環境が無敵のポジショニング軸になる日
3つ前のエントリで自動車業界の話が出たので、クルマネタをもう1本。
今の国内自動車業界の話題と言えばとにかく8月のレクサス上陸でもちきりなわけだが、その中でもトヨタ以外の各社が一番衝撃を受けているのがこちらのブログで語られているような話。つまり、2006年にもレクサスで販売する全車種にハイブリッド・エンジンが搭載されるらしい、というものだ。
先日クルマ大好きな(お金持ちの)友人と話していたところ、「レクサスISにハイブリッドエンジンが載ったら、絶対に買う」と言い張っていた。彼はそれまでトヨタ車を1台も買ったことがない。かつては日産スカイライン、今はBMWの3シリーズという、典型的なスポーツカーマニアである。
こういう人は、かつてトヨタ車などには脇目もくれなかったタイプだ。その彼がなぜハイブリッドが載ったレクサスなら買うのか?理由を聞いてみると、「モーターの加速を味わってみたいから」と言う。
眞鍋かをりと一緒に退屈なエンジン講義を聴いた人なら分かると思うが、排ガス低減・省エネのためだとばかり思っていたハイブリッド・エンジンに、実は高トルク走行時のガソリンエンジンの動力効率の悪さを電気モーターでカバーするという、新しい使い方があることを示した。
もし前評判通り、レクサス車に搭載されるハイブリッドが従来のターボエンジンよりも加速性能が高いとなると、価格や居住性より「走り」の性能が求められる上位車種の競争のルールががらりと変わってしまう。ハイブリッド・エンジンを持たない他のメーカーにとっては、危機的な事態だ。
もっとも、このようなハイブリッド・エンジンの使い方自体は、トヨタのオリジナルではない。昨年12月に米国でホンダが発売した「アコード・ハイブリッド」は、通常のガソリンエンジンの横に電気モーターを積むことで、高トルク時の加速性能を従来車比で30%も高めた。
トヨタがこれにヒントを得た、と言ったらさすがに言い過ぎだろうが、このホンダのマーケティングが米国で大きく当たったことから、「『ハイブリッド=ターボ以上の加速性能』という構図を作れば上位車種で勝てる」という自信をトヨタに持たせたことは、ほぼ間違いないだろう。「環境対策」がマイナスをゼロに戻す陰の努力ではなく、他社の追随できない圧倒的な競争優位性の源泉になる時代が来たのだ。
…といったようなことを、電車の中でぼーっと思い出していたら、トヨタ以外にも環境対応を競争優位性にしようとしている企業を発見。「ペコロジー」ってなんか意味不明なんだけど妙に頭に残るフレーズ。ブランドとしてまず面白い。少なくとも「クールビズ」よりは少しクールだ。「これからのお茶は潰しやすくなくっちゃね」というコピーがどうにもイケてないのが残念だが。
「んなぺらぺらの薄いペットボトルなんて、やろうと思えば誰だってマネできるっしょ?」とか思いがちだが、そんなに簡単なもんでもないようだ。ペットボトルそのものはぺらぺらに作ることができても、それにうまく飲料を充填する生産ラインが難しいらしい。つまりうまくブランドとして浸透させられれば、他の飲料メーカーに3~4年(ボトリングラインの刷新にはそれぐらいの時間がかかる)のアドバンテージをつけられるってこと。うまくいくといいですね。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
「環境」というより「石油高騰」がキー。
投稿: Cyberbob:-) | 2005/07/17 05:41
原油はいつまでも高止まりなんすかね?
そう言った話ではなくて、単に消費者が自分にも簡単にできてかっこいいできるなら面倒くさくない環境貢献を求めているように思いますが。自分のことですが。
高速道路を疾駆中、プリウスに抜かれました。当方ハチロク。
投稿: 挙母 | 2005/07/17 07:04
ホンダが次期インサイトでタイプR出すらしい、という記事がクルマ雑誌に載っとりました。
本当ならかなり欲しいです。
投稿: 通りすがり | 2005/07/17 23:43
レクサスISって、アルテッツァですよね。アルテッツァをスポーツカーと呼ぶのは、私としては抵抗があります。
ポイントは、スポーツカーマニアにとって、単なる加速性能だけで満足できるのか、モーターの音・振動を感じての加速が必要なのか、ということですね。
ホンダ・スーパースポーツカーNSXが今年末に生産中止となりますが、次期NSXにハイブリッドタイプが追加されるのかどうか、もし追加されたとして現NSXオーナーがハイブリッドタイプに満足するのかどうか、注目してます。
投稿: 平手 緑 | 2005/07/18 00:50
すまん。訂正。
誤「モーターの音・振動を感じての加速」
正「エンジンの音・振動を感じての加速」
投稿: 平手 緑 | 2005/07/18 00:54
リンクしていただきありがとうございます。こちらからもトラックバックさせていただきました。今後ともよろしくお願いいたします。
投稿: 悠々自適 | 2005/07/18 09:51
ペコペコのペットボトルというと、飲料ではなくて洗剤の詰め替え用でそういう感じのに入ってるのが出て来てますね。飲料と違って使いかけ状態で持ち歩くことがあまりないので強度が要らない、というのがポイントで、飲料の場合よりはハードルが低いということで。
あと、ハリアーハイブリッドを試乗した人から聞いたところでは、低速からの加速ではインバーター音が楽しめるそうです。
投稿: 崎山伸夫 | 2005/07/18 12:01