テレビ番組のアフィリエイト、何で誰もやらないの?
ずいぶん前の話になっちゃうのだけど、そろそろ自分的に時効だからいいか、みたいな感じになってきたので書いてしまおう。最近、民放が相次いでネット映像配信をぶち上げていて、今日もTBSがツタヤとなんかやるぞみたいな発表をしていたわけだが。
TBSとツタヤがタッグ--番組のDVD強化後、ネット配信はイバラの道(CNET Japan)
この提携自体は、単にこれまでパッケージソフトの自前流通チャネルを持たなかったTBSが、CCCと共同でレンタルやセルDVDを流通させまっせ、という話に過ぎなくて、まあそれは可もなく不可もなし。僕が「何だかなあ」とクビをひねりたくなるのは、やっぱりその後の「ネット配信」あたりの話である。
テレビの人たちって、口を開けば「番組は著作権関係がややこしすぎるのでネット配信は簡単ではない」とか言うけれど、実際にはハコフグマン氏のブログで書かれているように、下請けの制作会社がネット関連の著作権処理もこなした上で番組を着々制作し始めているので、あれって何かの言い訳に過ぎないんだよね、実は。
で、何の言い訳だろうと考えると、やっぱりテレビにはテレビというチャネルしかないっていう、まさにその弱みが原因だろうと思うわけだ。フジみたいにポニーキャニオンという流通会社をグループで握っているメディア・コングロマリットはいい。あと、NHKも。だけど他のテレビ局って自前のチャネルがないから、ソフトを販売しても大して売れなければ他人の資本の流通会社を潤わせるだけで終わってしまう。だからやらないってことだったんじゃないかと思うわけだ。
でも、別にテレビの映像コンテンツのリセールチャネルって、パッケージソフトだけじゃないと思うんだよね。そりゃもちろんネットで課金して映像を売れればベストだけど、それには著作権とCDNの問題が…ていうんなら、別にネットじゃなくったっていいじゃん。ケーブルテレビとか衛星放送だって、あんだからさ。
パッケージだとあまりにも流通コストが高すぎて、結局ロングテイルの末端部分は全部「利益出ない」の一言で切り捨てざるを得ないけど、多チャンネル放送とかなら特定ジャンルだけループで垂れ流して、課金は番組単位のPPVってことでスクランブルかけりゃいいわけでしょ?そしたら、DVDじゃなくったってリセールできるじゃん。もちろんツタヤで売るよりはリーチする市場が小さいかも知れないけどさ。
で、それで思い出すのが「ネコプロトコロル」のオーシマさんが6月26日のダイアリーで書いていた、テレビのアフィリエイトというアイデア。
「昨日見たTV面白かったよと書いてもあなたのプログ読者も遡って番組参照することができないわけで、記事として参考になりにくい」、だから「TVに限って言うならばTV局は番組の放送後すぐに、番組データをNET上にあげるべきなのです。それを有料配信する仕組みにしておいて、プロガーは紹介エントリで有料配信サイトへ誘導、TV局はプロガーに対し紹介料を支払うようなそんなビジネスあったっていいじゃん」って書いている。
…いや、実は僕ね、これとまったく(厳密に言うとネットではなくてCATVを使うという)同じアイデアを、某(以下検閲削除)に持ち込んでたわけよ。テレビチャンネルのアフィリエイトシステム、作りましょうってね。でもそこの社長が「つまんね」とか言って蹴ったわけさ。
ま、オーシマさんと僕が考えつくぐらいだから、どうせ既にどこかの誰かが考えついてるんだろうし、湯川氏も「求められているのはネット配信ではなくてオン・デマンド」というエントリを書いているように、メディアビジネスをじーっと目を凝らして見ている人にはほぼ自明の話だと思うんだよな。メディアの中の人たちにとってはむしろ自明じゃないらしいってのがちょっと笑えるけれども。。
そんなときに、テレビ系の映像コンテンツはたぶん、映像そのものはネットの外側に置いたまま、ブログやRSS、SNS、SBMと段階を踏んだ発展のステップを、ほぼそのまま踏んで進歩すると思うのだが、どうよ。ツタヤも、はてなツタヤオンラインとかやってる場合じゃなくて、早くツタヤオンラインにブログ+チャンネル・アフィリエイト実装しようよ、マジで。でないとテレビ屋さんに抜かれちゃうよ。
あと、全然関係ないけど最近つくづく信じられなかったのが、NTT東が「ひかり電話」のイメージキャラにSMAPの中居正広を使ってること。別にネットサービスじゃなければいくらジャニ系使おうがカネ余ってる企業の勝手だと思うけどさ、ネットのサービス売るのにネットで画像使えないタレント起用してどうすんだよ。
ま、NTTだしバカ高いカネかけた広告の効果なんてどうでもいいんだろうけど。うちもそのうちNTTの電話切ってIP電話に完全移行するしな。NTTさいなら。
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コメント
先日、日経BPで以下のような記事がありましたが、このサービス会社はまさにそのあたりを商売にしようとしている感がありますね。
>『テレビ視聴をネットで支援』、メタキャストが新ブログ・サービス
http://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/jp/flash/385885
投稿: トーシロー | 2005/07/21 08:23
あ、やっぱりやろうとしてる人はいるんですね。情報ありがとうございます>トーシローさん
でも、ブログでシェアできるのが予約録画リストまでか…ここでうまくリセール・コンテンツとつながると面白いと思うんだけどねえ。テレビ屋さんがちゃんとコミットしないと、やっぱり本格的には始まらないんかな。
投稿: R30@管理人 | 2005/07/21 09:50
TBありがとうございます。PVが今日だけでいきなり1000近くなっており、R30さんのパワーに驚愕しております。このサイト自体がすでにキラーコンテンツですね。
湯川さんもご指摘の通り、ネットの場合、アクセスをいかに容易にできるかが重要で、メーカーのハード開発がブレークスルーになるだろうと思います。
正直、ソフトは過剰供給、過当競争になっていると感じており、かなり今も仕事がシンドイですが…。いやいや、弱音をはいちゃイカンですね。
投稿: hakohugu | 2005/07/21 19:51
テレビ放送コンテンツのネット流通とその販促手段であるアフィリエイトというのは別にセットではないような。アフィリエイトは新規事業を成立させてしまうほどそんなに効果あるんですかね。それよりもネット流通に本腰を入れて、将来にわたって権利を保証出来る独立認証局の採用だとかユーザーをシステムレベルで同定できない決済方法の充実とかiTunes on webのごとき閲覧性の高い公式サイトの建立だとかそっちの方がユーザー的にはまずは大事なんではないかと。
いずれPCのビデオ信号も暗号化されるほどのガチガチのセキュリティ(ユーザーの個人情報だけがセキュリティではない)というのがもたらされる。売り手としてはやはりまだ「大容量」による敷居の高さのおかげで音楽ほど切迫した状況に無いのでPC関連ベンダの進めるセキュアな環境の整備というのを待つ方が得策だと思っているのでは。販促自体はそれらが整ってからブログに限らず色々できると思うです。
とりあえずネットの動画屋というのに入ったけどデジタル本屋と同じく商品がクソ(主に認証がらみのシステム)の癖に高くて萎えた。ブログで紹介されたからって24時間の視聴権利しかないシークも出来ないストリーミング動画に300円払う?そのあたりでも当分芽は無いのかもしれないと思うナリ。ああ、無能で強欲なスーツどもがユートピアを台無しにしやがる。
投稿: ホ | 2005/07/22 02:46
NTTの中居くん起用の件、ナイスつっこみに笑いました(笑)
投稿: T | 2005/07/26 11:13