オリンパスはどこでどう道を間違えたか
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【業務連絡】オープンハウスやります

2005/06/10

テレビは電気屋でなくレンズ屋のものになるかもしれない

 昨日はデジカメ絡みで暗ーい話を書いてしまったので、ちょっと明るい話でもしようかな。デジカメでいつの間にかソニーを抜いてトップシェアの見込みと思ったら、それでも飽き足らないもようの万年最高益企業、キヤノンのお話。

 薄型テレビ心臓部、キヤノン自社開発へ(asahi.com)

 え?キヤノンってリアプロもやるつもりだったの?テレビは東芝とSEDでやるんじゃなかったのかよ??と思ってぐぐってみたら、ありましたよ。今年の1月に「リアプロもやる」って発表してた(TechOn!(要登録))のね。年末かあ。エプソンもいよいよ本気価格で売り始めたし、来年はリアプロの市場が一気に広がりそうな気配。

 リアプロについては、これまで日本市場では売れないとされてきた。僕自身も数年前、カリフォルニアの高級家電専門店を視察に行ったとき、売れ筋の主力は巨大な家具とセットになった100インチのリアプロジェクションテレビと聞いて、「日本の狭い住宅でこんなテレビが売れるかい、バカモノ」とか思ったものだった。

 でも最近ファミリー向けの新築マンションとかの間取りを見ると、リビングとダイニング・キッチンを合わせて20畳とかの大空間が当たり前になってる。今回自分もリビングの広い家に引っ越してみて、これだけリビングが広いとテレビ画面も37インチ以上、できれば50インチぐらいはないと見た気がしないのだということに気がついた。つまり、日本でもリアプロクラスの巨大画面テレビのニーズはそれなりにあるということだ。

 問題は価格である。個人的には、液晶やプラズマというのは、大画面テレビでブラウン管に代わるほどの技術だろうかという疑問がずっと前からあった。液晶というのはぶっちゃけ巨大な「半導体集積回路」であって、1つの集積回路の大きさが30cm四方というだけでも驚きなのに、1mや2mの大きさの回路を1枚の集積回路で作ろうなど、無茶だと思った。もちろん、技術的にやってできないことはないんだけれど、無茶なことをしようとすれば当然ながら雪だるま式にコストがかさむ。プラズマについて言えば、電力食い過ぎ、熱出過ぎ。あれも「無茶」な技術の一種だと思っていた。

 でっかい映像を表示したければ、一番理にかなっているのは「映画」だ。つまり小さな基板の上に映像を再現して、それを何らかの仕組みでレンズや鏡を通し、スクリーンに投影する。投影する光量、そして基板とスクリーン画面の距離を調整するだけで、映像は100インチでも200インチでも大きくできる。画面の大きさとコストに幾何級数的な相関関係はなくなる。つまりリアプロジェクションテレビが、一番コスト上は合理的だ。

 エプソンが発売した1インチ1万円を切るリアプロジェクションテレビは、今のところ厚さが40cmちょっととプラズマや液晶に比べてまだ劣るが、最近は鏡やレンズの工夫で理論上20cmの厚さのリアプロも作れるそうなので、来年以降三菱電機やキヤノンなどが参入して製品の改良に血道を上げれば、設置スペースの面で液晶やプラズマとの差がなくなるのも時間の問題だろう。

 さて、日本でも大画面テレビの主役にリアプロが躍り出た場合、勝ち負けを決めるカギとなる要素は何だろうか。

 キーデバイスはいくつかある。1つは映像を再現する小さな基板「マイクロ・ディスプレー(MD)」と呼ばれるものだ。これには大きく3種類あって、後ろから光を当てて透過させる「HTPS(高温ポリシリコン液晶)」がエプソンとソニー、集積回路上に小さな鏡をたくさん並べて動かす「DLP(デジタル・ライト・プロセッサ)」がシャープと三菱電機、偏光フィルターの原理を使って光を反射させる「LCOS(反射型液晶パネル)」がキヤノンとビクターというグルーピングである。

 HTPSはエプソンが既に外販も含めて大量に作っているし、DLPは米テキサス・インスツルメンツが外販している。いずれにせよ、デジカメのCCDのように、この供給確保がカギとなるような希少なパーツではない。

 一方、投影する透過型スクリーンの方も、大日本印刷や凸版印刷などの複数メーカーが既に大量に市場に供給しているものなので、問題ではない。彼らは自分でリアプロを作るようなマネはしないだろうし、スクリーンを改良すればすぐに全メーカーに行き渡るだろう。

 では、どこに技術的な優位を発揮できるか。たぶんそれは、MDとスクリーンの間にあるもの、つまりレンズと鏡の設計だろう。いかにMDとスクリーンの間隔を詰めながら(=薄くしながら)、歪みや色収差のない、明るくてきれいな映像を投影するか、そのあたりがリアプロテレビメーカーの技術のカギだろう。

 この手の高度な光学技術は、やはり日本とドイツにしか存在しない。その意味で、今後はMDの映像コントローラーから光学系の設計技術までを囲い込むのに成功したメーカーがリアプロテレビ市場で勝ちそうな気がする。今の顔ぶれを見た限りでは、やはり総合力でキヤノンがその最右翼だろう。

 ただ、日本の他の精密機器メーカーが、キヤノンに対抗できるレベルの映像コントローラーや光学系の設計技術まで含めた「リアプロテレビ用トータルソリューション」を外販し始めたら、また競争のルールは変わるかもしれない。映像コントローラーとレンズ技術を抱えるオリンパスさん、チャンスですよ!(笑)

03:10 午後 ビジネス

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キヤノン トラックバック 日本企業専門館 @2005/07/07 18:53:55
キヤノンキヤノン株式会社(Canon Inc.)は、カメラ、プリンタ、複写機を始とする事務機器、デジタルマルチメディア機器などを製造する日本を代表する精密機器メーカーである。芙蓉グループ。東証一部上場企業であり、外国法人等の持株比率が50%超である。Wikipediaより引用...... 続きを読む

リアプロテレビ リアプロジェクションテレビ@インテリア本舗:通販 トラックバック インテリア本舗 @2005/10/23 1:51:26
リアプロテレビ(リアプロジェクションテレビ)は液晶テレビ、プラズマテレビよりお得な第三の薄型テレビです。 続きを読む

Comments

高温ポリシリコン液晶を使ったリアプロしかしらないんだけど
光源も重要な要素だと思うな
あとは、3板のアライメント製造装置か

POSTED_BY:NW @2005/06/10 23:26:35

リアプロと液晶、プラズマを穴が開くほど見比べたところ…
リアプロは、目線によって暗く見える部分がありました。
高い位置から見れば、画面の上部は鮮明だけど下部は暗い。
反対に、寝そべって見る目線では、画面の下部は鮮明だけど上部が暗い。
真正面から見ると、中央は鮮明だが四隅はやや暗い。視野角以前の問題です。
几帳面な日本人には耐えられないですね。
2010年には液晶もプラズマもインチ5千円になるそうで、
リアプロはニッチな需要にとどまると思います。
(少なくとも我が国では)

POSTED_BY:smart @2005/06/11 1:23:16

ソニーは反射型液晶パネル組(SXRD)ではないでしょうか?

>smart さん
最近のリアプロでは、無理に近づきすぎたりしなければ十分な視野角があると思いますよ。
知り合いの家で見た感じでは複数人での干渉でも問題なしでした。
というわけで、PDP・液晶・SEDの値下げが進まなければ十分にシェアとりそうな気がします。

POSTED_BY:かむ @2005/06/11 3:54:29

キヤノンって好調な理由が未だにわからないんですが、それはさておき。
エプソンのハイビジョンリアプロを見ましたが、発色も動きも悪いように感じました。
現時点では出来の悪い液晶テレビという印象があります。
売れないと良くならないけど、日本では高くて良いものが売れそうだし、売れている普通の液晶がますます良くなるのでニッチにとどまるのではないでしょうか。
ええ、狭い家に住んでいる者のひがみですよ。

POSTED_BY:maki @2005/06/12 2:15:29

ふつうのプレゼン用の液晶プロジェクターじゃあかんのか?あれなら壁一面に映写できるじゃん。
あれの光量を上げる方向に技術を注ぐ方がいくない?

POSTED_BY: @2005/06/21 16:41:49

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