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2005/09/30

紙メディア初のPodcasting登場!!

 やってくれました。日経ビジネスが、創刊36周年記念リニューアルで、10月からPodcastingを始めました。

 日経ビジネスPodcast

 聞いてみたけど、たった10分弱で、宣伝が大半ではあるものの、なかなかオモロイ。特に井上編集長の大げさな語り口が(笑)。わざとらしく声を潜めるところがめちゃくちゃ聞き取りにくいのは、愛嬌ではあるが。編集長!!もうちょっと普通にしゃべってください(´д`;)

 既にPodcastingで実績のあるラジオNIKKEIの協力でやってるので、録音の質は申し分なし。日経ビジネスの井上編集長がパーソナリティのみずさわキャスター相手に次号の特集や目玉記事の紹介を語るという内容。

 初回は誌面改革の宣伝が中心だが、2回目以降どんな内容が出てくるのか楽しみ。というか、もう少し1つの記事の解説にもう少しじっくりと時間をかけてほしいな。そうしたら編集長が口を滑らせそうな気配が満点なので(笑)。あと、記事中に出てくる経営者などにゲスト出演させるってのもやってみてほしい。「記事とは別の角度からこの経営者の魅力をお伝えします!」みたいな。あるいはゲスト出演が無理なら、インタビュー時のテープからハイライトの部分を流しちゃうとか、インタビュー冒頭だけ流しておいて、「いやー、実はですね、この続きにすっごい爆弾発言があるんですけど…それはぜひ誌面で読んでくださいね!」みたいに釣るとかも、いいかも。

 今週号でいうと、ソニーの中鉢社長あたり引っ張り出したら面白かっただろうが。しかし、ウォークマンでiPodの防戦に必死なのに「Podcastingにインタビューで特別出演してもらいたい」とか言ったら、すげえマズイ雰囲気になりそう。それもまたビミョーで面白そうだけど(笑)。

 ・・・とかいろいろ考えていてちょっと思ったのだが、Podcastingって実はテキスト・ビジュアル中心の紙媒体と、いろいろな補完が利く媒体なのかもね。記事を読みながら「ここでこの経営者はどんなニュアンスを込めてこの台詞をしゃべったんだろう」というのを、今まで僕らは想像しながら読んでいたわけだけど、それをPodcastingが埋めてくれるわけだから。

 さしあたっての問題は、これを誰が聞くのかってことだな。日経ビジネスを読んでそうな社長や役員や部長さんたちで、iPod持ってるって人はなかなかいない気がする。とすると、やっぱりネットに浸かっていて、通勤電車の中で聞けるPodcastingネタを探している30代のビジネスマンあたりか。だとすると、単純な誌面の宣伝よりは、コンテンツのチラリズムの方が効果高そうな気もするな。

 ま、とにかく日本の紙メディアでPodcasting一番乗りはめでたい。Podcastingデビュー、おめでとうございます>井上編集長

(追記)・・・と、思ったら、既にソトコトが7月からやってたんですね。2番乗りか。まあ、いいや。

10:52 午前 メディアとネット コメント (2) トラックバック (6)

2005/09/27

ありがちな「PDA2.0」論

 「ややこしや~、ややこしや~、誰が敵やら味方はどこやら」。PalmがMicrosoftのOSを搭載した携帯電話端末をVerizon Wirelessから発売するそうな。おお、ぱーむよ。まっくろそふとになびいてしまうとは、なさけない。

 米マイクロソフトとパームが携帯電話事業で提携(NIKKEI.NET)

 リストラしても残った社員は養わなきゃいけないし、PalmOS6は使えないと分かっていても携帯電話は作らなきゃいけないしということで、やむを得ない決断ではあるのでしょうが。しかしお前ら、プライドってものがないのか。ないですかそうですか。

 しかし逆に言うと、次世代PDAのあるべき姿的なものがこの1年ぐらいでものすごくはっきりしてきたので、Palmにとってもここで動かないでいつ動く!ぐらいの感覚なのかも知れない。

 次世代PDA(PDA2.0)とは、これまで言われてきた携帯電話コアなものと、iPodのようなソリッドオーディオコアなもの、このどちらかだろう。前者の最右翼はDocomo、Blackberryあたり。そして後者はもちろんApple。

 もちろん1つの端末に両方の機能を持たせることは可能だろうが、どうも個人的な感覚から言うと、この2つは端末として分かれていた方がいい気がする。

 通信端末というのは、メールだの電話だのがいつ飛んでくるか分からず、飛んでくれば今やっている作業を中断せざるを得ない。端末を使っている時間が100%自分の自由にならないもの、という印象があるし、他人との連絡手段だからバッテリーが切れたりしたらマジで困る(その瞬間に自分がビジネス空間に存在しないものになってしまう)。

 一方、ソリッドオーディオプレーヤーというのは、やはり100%自分の自由になるものだ。バッテリーが持つ限り、映像やマルチメディアも他人に割り込まれることなく楽しみたい。この2つを1つの端末の中に同居させるというのは、今から考えると結構無理があったのではないかと思う(だから、モトローラの出したiTunes入り携帯電話なんて、全然欲しいと思わない)。

 あとは、PIM的な機能をどちらの端末に潜り込ませて使うかということに尽きるだろう。ワイヤレスでサーバーと直接同期させたいのなら携帯電話端末と一緒にすればいいし、端末独立でPIM機能を使いたい、あるいは自分のPCと同期させておけば十分というインディペンデントな人であればソリッドオーディオプレーヤーに組み込むのが自然ということになる。つまり、大企業などの法人向けには前者が売れそうだけど、個人事業主やライフスタイルを会社に縛られたくない人なら後者を買う、ということになるんじゃないかな。

 そういう意味では、Microsoft+Palm+Verizonという組み合わせは、ユーザーとしては前者を狙ったものだろうし、企業としてとてもまっとうな判断だ。でもMicrosoftには、自分で携帯電話やオーディオプレーヤー作るっていうのがどれだけリスクがでかいか分かってるから、絶対にやらない。ゆえに水平分業が進んでいる携帯電話分野では橋頭堡を築けるかもしれないけど、垂直統合が有利なオーディオプレーヤー分野ではたぶんAppleに追随することすらできないだろうね。

 個人的には、もう前者のパターンにあまり期待はしてない(実際にやろうとなると、企業側の社内システムのところがボトルネックになりすぎるので)。端末やクライアントソフトの進歩に比べて、企業内システムの進歩が遅すぎるのだ。だから全然つまらない。

 後者のパターンが、やはりこれからのPDA2.0の成長を牽引すると思う。Appleは下手にiTunesを携帯電話なんかと一緒にしようとせずに、どんどん独自のiPodワールドを極めてほしいと思う。

11:32 午前 ビジネス コメント (3) トラックバック (2)

2005/09/25

映画評「チャーリーとチョコレート工場」

チャーリーとチョコレート工場 休みに見に行ったんだが、来てるのはちょうど同じ年齢ぐらいの人たちばかり。ざっくり3分の1がティム・バートンファン、3分の2が昔原作の絵本を読んだクチじゃないだろうか。

 で、館内に子供がいない(笑)。観客の皆さん、よく分かっていらっしゃる。こんな映画、子供に見せたら気持ち悪がって卒倒するよ。小学生ぐらいになって絵本を読ませて、これがフィクションだって分かるようになってからしか連れてっちゃダメだろ。

 しかしそれにしても見事なまでに絵本の原作に忠実だ。絵本の内容を覚えている僕としては、あんなもん絶対映画化できんだろとか思っていたが、最先端のCG、アニマトロニクス、特撮技術を持ってすれば不可能はなかった。凄すぎる。

 しかも、ティム・バートンならではの演出がまた心憎いほどにうまい。オマージュ、パロディがてんこ盛り。ジョニー・デップ演じる魔法のチョコレート工場の主、ウィリー・ウォンカがマイケル・ジャクソンそっくりなのはまさにそれ。ウンパ・ルンパの顔が全部同じなのも凄い衝撃(笑)。いやーもう、やってくれます。

 Amazonの批評を読むと、なんかしきりに教訓話を読みとりたがってる人とかもいるようだが、そんなんどうでもいいよ。この作品の面白さは、年端もいかないガキには絶対に見せられないようなぞっとするブラックジョークがこれでもかと繰り返されるところなのだ。ブラックジョークに道徳的教訓なんか読み取ろうとしないでくれって感じ。

 個人的には、一番最後のシーンが一番良かった。傾きかけのボロ家に降りしきる雪の正体を見て、唖然。あのエンディングは原作にはなかった。でもティム・バートンの創作によって、ブラックで恐ろしげなあの物語にすごく温かみが加わった気がする。

 チャーリー役の演技も素晴らしかったな。「子供らしい素直さ」というのはああいうことを言うのだろうが、さて実際あんな子供がどこにいるか。子供論を議論し始めるときりがなくなるのでこのあたりでやめておこうと思うが、エキセントリックな他の4人の子供とチャーリー、そして最も“子供”なウィリー・ウォンカの対比も、いろいろと考えさせる。いずれにせよ、秀逸な映画だと思う。

10:04 午後 映画・テレビ コメント (0) トラックバック (0)

2005/09/24

ストリンガーさん、終わったかも…

ハワード・ストリンガー・ソニー会長

 言ってることはまったくの正論だと思うが、それをマスコミ向けに(しかも外国メディアに)ぶっちゃけちゃったところがアウトかも。彼にはやっぱり日本のメンツ文化は分からなかったってことなんかな。

 ソニー会長、英紙に不満表明・「事業整理の熱意ない」(NIKKEI.NET)

 ハワード・ストリンガー氏が、フィナンシャル・タイムズの記者に向かって「(ソニーの一部役員はいかなる人員削減にも徹底的に抵抗した。)日本社会は米国社会よりも人道的だ」と吐き捨てた、という話。海外の会社はどうか知らんけど、日本の会社でそれやったらおしまいでしょ。

 22日に出たソニーの再建策発表については、コメントしようかと思っていたけどあちこちで的確な読みが書かれていた(たとえば麻倉怜二氏のこちらの記事などが一番コンパクトでかつポイントを突いてるのでオススメ)んで、今さらコメントするまでもないやと思っていたが、少し気になっていたのは会長のストリンガー氏が無能だったのか、それともストリンガー氏はともかくソニーの役員会が無能だったのか、どっちなんだろということだった。

 FT紙へのこのコメントが、問題点を如実に物語っている。つまり、ストリンガー会長は「ソニーに助けてくれと頼まれたんだから当然身を切るリストラの覚悟はできてるんだと思っていた」、一方の役員会は「助けてくれとは頼んだけど悪いのはオレじゃなくて隣の奴なんだよね」って口々に言い張ってるって状況だったと。もうね、アホかとバカかと。

 アホのレベルで言うと役員会の方が上なわけだが、ただストリンガー会長がアホじゃないかというとそうとも言えないように思う。傾きかけた会社なんて多かれ少なかれ縄張り争いと既得権益死守の両方で幹部同士がいがみ合ってるんだから、そのぐちゃぐちゃのどこを「象徴」のボタンとして最初に押すかというのを、慎重に見極めてやらなきゃダメ。

 例えば、カルロス・ゴーン社長がやった日産のリバイバルプランでは、それは「中堅社員を中心にした横串組織(=クロス・ファンクショナル・チーム)を作る」、つまり組織の目標(コミットメント)設定とその施策の責任を両方とも現場レベルに落とすことだった。これは、逆に言えば日産という会社がそれまで事業の目標設定とその施策とがかみ合ってなかったのが最大の問題だ、と彼が認識したからだ。事業部門の区切り方や生産・販売の役割分担については、問題はなかったか、あったとしても後回しだと思ったのだろう。

 一方、中村邦夫社長がやった松下電器の「創生21」改革では、最初に手を付けたのが「事業部制の解体」と、事業領域ごとの戦略決定権を本社、子会社も合わせて括り直した「ドメイン会社に集中する」ことだった。これは、商品単位に細かく分かれた松下独特の事業部が、顧客から見たときの事業領域(ドメイン)ごとの戦略的統一感を著しく損なっているというのが、最大の問題であると彼が認識したからだ。松下が1万人以上の人員削減を発表したのは、「創生21」スタートから確か1年近く経過してからである。

 これに対して、ソニーはどうだろう。麻倉氏の分析を待つまでもなく、ソニーのどこが最も大きな問題なのか、それに対してどうメスを入れるのがいいと思うのかが、今回の経営方針発表からはまったく読みとれない。まさに「緊急避難」的な発表に過ぎない。

 NIKKEI.NETでFTのインタビューの断片を見る限り、ソニーの組織を変革する「象徴」となるキーレバーがどこにあるとストリンガー会長が考えていたのかは分からない。「職場のモラルが低く」て「人員削減に反発が大きかった」からリストラができなかったというのは、かつての富士通の秋草会長の「社員が働かないからダメなんだ」発言にも似た香ばしさが漂う。

 あくまで外部の、社内事情を知らない個人の感覚で言うと、ソニーって組織がわかりにくすぎると思う。いろいろな事業領域の境界線上にあるような微妙な商品が多すぎて、いったいどのカンパニーが何をカバーしているのか全然わからん。しかも商品企画は本社でカンパニーごとに分かれているように見えるが、生産部門はソニーEMCSだし、国内販売はSMOJだし、カンパニーごとに生産や販売のリソースを取り合っていて、結局生産部門のトップを占める派閥のカンパニーが生産ラインを優先的に確保できるとか、わけのわからんことになってる。これじゃまともに市場を見据えて戦略的な商品企画を作って出していくことなどできない。

 いっそのことEMCSとかSMOJを解散して、もう一度開発・生産から販売まで、事業領域カンパニーごとの縦割りに戻したらどうだろう。どっちにしたって、半導体のCELLとか以外は、事業領域をまたいで戦略的に使っていかなきゃいけないインフラ的なパーツなど、何も持ってないんでしょ?メモリスティックからだってほとんど撤退モードだし。よく考えたら、これだけの企業規模でまとまって投資の選択・集中の判断する必要なんかないじゃん。

 で、ソニーとして出しても良い製品かどうかのブランディングの判断だけ、統括持ち株会社の中に「ブランド管理室」を置いてそこで決めるってことにすれば?そうしたら、さすがにSonyブランド付けてトイレの便座カバーを売り出す奴だけは止められるだろうしさ。どうしても絶対儲かると思ってトイレの便座カバー売りたいやつは、自分で勝手にSony以外のブランド作って付けろと。それで十分のような気がする。

 …てなことを考えていたりしたのだが、どうもそういうキーレバーを見つけて何とかしようともしなかったストリンガー会長は、最初の1歩目でけつまずいたような気がしてしょうがない。人員削減がどうとかじゃなくて、社外に向けて社内の悪口を言っちゃうことが、日本でどれだけ社内から恨みを買うかということを、彼はやっぱり分かってなかったんでしょう。たぶんこのあと彼が何を言っても、誰も言うことは聞かんわね、残念ながら。

 2000年に入ってから僕はずっと「ソニーはヤバイ。このままだと本当にボロボロになるよあの会社」って言い続けてきたのだけれど、回りは誰も信じてくれなかった。みんな「ソニーはなんだかんだ言って底力のある会社だから」というのが先輩たちのロジックだった。んなわけないじゃん。あの会社がいったい何人「顧問」を抱えてるか、知ってるんか?すごい数だぞ。トップのポジションの時に何もせずに部下の提案握りつぶして定年迎えたような唐変木でも、全部「顧問」処遇で飼ってるんだぞ。あんな昔の阪神みたいな会社、「底力」いくらあっても足りねえっつーの。

 今回のリストラの前に「SFH売却」ってニュースを聞いたとき、ほんのちょっとだけ期待したんだけどなあ。金融をやりたいって言ったのは確か盛田昭夫だったはず。創業者のしがらみを切り捨てて「聖域はない」って示せるなら、まだ可能性があるかと思ったんだが、やっぱりダメだった。ハズシ覚悟で予言しておくと、次はストリンガーのクビを切って誰をトップに据えるかに焦点が移るんじゃないかな。出井復活とかいう悪夢もありげ。

 行きがかり上、次のトップは日本人じゃなくちゃ務まらないだろうが、しかしこんな会社任せられる人なんて今の日本にいるんだろうか。日経がソニーを褒めそやすのをあと3年早く止めていたら、産業再生機構に放り込めたかもしれないのに。もう手遅れザマスよ。トホホ。

04:53 午後 ビジネス コメント (18) トラックバック (13)

マクロ経済って本当に難しい

 よそ様の備忘録に茶々を入れるのも何だとか思ったけど、小飼弾氏が今頃になって選挙前に出た電波記事をピックアップしながらブログを書いていたので、ちょっと一言。

 備忘録-日本政府のB/S2003年度分(404 Blog Not Found)

 日本の公的バランスシートが2003年時点で350兆円の債務超過だという話から、小飼氏は「民間に金を回したかったら、郵政を『民営化』して『民間に金を回した』と言い張るより、国が吸い上げる金を減らした方がずっと効果的」と結論づけている。

 (9/24 9:30小飼氏からの反論について追記しました)

 ちなみに、子飼氏が参考にしているネタ元はこちらの記事。この記事を書いたのは吉田繁治という経営コンサルタントで、その人はこのデータを財務省のこのページから引っ張っている。

 国の債務超過額なんて1999年頃に「1000兆円ぐらいかなー」なんていうこんな記事が日経新聞にも載っていたぐらいだし、僕的に言うと「年金債務除けば350兆円?あれ、ちょっと見ないうちに随分減ったねえ、誰かなんかいじった?」とかいうぐらいの感想しかないわけですが。それを今ごろ引っ張り出してきて「郵貯・簡保が民営化されると国債価格が暴落する!金利が暴騰する!」とか騒ぐのってどうよ。(´△`)ホゲー ま、選挙に何の影響もなかったみたいだし別にいいんだけどさ。

 しかもそういうマクロ経済をちょこっとかじっただけの素人コンサルの分析を引っ張ってきて「資産が増えてなければ今年は400兆円ぐらいだ」とか、「民間にカネを回したかったら郵政民営化より国の予算規模を減らせえ」って言うに至っては、なーんだかーなー、という感じだ。もう素人床屋政談炸裂モード、めちゃくちゃでんがな。ま、選挙後だから世の中に何の影響もないし別にいいけど。

 いちいち個別の発言に反論するのもあまりにめんどくさいんで、どうしてこの分析がDQNなのか知りたい!って人は適当にネットの中で誰かが分析してる記事を探してみてください。

 っていうのも不親切すぎかもと思うので箇条書きで簡単に論点をいっとくと、

  • 国の債務超過は別に大した問題じゃない。そんなのはよくある話
  • 郵政民営化がなるかならないかと国債消化とは全然関係ない。というか郵政マネーが民間に回ろうがどうなろうが日本には今のところ国債以外に資金運用の場所などない
  • 金融の世界では、理論的にはとっくに価格暴落して破綻しているはずの日本国債がなぜいまだにそうならないのかは最大のパラドックス。理論の部分だけかじって「今すぐにでも破綻するぞ!」って叫ぶのは素人の証拠
  • 郵政マネーは国の一般予算とは関係ないところで運用されていたからこそこうなった。減らさなきゃいけないのは闇会計たる郵政マネーを勝手にじゃぶじゃぶ使っていた(今も使ってる)31ある特別会計や(たぶん80とかそこいらぐらいあるはずの)特殊法人とかの方
  • 「実は国が貸し剥がしの原因だ」というのは、一面においてはそうかもしんない。だけどバブル崩壊という羮に懲りて「100%元本保証」にしがみつくという膾を吹いてきたのは、そもそも日本国民自身でっせ
 というわけで、何となく議論の筋道だけ書いてみた。

 このあたりの話って、一般の企業の財務会計と全然勝手が違うから、企業経営の専門家であればあるほど、その常識を適用して類推しちゃうのでどえらい勘違いをやっちゃうのだよね。だからマクロ経済ってのは本当に難しい。とはいえ、「知らねえ奴は軽率なことは言うな」というのもアレだし、どっかに「サルでもわかるマクロ経済」みたいな素人向け解説ってありませんかね?いや、これはマジメな話。

 あと、全然関係ないけどParsleyさんのオカラと前チョンの分析があまりに面白かったのでご紹介しておく。これから武部幹事長を見るたびにボブ・マーレイやバーニー・マックの顔が思い浮かんで吹き出してしまいそうだ。

(9/24 9:30追記)さっそく小飼氏から神速レスTBが。→反論エントリ
 基本的なところで特に反論する点はない。表現の問題として「コップの水がもうあふれそうだ」というのと、「まだあふれてないしこれからもそう簡単にはあふれないんじゃね?」という程度の違いだけで、事実認識には大した隔たりはないということが分かったので、「素人床屋政談」の言は撤回させていただきます。あ、自分で「素人」ってのは認めてるからそのままでも良いのかな。

 しかし、20年後ねえ。個人資産何百億の小飼氏はいざしらず、吹けば飛ぶようなへそくり貯金しか持たない僕なんざ、20年後のことなんて真剣に考えたら、こんなところで生きてられませんがな。依存度が高いというより、選択肢がないからこそそういう発想になるってことだと思うんだけどね。

 あと、もう一つ言っとくと「国に吸い上げるカネを減らすべし」といってる人が「こういう勇ましい台詞は、私より多く納税してから言って欲しいものだ」って納税額自慢するっていうのもどうかなあ。僕みたいなオケラ庶民でさえ年間貯蓄額の5%を寄付に回して何とか税金によらない再配分をしようとしてるんだから、小飼氏みたいな資産家は助成財団でも作ってガンガン慈善活動に寄付して、「サラリーマンふぜいなお前の生涯所得の何倍も国に吸い上げられる前に再配分してやってんだよボケが」ぐらいの啖呵は切って欲しいと思われ(もうやってるならゴメンナサイ)。

12:10 午前 経済・政治・国際 コメント (11) トラックバック (12)

2005/09/22

大学ビジネスのポジショニング

 例のコピペレポートの話題で知った「大学教員の日常・非日常」というブログが、大学論を語る時には自分がどの領域の大学について語っているのかを明示すべきという提起をしている。

 大学の区分け(大学教員の日常・非日常)

 マーケティング的に言うなら、市場にある商品群をいくつかのタイプに分類して比較することをポジショニングという。上記のブログ筆者のフラスコ氏は、大学論が論じる対象を「理系←→文系」「一流←→二流以下」という2つの軸でポジショニングすることを提案している。

 一見、非常に分かりやすい軸のように見えるが、よくよく考えてみるとこれってどうよ?という気がしてくる。もちろん、理系と文系で教授の求められる成果の内容とか研究のための費用、研究室の学生に与える課題もかなり違うということは分かる。だが、理系と文系を切り分けて議論しようとすることで、何が新たに発見できるというのだろう?

 表面的な現象形態による分類は、表面的な打ち手の差にしか表れない。こういうポジショニングをするとき、マーケターはやはりその分け方そのものからからもっと深い何かを読みとりたくなってしまうものだ。

 また、「一流大学←→二流以下の大学」という分け方も微妙に主観的だ。一流大学の定義を「優秀で学習意欲の高い学生が集まり(入試の)倍率も上がっている」としているが、これって全然定義になってないと思う。

 まず代ゼミや旺文社などの発表している毎年の大学の入試倍率と偏差値を見比べてみればすぐにでも分かることだが、入試の倍率と大学の知的水準やブランド価値とは、何の相関もない。東大より亜細亜大や立教大の方が実質倍率の高い学部なんていくらでもある。

 あえて言えば、倍率が1以上とそれ未満(つまり実質無試験)の場合には偏差値と多少相関があるかも知れないが、学生の学習意欲に至ってはもっと何の相関もないだろう。トップ私大にいて勉強する気のないやつなんていくらだっているし、マイナーな小規模校だって学生に学ぶ意欲を持たせるのに成功しているところはある。つまり、学生の学習意欲を入試という入り口のせいにすること自体が、ある意味ですごく旧弊にとらわれた考え方と言えなくもない。

 人の考えたアイデアにあれこれケチつけてこき下ろすくらいなら、てめーのアイデア聞かせろや、という声がそろそろ飛んできそうなので、僕なりの大学ビジネスのポジショニングを考えてみたい。

大学ビジネスのポジショニング・マップ

 僕が考える「大学ビジネス」のポジショニングとは、上のようなものだ。

 「入口ブランド」「出口ブランド」とは、大学が卒業生の品質をどこの段階で担保しようとしているかを指す。例えば東大は「東大に合格した」ことが今も昔も最大のブランド価値であり、誰しもが「東大生」というのは入試に合格した人のことを指す、と考えている。たとえホリエモンが一見どんな素行不良のワルだったとしも、東大中退という彼の履歴は、彼が「常人とは頭の出来が違う奴」であるというシグナルを発する。

 一方、「出口ブランド」とは、卒業資格を持ってなければ何の意味もない大学のことだ。アメリカの大学はたいていの場合そうだ。アイビーリーグクラスともなると入学したことも多少のブランドにはなるのかも知れないが、そもそも卒業資格を持っていないと加われない「OB人脈」というのもある。従来の日本にこの手の大学はほとんどなかったが、最近は卒業する=国家資格を取ることであり、資格がなければ何の意味もないという「職業大学院」などが出てきつつあるので、少しずつそういうところが増えるだろう。

 一方、横軸は文字通り、その大学が研究に重きを置くのか、教育に重きを置くのかという、ブランド作りウェイトの位置である。こうしてみると、例えば東大とは、卒業生の品質は「入口」で担保しつつ、大学としては「研究」水準の高さを売りにするという、Bのポジションにあったことが分かる。

 一方、フラスコ氏が言う、日本に数多くある「教育に力を入れないと卒業生の能力が保証できなくなってブランドがやばくなりそうな入試定員割れ寸前の二流大学」というのは、Cのポジションにあると言えるだろう。そう日本の大学というのは、これまで東大を先頭として、B←→Cという対角線上のどこなのかという序列を形成していたのである。「入試の倍率がその大学の研究水準と一流/二流の物差しとなる」というフラスコ氏の考えは、B-Cの対角線上のフレームから一歩も出ていない。

 だが、先ほども言ったように、入試の倍率とはそもそも、研究業績や学生の学習意欲とは相関がない。なぜなら、入試にどれだけ人を集めて、どれだけ合格させるかというのは、大学のブランドイメージ以外のレバーでいろいろ操作可能だからだ。

 一番簡単なのは、受験料や授業料を上げたり下げたりすることである。下げすぎて経営が成り立つかどうかという問題は別にあるものの、本当に定員の何十倍もの受験者を集めたければ、受験料も授業料もタダにして、広告を打ちまくればいいのである。その代わり、卒業までに猛烈なカリキュラムを課して本当に能力があると認めた人しか卒業させないようにすれば、(何度も言うが、経営が成り立つかどうかはともかくとして)圧倒的な「出口ブランド」の大学ができるだろう。

 そんな暴論を、それでは経営が成り立たない、という反論が出るだろう。まったく仰せの通り。Cの部分は、よほどしっかりした教育システムと、集まってくる学生の質を入試を行わずにふるいにかけ、期待値をそろえる巧みな「ディ・マーケティング」の技術がないと、手間とコストばかりかかって成果の出ない教育機関になってしまうと思う。

 研究水準で高いブランドを持つ大学ほど、Bのポジションに行きたがる。何となれば、ここが一番収益性が高いからだ。なにせ、入試でがっぽり受験料を取り、入学した後は適当なマスプロ授業に押し込んで高等教育といううなぎの香りだけ嗅がせ、ところ天方式に学生を押し出していればいいからである。その代表が東大を筆頭とする日本の既存のエスタブリッシュの大学だった。

 でも世界的に見れば、そんなレベルで儲かったなどと言って喜んでいるバカは日本の大学ぐらいのものである。海外の大学で世界ランキングに入ってくるようなところは、みんな学生がどんな研究成果を上げたかをしっかり見て卒業資格を与えている。その目利きの力と、超優秀な学生はすぐにでも師匠を飛び越えて教授になり、卒業生はそのネットワークを駆使して学外で活躍するという実力主義とが、大学のブランドを決めるのである。つまり、本来大学が最終的に目指すべきはDのポジションだ。

 では、Aのポジションとはどういう大学だろう。個人的な考えだが、教育熱心さをもって入口のブランドを構築するという戦略は、ダイレクトにはあり得ないのではないかと思う。これは、日本が高等教育の内容に対する格付け評価などのインフラが全然整ってないことも大きな理由だが、購入してみなければ分からないサービスの品質の高さをもって、試験で振り落とさなければならないほどの希望者を集めるというのは、よほど特殊な教育方法を持っている学校でない限り不可能ではないかと思う。

 最近、一部の既存大学が設立する職業大学院(法科、会計など)が、大した教育メソッドもないくせに資格が取れることをエサに学生を釣って、受験料で儲けようとたくらんでいるようだが、はっきり言っておこう。Aのポジションは絶対に無理。成り立たない。まずは地道にCのポジションで教育メソッドを磨くべきだ。どちらにしろ、少子化がどんどん進むこれからの日本で、入口ブランドで大学の価値を訴求する戦略など、旧帝大やそれと並ぶ私立大レベルのブランド資産があるところしか取りようがないのである。

 だから二言目には「入試の倍率が」とかいう大学の先生というのは、自分の大学が旧帝大・名門私立大と張り合えるはずという密かな自信をちゃんと持っている人か、それとも東大と文科省が作り上げた戦後教育のイデオロギーに相変わらずどっぷり思考を冒されているか、どちらかでしかない。自分自身がどういうポジションでものを言っているのか、そういうふうに考えてみると分かりやすいのではないだろうか。

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2005/09/15

世耕さん、福山さんに会ってきましたよ(´・ω・`)ノ

 総選挙が終わって、さて開票予想の比較とか書くかぁ・・・とか思いながら月曜日を迎えたとたんに、仕事が山のように降りかかるわ、あちこちから原稿の校正やら原稿執筆、コメントなどの依頼の連絡が入るわで、もうてんやわんや。あのー、僕別に「識者」とか言うような偉そうな人間じゃないんですが何か?半年前に記者業は廃業したはずなのに、なぜか締切に追われている・・・(泣)。

 そんなこんなでブログ更新をほったらかして週も後半に入ってしまいましたが、なんとそんな慌ただしいスケジュールを縫うようにして、某誌編集部のご厚意で自民・民主両党の広報責任者に「総選挙における広報(コミュニケーション)戦略総括」というテーマで、1時間ずつインタビューをすることができた。

 民主党は福山哲郎参院議員、自民党はかの有名な世耕弘成参院議員である。どちらも非常にざっくばらんに、ものすごい勢いで(横にいた編集者に言わせると、新聞やテレビの政治部記者には絶対に話さないようなレベルの話まで)しゃべりまくってくれた。半分ぐらいは紙どころかブログにも書けない話だったが。いやー、役得です。

 近頃あちこちのマスコミでは民主党の戦犯探しと自民党のあら探しが盛り上がっているようだけど、民主党のコミュニケーション戦略に関する限り、マスコミの記事の中に的確と思えた分析・批判はほとんどない。インタビューを通じて僕の感じたことに最も近いことを書いているのは、マスコミではなくてブロガーのカトラー氏が書いたこのエントリだった。戦犯探しにご興味のある方はカトラー氏のブログをご覧いただければ。あと、カトラー氏のエントリには書かれてないけどもう一人、選挙終盤に広報戦略を引っかき回した某女性議員かな。もちろん、組織全体としての戦犯はその人だけじゃないけどね。あくまでコミュニケーション戦略に限定すれば、という話。

 民主党の根本的な問題は、コミュニケーションや選挙戦略の稚拙がどうとかいう問題以前に、ネクスト・キャビネット(次の内閣)のメンバーに、そろいも揃って党としての「リスク・マネジメント」の概念が根本的に欠如していたことである。これは正直、かなり痛い。まあ、あまり深くは突っ込まないけど、あのリスク感覚のなさは次期首班にベテランがなろうが若手・中堅がなろうが、本質的には変わらないということだ。この問題は、これからも民主党の中で相当尾を引くだろう。再建には時間がかかりそうだ。

 一方、自民党に関しては世耕幹事長補佐より、「選挙中に読んでいて一番印象に残った分析記事だった」と、僕の書いたgooブログへの特別寄稿記事(前編中編後編)への感想をいただいた。ネットの中を彷徨しただけで、テレビも新聞も見ずに、ましてや関係者からの裏なども一切取らずに、自分の推測だけで書いた原稿が、分析の対象となった当事者に「図星だった」と評されたのは、光栄の至りである。もっとも政治家特有のリップサービスだったのかも知れないけど(笑)。

 今回の2人へのインタビューでは、ネット上のリソースを漁るだけでは得られなかった新しいファクトもいくつか知ることができたので、そのへんをまとめてどっかまた別のところにでも書いてみたいと思う。

 それから、前のエントリへのコメント欄に、「今回の自民党の勝利がバンドワゴン効果っていうのは本当か」という質問が書かれている。これにちょっと答えておこう。ちなみに、バンドワゴン効果のなんたるかが分からない人は、WikiPediaの解説をどうぞ。

 バンドワゴンだかアンダードッグだかはともかく、今回の選挙に世論調査の結果を見て自分の投票先を決めるような「美人投票」的ネットワーク外部性が働いていたかどうかというのは、定量的にきちんと検証しないと何とも言えない部分はあると思う。だが、僕個人の感覚から言うと「さほどなかった」という結論だと思う。

 なぜかというと、インターネットの普及によって、有権者が情報を入手するチャネルやソースが多様化しており、それが結果として投票行動を判断するためのタクトをばらけさせているからだ。

 バンドワゴン効果というのは、ある集団の行動の予測情報が同時に集団の構成員の多くに示され、その情報に基づいて全員がある期日に一斉に行動しなければならないという場合に引き起こされる。ところが、大手新聞各社が示した最後の投票予想は確か9月5日と、投票日の1週間前だったのに対し、今回の広報担当者インタビューでも分かったことだが、実は各党とも予想結果の発表内容とそれによる有権者の意識変化の様子を統計で確認してから、さらにいろいろな媒体を使った広告や広報戦術を繰り出しているのである。

 つまり、集団の行動(ここでは世論)の予測情報が出た後に、さらに膨大な量の情報が飛び交っているので、9/5の予測情報そのものが投票行動に決定的な影響を与えたかと問われれば、「否」と答えざるを得ない。結論としては「バンドワゴン効果はあったかも知れないが、それはかなり薄まっていた」というのが、正確なところだろう。

 ま、小泉圧勝はどうせバンドワゴン効果だなんて言ってるのはエセサヨクの負け犬の遠吠えに過ぎないってことで糸冬 了..._〆(゚▽゚*)。

 ちなみにこの話、裏返すとマスメディア側のポジショニングの戦略に深く結びついて来るので、マスコミ側の人もぼやぼやしてないで徹底的に自分の果たせた役割と今後目指すポジションを考えるべきだと思うんだが、そのへんまで論じていると話がめんどくさくて死にそうになるのでここでおしまい。では。

05:44 午後 経済・政治・国際 コメント (28) トラックバック (17)

2005/09/11

2005年衆院選開票速報結果

 自民党単独で300、公明党あわせて340をうかがう、ですか。衆議院だけを見る限り、これで与党連立政権だけで憲法改正が可能になったな。画期的なことだ。ま、もちろん参院は3分の2に届いてないわけだし、小泉首相の奇襲戦法が今後何回も通じるものでもないと思うけどね。岡田君、残念でした。2度の選挙で天才マーケターの罠にはめられたあなたは、ほぼ確実にクビですよ。

自民公明民主共産社民その他
NHK285~32528~3684~1276~103~12 ??
 日テレ 30933 1049718
TBS307341058620
フジ 306361018920
テレ朝3043310410816
テレ東

 NHKの無所属・郵政反対派の議席数(??のところ)は、ザッピングした段階で細かくメモ取れなかったので省略。まあ、大勢には影響なしってことで勘弁ね。あと、テレ東は例によって8時45分から特番。なんか、後出しじゃんけんの人を同列に並べて当たったとか当たってねえとか評価されるのも、他のテレビ局にとっては心外だろうから、載せないことにした。誰か8時45分の時点でチェキラできたら、コメント欄にでも書き込んでみてください。

 これだけ激戦と言われていたからさぞかし局ごとに予想の差が出るのかなと思っていたら、ほとんど出てないなあ。NHKの幅予想は別にしても、民放4社の自民、民主の予想議席数の差がどれも各党議席数全体の2%以内に収まってるというのは驚異的。「自・民激突」とか言っていたほとんどの選挙区は、出口調査だけで完全に勝ち負けが読めたっていうことかな。開票予想の当たり外れの焦点だったのは、郵政民営化反対候補に自民党が対抗馬を立てた20やそこいらの選挙区だけだった、と。

 というわけで、速報値を見ての感想はこのぐらいにして、この予想がどのくらいの精度で当たったか、また明日の朝に検証してみたい。おやすみなさい。

08:38 午後 メディアとネット コメント (21) トラックバック (17)

いよいよ選挙当日:昨年参院選までのまとめ

 いよいよ衆院選選挙当日となりました。このブログにも数日前より変なキ●ガイトラックバックが多数寄せられてくるようになりましたが、何というかこういうキ●ガイがたくさん湧くと「ああ、政治の季節」って感じがしますですね。皆さん、投票に行かれるご準備の方はいかがでしょうか。

 そう言えば前回の2004年7月の参院選の時には、以前のブログでgori氏提唱の「出口調査は民主党に清き一票を」キャンペーンの効果検証と称し、在京キー各局の出口調査に基づく午後8時時点の議席数予想の統計誤差を検証するエントリをアップしていたことを思い出した。

 個人的には結構面白かったので、今回も時間があれば似たようなことをやってみようかと思ってるけれど、その前に以前の検証エントリを参考資料としてサルベージしておこう。

 まず、2004年7月11日の「2004年参院選出口調査予想ch別一覧」というエントリ。


意外に誰もアップしてないので、ここにアップしとく。20時時点の各チャンネル議席予想(テレ東のみ20:50の後出しじゃんけん)。出口調査かく乱!とか言ってキャンペーンしてるのに、2ちゃんねる選挙板以外にアップしてるブログがまだほとんどないみたいだったので。ちゃんとキャンペーンの効果計測はしましょうね~(笑)。ブログ界の人って、こういうのはみんな動き鈍いのかな。


自民 公明 民主 共産 社民 その他
NHK 43~52 9~12 48~55 2~4 2~3 4~7
日テレ 47 11 53 3 2 5
TBS 48 10 52 4 2 5
フジ 48 10 53 4 2 4
テレ朝 46 11 52 4 2 6
テレ東 49(42~53) 11 50(47~56) 4 2 5

 ざっと見た感じでは、NHKとテレ東以外は談合したかのように数字が似通っている。ちなみに、テレ東は放送開始を50分遅らせ、各チャンネルの予想を分析した結果出した分析なので、NHKより予想の幅が広い。まあ、これはある意味「うちの局はあいまいと言われようがなんと言われようが、嘘だけはつきません」という、非主流派としての良心の表れと評価できるかも(笑)。

 NHKの予想をどう読むかは難しいところだけど、まあ大勢としての民主優位を予想していることは間違いないだろう。まあ、個人的にはフジとNHKが資金力でもってだいたい当たりの予想をしてくるだろうと思っているので、今回そう大きな狂いはない気がする。

 問題は日テレからテレ朝まで、残りの民放3局の結果がNHK&フジにそっくりなことだね~。ということは、NHK&フジも合わせた全員が2ちゃんねるに騙されたか、それとも全員が僕の言っていたような「嘘つき率」をデモグラフィーの補正に入れて、そこそこ正しい数字を出すようになったかどっちかだな。明日の朝には結果がはっきり出ますけど。

 もし開票結果がこの通りだったとして、テレビはそろって「自民党はイラク派兵と年金でノーを突きつけられた」とか言ってますが、んなわけないじゃん。本当に「ノー」だったら、一人区のほとんどで負けて、都道府県選挙区だけで民主党に10以上差つけられてるでしょうにが。基本的に与党の議席ってのは、自+公の2党合計で見なきゃ意味ないんだから。「民主党が勝った」とまで言うからには、少なくとも自+公の議席数を上回ってないと。4局の出口調査が正しければ、その時点で民主党は既に与党に負けてると思うのですがね。

 まあ、今回の選挙ではいきなり参院全体で過半数割れといった異常事態でも起こらない限り、自民党内で小泉君のあとがまになる人が出てこなければ政権交代はなし。民主党に雪崩れていけば選挙に勝てるという雰囲気が蔓延したわけでもないので、与党の分裂も起こらないでしょう。民主党には、今回の選挙を昨年の衆院選に続く「ステップ」と考えて、きちんと戦略やら政策立案の体制やらを作ってもらいたいですね。長い目で期待してますが、今すぐは期待してません(笑)。

 では、とりあえず20時時点の数字だけ書いて寝る。おやすみ~。


次に、翌12日アップの「出口調査かく乱プロジェクト勝手総括」と題したエントリ。


 一晩明けてテレビを見たら、びっくり。テレ東、後出しじゃんけんがビンゴじゃないですか!(爆笑)

 2004年参議院議員選挙 開票結果(カッコ内は改選前議席からの増減)

自民 公明 民主 共産 社民 その他
開票結果 49(-1) 11(+1) 50(+12) 4(-11) 2(±0) 5(±0)

 前回衆院選の時には総議席数480に対して最大30程度(6.3%)の予測誤差があった。今回の参院選では、最も大きくずれた日テレ・フジの民主党議席、テレ朝の自民党議席の誤差が±3。トータル121議席に対する予測誤差は2.5%に縮小。まあこのぐらいの誤差なら統計的にも許容範囲なんじゃないのかな。とはいえ、この比率は次回衆院選でも最大11議席の予想誤差が生まれることを意味してるわけではありますが。

 キャンペーンの発起人氏のブログに協力者・賛同者へのお礼メッセージが掲載されているが、なんつーか、総括ぐらいしなさいよちゃんと。呼びかけたんだから。

 というわけでこっちが勝手に総括しておこう。発起人氏のブログの選挙当日エントリのコメント欄などでもかなり書かれていますが、もしこのキャンペーンの狙いが「マスゴミの開票結果予測のいい加減さを白日の下に晒す」、つまり前回衆院選以上の予測誤差を生じさせることだったとすれば、残念ながら結果は「完全なる失敗」だったということだ。前回を上回るどころか、前回の半分以下にまで予測誤差は縮まったのだから。

 このブログの前のエントリでも触れたように、このキャンペーンはある意味面白い試みではあるけれど、マスコミの中の人の立場からすれば、むしろマスコミに対する「嘘つき比率」補正精度を高めるきっかけにしかなっていないということだ。報道の姿勢が政治的に偏向しているかどうかを明らかにすることとは全然関係ない。

 偏向している云々と批判したいなら、この議席数をもって「民主党実質勝利」とか総括する記事の内容を批判すべきだと思う。だって、与党(自公)の議席数を民主党が10(民主党系の無所属議員を足してもまだ6)も下回ってるのに、これのどこが「自民敗北」なわけ?日経+共同通信の出口調査分析では、特定支持政党なしの「無党派層」の投票先に占める民主党の比率は、前回衆院選の時よりもむしろ落ちている(56.5%→50.8%)。小沢一郎が言うように「民主党は本来もっと取れた」、なのに今回は連立与党と互角にまでも持っていけなかったというのが実態でしょう。

 それよりもショックを受けるべきなのは、公明党が11議席も取ったことじゃないのか。自民党からの「比例票おすそわけ」効果が相変わらずほとんどなかったにもかかわらず、どうして1議席伸ばすんだこの党は。不気味すぎる。

 政界再編が頻繁だったころと違って、今の自民党に層化票なんか要らない!って言い張る人ももういなさそうだし。民主党が本当に政権取りたいなら、自民党を割って出てくる人に期待せず、自分で議席を増やす戦略を考えるしかないよ。東京で青島と増元の2人を説得して協力を取り付け、タレント候補もう1人立ててそこに票を集めさせるぐらいのことできなきゃねえ。

 おっと、話が脇道にそれてしまった。というわけで「出口調査かく乱キャンペーン」の発起人氏には、今回の失敗にめげず、次回もネットを徹底的に駆使した政治無関心層の掘り起こしと投票率向上作戦を画策してもらえるよう、なお一層期待するものである。

 いや、真面目な話、前回参院選に比べて0.12ポイント増えたと言われている投票率は、マスコミが言うようにイラクや年金問題への批判などではない。もしそうなら、前回衆院選より野党の無党派層における得票率が増えて良かったはずだ。イラクや年金なんて、政治無関心層には全然関係ない。トータルで見て今回の参院選での国民の下した審判は「連立政権の現状維持」だったんだ。だから投票率が上がった理由の半分は不在者投票制度の利便性向上、もう半分はこの「出口調査かく乱キャンペーン」だったと、僕は信じてるよ(笑)。


 さて、今回の選挙での予想誤差がどうなったかはまた夜9時過ぎにでもアップさせていただきます。ではでは。

12:07 午前 経済・政治・国際 コメント (1) トラックバック (6)

2005/09/09

ACCESSがPalmSourceを買収

 NIKKEI.NETのトップに出てた。気になるお値段は358億円。びっくりあんぐり。500億円のCBはこのための調達だったのね。ていうかあんな将来のないテクノロジーの会社買って、どうするんだACCESS。米国市場の携帯向けOSに進出するための橋頭堡にでもするつもりなのか?

 奥一穂君とかDude-sanあたりにこの件についてぜひコメントしてもらいたい。よろしくお願いします。あと、変則的三角合併のモデルケースとしても面白いかも。磯崎先生、ぜひ分析を。(笑)

02:06 午後 携帯・デジカメ コメント (3) トラックバック (5)

インターネット経営から退却するHP

Mark Hurd, CEO of HP CNETのトップページに、HPのマーク・ハードCEOの記者会見の概要が載っていた。なかなか面白かったので、ちょっとコメントしてみよう。

 HP、CEOが新戦略を明らかに(CNET Japan)

 翻訳元の記事はこちら。っていうか、翻訳記事は途中までしか訳してないんで、ハード氏が狙っているHPの改革とは何なのか、読んでもちっともわかんない。ちゃんと最後まで訳してくれないとねえ。

 今年4月の就任当時は「テニス好きな口べたの田舎紳士」みたいな言われ方して、演説でどんな相手でもメロメロに酔わせてしまうフィオリーナ前CEOとのあまりのギャップの大きさに全米が爆笑したマーク・ハードCEOだが、どうやら本当の人柄も経営手法も前評判そのまんまのベタベタだったらしい。

 8月22日号の日経ビジネスに載ってた編集長インタビューも読んだけど、「僕たちは世界最高の企業です。目標は成長することです。大切なのはお客さんに信頼されることです。社員はみんなまじめでいっしょうけんめいです。これからもがんばるのでみなさんもおうえんしてください。おしまい」みたいな内容。途中で突っ伏して眠りたくなっちゃうほどノーテンキでつまんなかった。フィオリーナが就任して初めて来日して講演したときは幹部から末端社員まで涙を流して感動したって言われたけど、ハード氏の来日スピーチってどうだったんだろ。半分ぐらい寝ちゃったんじゃないのか(笑)。

 それは冗談だけど、しかしこのテニスお兄さん、繰り出してくる打ち手はなかなか堅実というか、むしろめちゃくちゃ手堅い。なるほど、こういうやり方があったのかという感じだ。

 CNETの記事によると、HPの新戦略をハード氏は次のように説明している。

HP's overarching game plan, Hurd said, is to be an infrastructure technology company, using its vast research and development resources to collectively serve as a foil against competitor Dell. HP would leave IBM, meanwhile, to focus on business processing, he said.

 (和訳)Hurdによると、HPがとる戦略の概要としては、同社をインフラストラクチャーテクノロジー企業にすることだという。そのため、同社は研究開発に膨大な費用を投入し、ライバルのDellと違いを示すという。また、当面は、ビジネスプロセス分野に集中するIBMには対抗しないつもりだともHurdは述べた。

 しかしこの一方で、今年7月にハード氏は既に発表した1万5000人の人員削減に絡んで、“パソコンの生みの親”であるアラン・ケイも関わるプロジェクトを含め、パロアルトの本社で進めていた4つの研究開発プロジェクトを中止させてもいる。もちろん、アラン・ケイ自身も解雇だそうな。

 「インフラストラクチャーテクノロジー企業」と聞いて、一瞬僕の頭の中に「e-Speak」(※1)という恐ろしげな単語が横切ったのだが、ハード氏のこの言葉で指しているのはそういう何だかわけの分からないネットワーク上のデジタル・テクノロジーのことではないらしいことが、その後の文章(英語)を読んでいけば分かる。

HP also plans to take an inquisitive, opportunistic approach to potential acquisitions, Hurd said, pointing to the company's recent announcement of its planned acquisition of Scitex Vision's assets. Scitex, which helps companies print billboards and banners, will be used to bolster HP's printing and imaging efforts.

 (和訳)HPは将来的には買収に対しても前向きに、興味を持って取り組んでいくつもりだとハード氏は言う。これは、同社が最近発表したScitex Visionの株取得の計画のことを指している。Scitexは掲示板のポスターや垂れ幕の印刷会社だが、これがHPのプリンティング・イメージ事業を補完することになりそうだからだ。

 なんつーか、天下のHPがこんなにベタでいいんでしょーか。要するにハード氏は、「おたくの会社の書類作りに関することなら、プリンターから垂れ幕作りまで何でもHPに任せておくんなはれ!」という、日本でエプソンがやっているようなベタベタな商売をやることを「インフラストラクチャーテクノロジー企業」と呼んでいるのである(笑)。

 ただしそれは、IBMようなビジネスプロセスに関するところをHPで成り代わるという意味ではない。誤解を恐れず単純化して言えば、IBMは「どうやって垂れ幕を印刷したらいいかも分からない人に、垂れ幕の印刷方法を教えてあげつつその印刷システム一式を売りつける」のが商売である。一方、ハード氏の目指すHPは「書類であれ垂れ幕であれ、とにかく何でも徹底的に安く効率的に作って差し上げる。その代わり印刷方法ぐらいはお客さん、自分で説明書読んでよね?」というものだ。

 で、徹底的に安く効率的に作って売るというところではDELLとバッティングすることになるので、DELLの元CIOを引き抜いて社内のシステムを効率化する、というのがハード氏の戦略である。事業の1つ1つを徹底的にコンパクトで効率的にし、成長戦略や技術開発も事業ごとに判断してやればいい。だからこそフィオリーナ氏がくっつけたばかりだったPCとプリンターの事業もあっさり分離したわけだ。

 ある意味、めちゃくちゃ分かりやすい。JavaだLinuxだXMLだ、というような姿も形も見えないIT魔法使いどもの脳内妄想なんど、オラ知らねえ、難しくてわかんねえだ。お客さんから「これが一番安くて使いやすい」って言われるようなプリンター、PC、サーバーをひたすら作って売ってればいいんだ。これが、僕が見る限り、オハイオから出てきた田舎のテニス兄ちゃんの考えていることのようだ。タンジブルなもの、ばんざい。インターネット詐欺師に背を向けて、目の前のプリンターだけを信じろ。

 まあ、シンプルなのは大切だよ。しかしそれって本当にこれから大丈夫なのか?どこか不安になる。もしかしてその発想、5年ぐらい前の松下電器そのものじゃないのか。これってひょっとすると、HPにとって「デジタル・ネットワーク経営」からの退却なんじゃないの?

 あれだけ膨大な特許を持っている企業だから、これから数年間ぐらい脇目もふらずに既存事業の拡大再生産だけやっていてもそれなりに食ってはいけるのだろうけど、その後が恐ろしいな。今のところ株式市場や取締役会からの評判も上々なハード氏にとっての次なる課題は、個々の事業をDELL方式で効率化している最中に、どこまで次なる新事業に繋がるバリュー・ネットワークの網の目を張りめぐらせておけるかというところだろう。さて、どうなるんですかね。

※1)e-Speak:フィオリーナCEO就任後の99年に、IBMとマイクロソフトに対抗するためのキラーテクノロジーとして発表された、異なるミドルウェア間の通信を可能にするHPのJavaプラットフォーム技術。いつの間にか名前を聞かなくなった。なんだったんだあれ。

01:40 午後 ビジネス コメント (3) トラックバック (1)

2005/09/07

都市型リベラルとか反対の反対とかメタゲームとか

 リアル仕事で多忙が続いておりまして更新が滞っております。1週間ぐらい前からちょっと考えていることがあったんだが、なんかいまいちうまく考えがまとまらない。でも悩んでいても形にならないので、生煮えのままアップしちゃおう。

 考えの出発点になってるのは、以下のブログのエントリたち。

 民主党がとるべき道とは何か(インタビュー)(MIYADAI.com)
 公明党が右旋回(切込隊長BLOG)
 なぜコイズミ・オブ・ジョイトイなのか?(まなざしの快楽)
 猿虎M字開脚!コイズミ・オブ・ジョイトイ?(猿虎日記)
 反対の反対は賛成?反対?(SOUL for SALE)
 何も関わらないという事は果たして樽の中にいることなのか?(ニセモノの良心)

 宮台センセイのエントリは、あまりの人気ぶりにご本人もたいそう気をよくしたのか、9/3にサルベージされてブログのトップに引っ張り上げられている。はてなぶくまでも「岡田君はこれ読め」とか書かれていたが、本当にそうなのか。

 その反証となるのが隊長のエントリ。finalvent氏が極東ブログの8/10のエントリ「公明党と共産党」で述べているように、創価学会というのはもともと大都市の低所得サラリーマン・新興零細自営業者あたりのいわゆる「都市型リベラル」層であり、しかも政党と政策と支持者層とが完全にクローズドに一対一対応しているので、都市型リベラルが素で何を考えてるか知りたければ公明党の政策綱領を見ればいいと思う。

 で、隊長曰く問題はその政策綱領がものすごく右旋回してるねと。小さな政府とか構造改革とか、なんかマゾヒスティックなぐらい支持者自身を直撃しそうな政策なんですけどよろしいんでございましょうか、というような案配。思うに、宮台センセイの言うように民主党が照準を合わせるべき「都市型リベラル」層というのは、実は独立した顧客グループとしてアイデンティファイできないんじゃないだろうか。言い換えれば、彼らはむしろ「都市型保守」層の影(シャドー)みたいな存在なのでは?

 マーケティングの世界には、その商品が表向き狙っているモデル顧客層と、そのモデル顧客像につられて買ってしまう波及対象の顧客層というのがある。アニメ業界に敬意を表して言えば「サブターゲット」という奴だ。日曜朝8時半からやっているアニメは、メインターゲットは幼稚園~小学校の女子だが、サブターゲットが20~30代男性。実際のキャラクターグッズの消費額で言うとサブターゲットも馬鹿にできない規模なはずだが、企画側はそれはおくびにも出さない。あくまで「女子小学生がお客」と言い張ることで、日曜朝8時半という時間帯に存在を許されるものだからだ。

 今回の選挙を見ていると、意図してかせずしてかは分からないが、小泉首相は「都市型保守」をメインターゲットとする政策を絶叫することで、サブターゲットたる「都市型リベラル」も釣れるという現実を最大限利用しているように思う。

 だとすれば、民主党が今さら「フリーターも障害者も高齢者もみんなが幸せになれる社会を」といくらTVCMでリベラル層に訴えたところで、CMを見る側にしてみれば「お前らどうせ一生フリーターで貧乏で弱々しいんだろ」と言われてるようなもので、あまり前向きな気分にはなれない。それより「既得権益勢力を粉砕する!」と絶叫する小泉首相に、まだしも何かを賭けてみたくなってしまう、ダマされてみたくなってしまうというのが都市型リベラルの心情なのではないかと思う。

 要するに小泉首相って、「自分に血しぶきがかからない分には、小泉首相と抵抗勢力が戦ってるのをテレビで見ていたい」と国民に思わせてるだけだよね、という分析をしているのが「まなざしの快楽」のid:pikarrr氏による「なぜ『コイズミ・オブ・ジョイトイ』なのか?」と、それを引用し発展させた「猿虎日記」のid:sarutora氏。彼曰く、小泉首相もインリンも「ベタ」なのだ、だからそのベタを「メタ」視点から見て「これって演出でしょ?」とかニヤニヤ笑いながら見る快楽を視聴者(有権者)に与えてくれるのだと。つまり「メタ」の立場を確保しつつベタを笑えると思えるからこそ、有権者は「コイズミ・オブ・ジョイトイ」を支持するのであると。これってなんか、北田暁大センセイの『嗤う日本の「ナショナリズム」』が描いてみせたのと同じ構図だわね。

 まあ、そんなわけだからこそ、この前郵政民営化の政府広報プランの紙がぽろっとネットに出てきただけで「俺たちは“IQの低い支持者層”なんか!」と、知らないところで自分が「メタ」視点に見られ、ダマされていたことを知って頭が沸騰しちゃう人が出てくるんだよね。バカかっつーの。

 というような話を考えていたらさっそく最近調子ノリノリのチャーリーが「反対の反対は賛成?反対?」という興味深いエントリをぶっかましてくれた。ネタになってるのは例のホワイトバンドだが、「自分がメタを意識できる構図の中においてしかダマされたくないと思い、隠された意図によってダマされることに対して過剰なまでに噴き上がる連中はムカツク」とのたまっておられる。

 これに対しては予想通りというか、「ニセモノの良心」のsoulwarden氏が「俺たちはこれまでにいろいろなやり方でダマされまくってきた。これ以上ダマされたくないんだ、みんなダマされるなって叫ぶことの何が悪いんだ?!」と、これまたどこのGoogle先生から(略)なテンプレみたいな沸騰した反応を返してる。でも、これが僕ら同世代の率直な感想だろうね。

 ずーっと昔、誰もが職場で労働組合に入り、あるいは地域で自治会やら町内会やらに入り、それらを通じて政治や政治家と関わっていた頃は、ボトムアップで政策が形成されていたから、誰もが何らかの形で政治家と「共犯関係」にあったんだけど、無党派層とかいう政策形成に何ら関与しない根無し草な人たちが増えた結果、選挙の時だけ政策をあれこれでっち上げて説明しなきゃいけなくなったわけで、その結果短時間で効率的に「納得感」を刷り込むためのマーケティング戦略が重視されるのは当たり前だろうと思うわけだ。

 それをいちいち「ダマしたなこの野郎」とか沸騰するのは、気持ちとしては分かるけれども、それって自分がそれこそ「IQの低い側に居るんですよ俺は」と公言してるのと同じで、非常にカッコワルイというか。soulwarden氏は「じゃあどうすればいいんですか?」と詰め寄ってくるわけだが、チャーリーの言い分としては「いや、俺は別にIQ低くないから」とか言い訳しながら、「ダマされつつノる」しかないだろうということなんだろうね。

 でもさ、それって今回の選挙に関して言うと、結構究極の選択を迫ることにならないか?チャーリー的に言うなれば「コイズミ・オブ・ジョイトイにダマされつつノれ」ってことなんかも知れないが、政治はホワイトバンドと違って一度選んでしまったものを「ダマされた。俺の払ったカネ返せ」とか言えないからなあ。

 たぶん「郵政民営化法案さえ通したら、また解散総選挙してガラポンする」って自民党が約束してくれるならみんな喜んで自民党に入れると思うけど、実際には来年9月まで小泉首相はいろいろとやり続けるだろうし、小泉首相が辞めた後も自民党は首をすげ替えて政権の座に居座り続けるだろうし。次の国政選挙は早くて再来年、2007年の参院選だし。

 soulwarden氏への答えになってるかどうかわかんないけど、だから結局「俺、ダマされないよ」っていうメタゲームを続けていてもしょうがないわけで。やはり自分もどこかでダマす側に回るというか、ベタを演じつつメタも考えるという主体性を持つしか解決され得ないと思うんだよね。つまりさ、会社でも地域でもNGOでもどこでもいいから、他人に振り回されてばかりじゃなくてもうちょっと自分自身のために他人を振り回せ、主体的にイ㌔ってこと。

 いや、俺は絶対にそういう汚いオトナの側には回りたくないんだというならそれはそれでしょうがないですが、そういう幼児退行モードに入らないというオトナとしての決意さえあるならば、今から「ダマし」の基礎理論としてのマーケティングを勉強しても遅くないと思いますよ?

11:19 午前 経済・政治・国際 コメント (22) トラックバック (25)

2005/09/03

Flowmap導入

fmap0509032116 大した話題ではないのだけれど、ネット系の話。既に気がついていらっしゃる人がいるかも知れないが、このブログのカウンターの下に小さいバナーがついた。diary.yuco.netさんのところで紹介されていた「Flowmap」というサイトのバナーである。昨日からこっそり参加している。

 要するにリファラのデータを図示してみるとどうなるかっていうもので、データそのものはいつもサイト管理人がアクセス解析で見ているデータなんだけど、それを全部矢印でつなぐっていうのがすごい。

 一瞬中の人が手で書いてるのかとも思ったんだけど(笑)、だんだんサイトが増えてきてるのにちゃんと全部矢印でつないでいるので、やっぱりこれって自動的に描いてるんだね。すごいな。って当たり前か。

 こっそり参加したのでこのブログから外には全然矢印が出てないのだけど、ものすごい数の矢印集めてばかりでは申し訳ない気がしてきたので、ちゃんとエントリ立てておきます。我こそはと思うブロガーの方は、Flowmapにサイトを登録したうえで、このエントリにトラバを打ってみて下さい。R30からどのくらいアクセスを引っ張れたかが、一目瞭然で見られます(笑)。

 これの結構面白いところは、ブログの管理人以外にもリファラが全部筒抜けで見えるっていうこと。こっそりリンクしていても全部白日の下に晒されてばれちゃう。昨日も富士通の研究所?内のサイトからリンクがあったみたいですが、それが見えちゃってました。あと、これを使えば前にGLOCOMでshibuDQN++さんだったかが提唱していた「個人サイト炎上のプロセス」のモデルが検証できるかもね(笑)。

 リファラの解析データが他人に見えちゃうと何かまずいことがあるのか、僕もよく分からないのだけど、まずいことが判明するまでしばらく遊びがてらに参加してみようと思ってます。

06:40 午後 ウェブログ・ココログ関連 コメント (7) トラックバック (18)

2005/09/02

はてなぶくまの投げ銭を集計してみた。

 8月10日にはてなブックマークの投げ銭機能が実装されてから20日あまり経った。実際にどのくらいのポイントが投げられてるのか、特にはてな以外のブログでどれだけの効果があるのか、finalvent先生はじめ興味津々な方もいらっしゃったと思うので、このブログについての結果を一挙公開してみたい。

 以下は8月10日以来、新規にはてなブックマークで登録されたすべてのエントリについて、ブックマーク数(複数のカテゴリ登録に分かれている場合はそれらの合計)と、そこから受け取った投げ銭の件数とポイント数の合計をまとめたもの。投げ銭してくださった皆さん、ありがとうございます。

 ちなみに★印のついているエントリはブックマーク登録されたのが8月10日以前だったが、その後ブックマークによる投げ銭を受け取った。

エントリ名 ブックマーク日 ブックマーク数 投げ銭件数 投げ銭獲得率 ポイント数(合計)
[R30]: ひさびさの大型ブログサイト登場 7月14日★ 6 1 16.7% 10
[R30]: テレビ番組のアフィリエイト、何で誰もやらないの? 7月21日★ 56 1 1.8% 50
[R30]: 投げ銭システム、実装してみた 8月10日 48 13 27.1% 179
[R30]: マナーからルールへのパラダイムシフト 8月11日 19 3 15.8% 40
[R30]: コードレス掃除機に燃料電池を! 8月15日 6 1 16.7% 10
[R30]: 書評:「中村邦夫 『幸之助神話』を壊した男」 8月18日 39 1 2.6% 10
[R30]: 政治家ホリエモンをなめてはいけない 8月20日 21 1 4.8% 10
[R30]: 自民党がブロガーを集めて会見するだって?! 8月25日 57 0 0% -
[R30]: 【速報】自民党、ブロガー巻き込み戦術を加速 8月27日 13 2 15.4% 11
[R30]: 総選挙はブログをどう変えるか 8月28日 1 0 0% -
[R30]: 「ふるさと」という贅沢 8月30日 3 0 0% -
[R30]: コピペレポート論議で思う大学教育の価値軸 8月31日 70 2 2.9% 80
         合計 400

 率直に言って、どういう傾向があるのかちっとも分からない(笑)。「投げ銭システム、実装してみた」のエントリは、投げ銭できるかどうかの実験に使われた+これまでのR30ブログに対する「いつも読んでますよ、ありがとう」的なものが多かったのかなあと思っている。なのでこれはイレギュラー・バウンド。

 見るべきなのはそれ以降のエントリに対する投げ銭の発生率なのかなあと。例外もないわけではないが、10件以上ぶくまされるエントリにはたいてい1件程度の投げ銭はコンスタントに発生しているとみて良さげ。

 ちと残念だったのは、gooブログに寄稿した長大な記事に対する投げ銭が、皆無だったということ(笑)。まあ、あの記事を読んだあとに、投げ銭のためだけにこちらのブログをわざわざぶくまする人もいないわけで、当然か。

 あと、ちょっと意外だったのはAmazonアフィリエイト張りまくりだった書評エントリに対しても投げ銭が飛んできたこと。「アフィリエイトでがっぽり儲かるんだからいらねーだろ」とか思われるかなぁと予想していたんだけど、ああいうエントリでも投げ銭は飛んでくるんだね。まあ、ただ本を紹介するだけじゃない、ごりごりの内容だったからかもだけど。

 で、20日間でいただいたポイントは400ポイント、イレギュラー・バウンドを除くと約220ポイント。最初は「もらったポイントを少しは還元しないとなー」とか考えていたのだが、僕自身ははてなブックマークをほとんど活用していない人間なので、そもそも投げ銭以前の段階でぶくまする気が起こらない。しかもはてなのその他の有償サービスもほとんど使う機会がない。なのでやっぱりポイントは貯まる一方になってしまいそう。還元を期待している皆さん、申し訳ない。

 最後に、「投げ銭で小遣いが稼げるようになるか?」ということについて今のところ僕が思うのは、ぶくま→投げ銭に至るまでの比率はたぶん今後もそれほど変わらないだろうと思うので、月に1万とか2万とかのはてなポイントを稼ぐブロガーが出てくるとしたら、書くエントリが片っ端からはてなブックマークで数百、数千単位でぶくまされるような超人気コラムを書き続けるか、それとも投げ銭の最低ポイント数を50とか100ポイントとするなどの「単価アップ」か、どちらかだろう。

 個人的には、多少投げ銭回数が減ってもいいので、当面は投げ銭ポイントの単価アップをはてなに期待したいところかな。ここのところ更新頻度が多少上向いているのも、投げ銭が来るっていうことが励みになってるように思うので。

03:11 午後 メディアとネット コメント (2) トラックバック (3)