこういう所(つーか、経済に強いっていう印象からでしょうけど)でやる必要があるんですかねー。

2chのPC自作板の「intelの衰退 AMDの繁栄」スレだけで十分じゃないですか?
追撃態勢が整ったからと言って、すぐさま鯖がOpからC2Dに転換するわけじゃないし、64bitへの完全ネイティブじゃないつー気になる記事も出ましたし。
まぁ、判断するのは宣伝能力ばかりでは無くなってきているつーのが、最近大流行2.0なんじゃ無いんですかね?

ああ、個人的応援団だったらどうでもいいですけど、「ウゼーからテメェのサイトでやれ」ってことで。
AMDとATIの合併の話で、何でintel(を持ち上げ、AMD&ATI叩き)の話が2つもコメントとして付くのか分からないですなー。
どうせintelの味方するなら、この連合におけるネガティブな指摘をして「intelの話はしない」ぐらいの方が効果的ですよ?

POSTED_BY:はいはい、淫厨淫厨 @2006/07/26 18:03:22

プロセッサメーカの応援をするような暇人は存在するの?
R30氏がAMD有利的なことを書いてるから、そりゃ違うんじゃね?
って言ってるだけ。
intelの話をしてほしくなきゃ、エントリ中にも書かなければいい。

っつーか、AMDの将来を語るならintelは外せないだろ。

POSTED_BY:通りすがり @2006/07/28 18:23:45

このコラムは、
難しくてわかりませんでした。
勉強します。

POSTED_BY:げろやん。 @2006/07/28 22:40:50

そういえば、半年ぐらい前に日本語版ニュースウィークで「インテル入ってない(だったと思う)」記事があったんだけど、それってモバイルなどの電子端末の演算装置のシェアと将来的なデジタル家電に搭載される演算装置の話で、「演算装置の中にいくつのトランジスタを搭載できるかという時代は終わり、省エネ、コンパクト化・・・など(中略)・・・多彩なマーケティングセンスが問われる」と書かれていたっけな。

ようは、演算装置が必要な"なにか"の話であって、PCに限定しただけの話ではなかった。

これは僕の勝手な想像だけど、AMD+ATI で「モバイル端末でPS3並のゲームができますよ」とか、「ワンセグ放送の映像に残像がのこりませんよ」とか、そなん方向じゃないのかね?

まーなにはともあれ、自動車、航空機、船舶などなどの演算装置は「インテル入ってない」。

※マイコンとパソコンの違いなど詳しい方解説を頼んだ。

POSTED_BY:児玉遼太郎 @2006/07/29 13:56:10

むしろ、今までAMDにはIntelのViivのようにチップセット・その他までパッケージしてマーケティングする力がなかったってだけじゃないの?
ATIを買収した大きな理由は将来のコプロセッサ開発を睨んでのことでは?
「ボックスの中身をシンプルに」とか、何を言いたいのか全く理解できませんでした。

POSTED_BY:名無し @2006/07/29 23:38:48

>まーなにはともあれ、自動車、航空機、船舶などなどの演算装置は「インテル入ってない」。

本気で言ってんのかね。
インテルって別にPCのCPUだけ作ってる会社じゃなくって、普通に半導体メーカーだぜ?
当然組込み系のCPUも作ってるし使われてるよ。
まぁモトローラとどっちが売れてるかとかは知らんがね。

POSTED_BY:名無し @2006/07/30 6:37:54

で、自動車、航空機、船舶などなどの演算装置は「インテル入ってない」。ではなくて、インテル入ってる!が正しいのかなあ。

インテル入っている人
インテル入ってない人

ある人、ない人漫才みたいなもんかね。

POSTED_BY:けろやん。 @2006/07/30 20:23:31

>まーなにはともあれ、自動車、航空機、船舶などなどの演算装置は「インテル入ってない」。

 まあ、アレだ。ゴールデンウィークの前後でいろいろオミソ(?)付けちゃってるから。シャッチョサンは。とりあえず叩いて否定しとけばいいやくらいにしか思ってないんだろ。
 言ってることの是非正誤なんざどうでもいいんでしょうよ。

 もうそろそろ立秋ですね。そんな感じ。

POSTED_BY: @2006/07/31 21:23:06

ここは盛り上がってますな。 「Intel入ってる」等、今まではIntelの方がブランド力が高かった、と確かに思います。けれどCoreDuoが出る直前?にはデスクトップ向けCPUシェアでAMDが勝っていたはずです。まあ性能(/価格比)とシェアについては発売日を考慮しないと判断しにくい気が。個人的にはVISTAに合わせて同時リリースとかしてくれないかなあと期待しています。 Intelはほぼ(例えばシェアベースで見れば)CPU専門メーカーだと思います。CPU以外の半導体、特にLSIやマイコンにおいては日本のメーカーも強いですよ。ルネサスとか東芝とかエルピーダとか。 「ボックスの中身」とはマザーボードとかチップセット周りの事を指しているのではないかなと。Intelはより豪華に、AMDはよりシンプルに、と。

POSTED_BY:フューズ @2006/10/13 3:13:15

マイコンについてはやや専門なのでもう少し。 PC(パソコン)以外のコンピュータとしては主にマイコンとPLC:プログラマブルコントローラ(シーケンサは商品名)があります。どちらも専用のプログラムで動き、RAMタイプならばPCに接続して書き換えも出来ます。 CPUやマイコンの定義はやや曖昧ですが、慣例としてPCに入っているのはCPU、マイコンに入っている演算装置(マイコンチップ)はLSIという使われ方が多い様な。 狭義では1つの基板にCPUは1つ(Cはセントラルだから)ですがサーバにもCPUが使われていますね。 組み込み用CPUは多分サーバ、スパコン、Linuxマシン等のことかと。 マイコンチップのメーカーは非常に様々ですがOSは日本製のTRONです。 PLCのメーカーは殆んどオムロン、三菱、KEYENCEです。

POSTED_BY:フューズ @2006/10/13 4:16:43

Post a comment