Web2.0の終わり
このエントリのタイトルを見て、「おきまりのネタキタ━━━━(°Д°)━━━━!!!!」とか思ってる人、多いんじゃないだろうか。「ブログブームの終わり」を書いてから1年、4月になると終わりを宣言するR30がまた戻ってきましたよ。
こっちの記事とかが「Web2.0=メディア事業、広告モデル」っていう結論を出して納得しちゃったりしてるのを見て、もう脱力しまくり。今さら否定する元気さえも起こらないというか。もうそれでいいんじゃない?とか答えたくなる。どうせ「真実のWeb2.0」が何だろうと、結局世の中の人が理解したようにしか世の中は進んでいかないと思うので。
そういう意味で言うと、「ブログブームの終わり」を書いたときには、ブログが日常化して「巡航速度とは何かを探す」展開になるだろう、みたいな予測をイメージしていたんだけど、今回の「Web2.0」はもともと何か具体的なサービスや製品を指すわけでもなく、実体のないただの言葉遊びだったので、2年後ぐらいには世の中から完全に忘れられてしまう気がする。2000年の頃によく言われていた「ニューエコノミー」みたいなのと同じようにね。
米国だと、ニューエコノミーという言葉にも、「在庫調整を原因とする景気サイクルの緩和・短縮化」という、マクロ経済研究の成果に裏付けられた一定の定義が与えられている。Web2.0という言葉も、おそらく「ユーザーが参加・貢献することによってトラフィックを増大させ、サービスを改良・向上させていくウェブサイトの設計思想とその要素技術」みたいな定義が与えられて、その定義の範囲内で議論とビジネスの試行錯誤が広がっていっているんじゃないかと思ったりするのだけど、これが日本に持ってこられると途端に超胡散臭いバブルネタに変形するところが何ともまた寒々しい。
昨日、99年頃に光通信で働いていたことがある某後輩と飯を食っていたんだが、そこで彼が「Web2.0って言葉を使って何かしゃべってる人たちって、昔僕が光通信にいた頃に見ていた、目つきのいっちゃってる営業マンの連中と雰囲気がそっくりなんですよ」と話していた。ちまたには自分が知りもしない、見たこともないものの名前を呪文のように唱え続けることで、何千万、何億単位のカネを動かそうと必死になっている人たちが跳梁跋扈しているらしい。
まあ、何十億、何百億のカネが株券とともに飛び交いまくっていた2000年のITバブルに比べりゃあ、そんなもの可愛いものだぐらいの話かも知れないが、しかしなぜそうなりますかね。
もちろん、米国にだってそういう怪しげなカネを動かす輩がいないとは言わないけれど、日本ほど「みんながそっちに我先に走っているようだから何だかよくわかんないけど俺も俺も」という傾向が強いとは思えない。そういう意味では、90年代後半以降の日本は、謎めいたバズワードがちょっと流行っただけで常にミニバブルが起きやすいような環境になってきているのかも。
誰のせいかっていう議論は難しいんだけど、こういう謎めいたキーワードをロジカルに分解して理解しようという努力を払う人がほとんどいないことっていうのは、1つあるような気がする。あとは、実際にそれでどのくらい自分のビジネスが影響を受けるのかとか、実際どのくらい儲かるのかっていう定量評価をきちんとやって、そのデータをパブリックに出そうとする人がいないこととかも。
まあ、これは正直なことしゃべるよりも、手の内伏せてIPOしちゃったほうががっぽりお金が儲かるよねっていう、日本の株式市場が生み出したベンチャー業界に見られる悪弊の結果なのかもしれず、よく分からない。asahi.comにはこんな記事も載っていたけど、正直思うのはそもそも日本のWeb2.0ビジネスの代表格って言われるはてなが、月間ページビュー数億、国内ウェブサイトのリーチで15位という膨大なトラフィックを集めて、いったいどのくらいちょっとしか儲けていないのかという数字を出さないから、こんなことになってるんじゃないのか(笑)。
はてな自身も手の内伏せておきたいっていう気持ちは分からなくもないけれど、「うさん臭さが漂い始めた」とかコメントするぐらいなら、近藤社長ご自身がはてなの経営数字を公開して、「Web2.0」でカネを集めて回る胡散臭い奴らどもに冷や水ぶっかけた方が良くないですかとか思ったりする今日この頃なのであった。
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コメント
ちうか、さっさと株を大金に換えてドロップアウトするやつがあまりいないか、あるいはいても話題になんないのが不思議。
ドリコムなんてさっさと売って別の商売考えたほうがいい気がするが。利益をあげられる自信があるんだろうか。
投稿: cyberbob:-) | 2006/04/12 12:47
広告の経済規模と申しますと6兆円でGNPの1%あまり、
比率は天地創造より概ね変わることが無いのでございます。
さらにその半分はSPなのでいわゆる広告といいますと都合3兆円。
つまるところ買物した時に出る小銭を頂戴する乞食商売であります。
まず電通衆が旦那方を回りまして寄付金を募りまして
誰某様、○○円ご寄付と看板屋に書かせる駄賃を引きまして
それを腹をすかせた乞食どもに分け与えてやる訳ですな。
手間のわりにおいしいんだかおいしくないんだか。
やくざ衆は税金にたかる訳でして桁が1つ2つ違ってまいります。
こちらは誰も払った覚えが無いし大変率がよろしい。
何故にインターネットで仕事をされるものどもが広告なぞで食いつながねば
ならないのかと申しますと、オタクというものの性格を解く必要がございます。
職人はあまり世間ずれしていないものでございますがコンピューターの
職人というのは輪をかけて人に関われないものでしてシャイと申しますか
意気地が無いといいますか、馬鹿にコンピューターに詳しいくせに
世間で生きるということになりますと赤子のごとく、カカの乳しか
飲めない甲斐性なしなのでございます。
そんなわけでございますから自分の技術を人様に売りに行くなんて事が
できるわけがありません。風呂にも入ってないボロをまとった乞食が
玄関先であのうそのうとモジモジしていても箒で追っ払われてしまいます。
仕方がありませんので電通衆になんとか炊き出しに入れてはくれまいかと
頼みに行くのでございます。
この頃は貧乏ながら食うものに困らなくなったとボロのまま肩風切りながら
道の真ん中を反り返って歩く連中なども見かけまして大変滑稽な様子で
あります。生まれの卑しいこととはいえ恐ろしいことでございますな。
しかし貧乏という病は金では治らないモノでございます。
まっとうな生業というものは自分で商いなりをしないといけません。
つまりですな、自分で集金の仕組みを持たない限り乞食は乞食でしかないのです。
NHKは実に良い商いをしております。これはお上の口ぞえのおかげでもありますな。
昨今はドコデモ組の威勢がよろしく、電通衆よりも人気があるそうでございますが
しかし素性はあまり良いものではありません。彼らとて片手間に電通衆の真似事を
しているだけでございまして乞食を一人前にするつもりは更々無い訳です。
さらに最近はピカリ教とかいういかがわしい連中もおりまして、彼奴等は口八丁で
旦那衆だけでなく長屋の連中からも金を巻き上げては雲隠れするので気をつけたい
ものでございます。
ですから、Web2.0と職人共が乞食長屋でクビをつき合わせて飲み明かしたところで
長屋の虱が増えるだけで一つも良くなりはしません。
梅田餅太郎とかいう寺子屋を開いております浪人様がなんとかこの乞食長屋と
旦那衆を繋ごうと奔走されておりますが一度乞食をするとなかなか
立ち直れないものだと申します。さて、どうなることでありましょう。
私などは旦那衆と大きく出るよりも市中でコツコツ商いをしたほうが良いのでは
ないかと思うのですが。
投稿: jk | 2006/04/12 13:30
んーと、それじゃ、「ロハス」と一緒か?
言葉としてのポジションは(笑)
あるある。
どっちかというと、ウェブ1.0の方が初期や過渡期を説明するのに暫く残りそうね。
投稿: トリル | 2006/04/12 13:32
持ってる銭の多寡じゃなくて、気概・生き様の問題で乞食か否かを見極められるようになりたいものですな。
まーでも最近は銭持ってる乞食が多いですから。勘違いしちゃう馬鹿もそれに比例して増えていくんでしょうよ。
とりあえず頑張れ、としか。
投稿: 私 | 2006/04/12 23:33
商売なんざそもそも乞食相手に小金巻き上げるのが基本じゃねーかと言ってみるテスト。
金持ち相手に技術や誠心誠意で接して御代を頂くのは、商売じゃなくて「取引き」って言うズラよ。とか言って。
投稿: 私 | 2006/04/12 23:35
>>シャッチョサン
それはそうと、筍ちゃん、とりあえず連休前後くらいに死ぬほど収穫できそうなんで(推定2㌧くらい)、連休中のいずれかに上京してお知り合い衆にお配りする予定なんですな。
その際都合が付くようなら、ご進呈で。都合が合わないなら、またの機会にでも。っていうかまたの機会は多分無いんで、駄目なら今生のお別れっちゅうことで。
あとねぇ。前回のお米ちゃんのときは一応乾物なんでひと月くらい放っておいてもまあいいかって感じだったですけど、今回は超生ものなんで、あんまり放置されるとマズいのね。
緑番長に預けて後で引き取りコースで逝くと腐らせちゃう可能性極大なんで、直取引のほうがいいかなって思ったよ。
そのへんのところもご勘案の上、頂戴かイラネかご連絡頂けると幸い。とりあえず4月30日の段階で何も連絡無かったらイラネと看做すんで、面倒臭かったら連絡とかいいすよ。別に。
まあとりあえず、そういうことで。よろしくね。んじゃ。
投稿: 私 | 2006/04/12 23:45
blog マサル
「俺たち もう終わっちゃったのかなぁ?」
Web2.0 シンジ
「バカ野郎 まだ始まってもいねーよ」
::::...
::::... ∧_∧_∧
::::.(∀・( ´Д`)
r -( ( O┰O
..::ii'⌒< < ) 冊冊〉キコキコ・・
::'、__,,l!しし(_)l!lJ´
'、__,l!j ::::..
::::
投稿: ういうい♪。 | 2006/04/13 13:41
Web2.0にWebと付くのは人間が生きている世界を現すのに便宜的に「地面」とでも呼ぶように、ネットワーク上でのなりわい、あるいは作業とか出来事を俯瞰して結束してみる表現なのだろう。そこで私はWeb2.0の訳語として「ネット事業x.x」を提案したい。そしてそれを実現する為の周辺技術とは分けてもらいたい。
事業1.0では全部自分でやった。利得は自分で使った。
事業2.0では事業1.0を寄せ集めてやった。利得はみんなで分けた。
…
事業nではアイデアと実行力のある人間が市場から資金を調達した。利得は出資者と経営者に分け、労働提供に対価を払った。
ネット事業0.1ではアイデアと技術力のある人間が一人でやった。利得はその人が貰った。
ネット事業1.0ではアイデアと実行力のある人間が市場から資金を調達した。利得は出資者と経営者に分け、労働提供に対価を払った。
ネット事業2.0ではアイデアと職場環境を用意できる人間が市場から資金を調達し、ユーザーから労働力を調達した。利得は?
並べてみて分かるのは別にシリアルに並べる必要は無いし、並べることはできないはず。
表現のあまりの稚拙さを置いておくとして、Web2.0の核心は資金だけでなく労働力、商品やその材料も外部に依存することで事業アイデアと生産技術だけで事業を起こすことを可能にする、またはそうしたいということである。
ポジティブには株式会社がそうであるように、事業の構成条件を低くすることで参入を容易にし資本と労働力の効率化を果たせる。
ネガティブにはITバブルがそうであったように直接調達資本の私有化、持ち逃げと同じく参加リソースの私有化と持ち逃げがありうる。そして後者に関して明確に規定しているのはのGPL適用のオープンソースプロジェクトやWikipediaぐらいではないだろうか。Blogもその多くは当初問題になったようにシステム提供者が自由に使えるという規約が入るほど、実際どうかは別として、極めて意識の低いというか全然意識できていない。
そんな状況でぼろ儲けを企むのは簡単だ。権利も義務も明確にせずに大声で出資者と参加者(労働者)を募ればよいのだ。良く分からないがゴールドラッシュが始まるからハンコ押しておこうという様は、オレオレ今大変金振り込んでと全く同じである。
悪意のあるものが指弾されるべきなのは当然として、馬鹿だからかわざとかは知らないが適当なことを吹聴して周っているのも同罪である。
検索サービス、Googleはネット事業1.0である。データベースはGoogleの所有物。
SNS、mixiはインターネットでいいはずのものをどうでもいい機能のためにネットワークを囲んであり極めて効率が悪いが、その意図がリソースの私有化であると考えれば効率的な上に悪質な詐欺に発展する可能性がある。
Wikipediaは出来上がったコンテンツはGPL適用で参加者の使用に制限が無い。ネット事業2.0である。
はてなは事業コアを把握していない為に効率が悪いが権限機構を内包した高度なネット事業2.0である。あくまで企画としてだが。
投稿: fo | 2006/04/13 15:03