米国議会が荒れると日本がデフレの津波をかぶる
最近ブログを読んでいる友人と飲んだら、帰り際に「うんこに負けないようがんばれ」とか不思議な激励をされてしまった。ところでうんこさんは最近コメント欄からごぶさたしちゃってるけど、元気なのかな。畑の除草や害虫駆除で忙しいのかしら。何にせよご健勝をお祈りするばかり。
ところで昨夜の人民元切り上げだけど、ニュースを聞いたときから気になってしょうがないのが、2%の切り上げ幅じゃなくて「通貨バスケット制への移行」という話。定食についてくるお漬物みたいにしれっと出てきたんだが、これって結構重要な話のような気がするんだが誰も何も言わないのかな。
通貨バスケットっていうのは、複数の通貨の加重平均によって自国通貨の為替相場を決める方法のこと。人民元がどの通貨をバスケットに入れているかは分からないけど、貿易額や政治的な影響から言ってもドル、円、ユーロの3つはかなり大きな比重を占めているだろう。
となると、例えば米国の議会が「人民元を切り上げろ!」と騒いだとして、ドルを人民元に対して大幅に安くし、かつ「通貨バスケット制だからこれでいいのだ」と説明するためには、円とユーロが対ドルで大幅に高くならなければならない。
中国の貿易相手国として圧倒的に大きいのは米国と日本だから、ユーロが大幅高になったとしても貿易額で加重平均すればたかが知れている。ということは、為替調整のターゲットとなるのは円だ。
実際、昨夜元切り上げの発表があってから、NYの円/ドル相場は前日の113円から109円まで一気に振れた。2001年以来、1日で1円単位の為替相場の変動が起こることがあまりなくなっていただけに、この振れ幅には僕はかなりびっくりした。
短期的には今回の中国の「先制攻撃」で、米国も少しもみ合いに戻るのかという気がするし、元の為替相場が大きく振れることはないだろうが、今後米国の議会が雇用の海外流出などをネタに中国叩きをぶり返すたびに、相場調整の圧力弁として円が狙われることになるんじゃないか。
つまり、米国は円がドルに対して圧倒的に高くなれば「通貨バスケットなのだから元を切り上げよ」と中国に迫れるわけで、景気指標が悪化すればするほど円への投機マネー流入は増える。つまり、株価と債券は爆上がり。一方、中国は当然ながらそれを押さえたいわけで、日本から中国への資金流入を猛烈に促すことになるだろう。
資金流入といっても、国内経済の安定から見れば沿岸部に円の投機マネーが大量流入することを望んではいないだろうから、日本向けの輸出の増加で対抗することになる。つまり、中国産品の対日輸出を熱烈奨励するってことになるんじゃないか。こっちの記事みたいに「人民元切り上げで物価が上がる」なんていうのは全然逆。円が必ず人民元に先行して猛烈な上げを食らうことになったら、またぞろデフレの再来ですよ。とほほ。
今年初め頃に「ここ数年円もずいぶん高止まりしてきたし、これから数年は円安ドル高かなー」とか漠然と思っていたものだが、なんか大外れしそう。少なくとも中国がその経済成長で米国の神経をとがらせ続ける2007年までは、当て馬的に日本への海外資金の流入はますます増えそうな予感。TOPIX連動インデックス投信でも、買っとこうかしら。
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コメント
円高期待があれば外資の流入を促進してインフレとまでは行かなくてもアンチデフレに向かうのでは?株価が上がるというのもそういうことなわけで。
つうかバスケットの中身が非公開だし中国は掴んだ手綱を手離すほどナイーブでもなし。何かが分かる段階ではないのではないかと。
投稿: え | 2005/07/22 16:19
んー、株価が上がるというのは「企業業績向上+資金流入期待」によるもの以外の何者でもないわけで。株価がいくら上昇しても「インフレ」とは呼びませんから。
で、問題は企業業績の向上期待というのが、デフレ解消を予期した結果なのか?という点ですが、ここ数年で日本の上場企業のキャッシュポジションは相当に改善しましたし、対デフレ耐性がついていると思うので、むしろデフレ予期→(企業業績への打撃による)株価下落、というふうには市場は読まないんじゃないかと。
ただし、そのしわ寄せは思いっきり雇用や賃金に跳ね返ってきそうですけど。中国様の活性化で、リアル不景気+株価景気が激化するんではないか、というのが僕の読みです。
投稿: R30@管理人 | 2005/07/22 19:38
通貨バスケット制を採用している国のバスケット中身はほとんどドルではないかという推定されています。中国もこれに習うものと考えてよろしいのではないでしょうか。
仮に、各国との貿易高にあわせて様々な通貨をバランスよくバスケットの中に入れても、自国通貨の対ドル相場さえ操縦できれば十分だという考えもあります。
中国政府の政治的意図はともかく、為替と経済の安定を考えるならば、円への相場介入の必要性は薄いものと考えられます。
そんなことより、中途半端な為替相場制度による通貨危機の可能性のほうが大きいような...
投稿: 挫折した金融屋 | 2005/07/22 21:38
ユーロにシフトしますよっていう脅しが入っているんじゃないのかな
投稿: マルセル | 2005/07/22 22:59
>> R30
市場の資金が潤沢なのにデフレになるというシナリオは企業の「デフレ耐性」という資金バッファがそのギャップを吸収するという発想なのだと思うが不良債権でバッファが乾いていたならともかく、「キャッシュポジションが改善」した今、むやみに効率が下げてまで資金を退蔵する意味が理解できない。それは自らの手によるデフレスパイラルであって企業の望むところでもないと思うが。
投稿: ええ | 2005/07/22 23:10
通貨バスケットといいながら、原油やゴールドもバスケットにいれたりしませんかね。
ドルの目減り分を円で取り返す?という着目点は面白いです。それ今後の相場観に一部取り入れます。
中国にとって日本円ならば政治問題化して踏み倒しもできそうですものね。ドルやユーロだと逆に世界からはじき出されかねないけど、日本円なら強気でのれんに腕押しできそうですものね。日本の政治家も救援しそうですし。
しかし日本の大衆は舐められとりますなー。
投稿: トリル | 2005/07/23 17:50
揚げ足を取るつもりではないが・・・
強気でのれんに腕押し・・・
なかなか楽しげな状況だの
ある意味今の日韓関係を端的にあらわしているというかw
のれんに腕押しは手ごたえがない様子なので、押し切られる場合は使えないか?念のため。。。
投稿: くりすた | 2005/07/24 13:49
>のれんに腕押しは手ごたえがない様子なので、押し切られる場合は使えないか?念のため。。。
ロビー活動その他の事情で暖簾状態だが、国民感情としては非常に抵抗を感じるというのではだめでしょうか?(笑)
ただね、中国の立場で言えばグッドアイデアというかなかなか良い手だなーと感心してるんですよね。
それに通貨の世界で結局制度的段階的に国際協調を組み込んできたわけでしょう?あれ?日本語おかしいか?
ドルだけに固定で相対してるより中国にとっても世界にとってもリスク管理上絶対いいでしょう。
嗚呼、しかししわ寄せが来るのはイヤだなー。
投稿: トリル | 2005/07/26 05:24
>中国の貿易相手国として圧倒的に大きいのは米国と日本だから、
>ユーロが大幅高になったとしても貿易額で加重平均すればたかが知れている。
違くね?
投稿: ちょっと気になったんだが… | 2005/07/27 22:47
どういう情報をもらってるのか知らないけど俺はうんこじゃない。いきなり愛犬処分とか不自然だろ。
投稿: 雑草 | 2005/08/12 20:04