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2005/03/17

ビバ!ホワイトデー(鬼嫁日記風)

 一昨日はホワイトデーだった。1ヶ月前の同じ日に比べると、世の中の大騒動(中止宣言発表、切込隊長荒れるetc.)などの度合いは全然静かな記念日である。この日本という資本主義社会がいかに今もって男性中心の価値観で回っているかが、これほど分かるイベントもない。

 ところが、ここに世の中と正反対な集団がある。R30の勤務先の会社である。うちの会社は社員のちょうど半分を女性が占める。しかも(お局様とかそういう意味ではなく)枢要なポジションを占めている人が多い。

 するとどういうことが起こるかというと、男性陣の女性に対する気の使い方といったら、もう大変なレベルである。

 ホワイトデーの前の週末に入る前、僕の上司(男性)から、僕を含めた数人の男性社員にメールが届いていた。「3月14日はホワイトデーです。女性の方々にバレンタインのお返しをしないといけないので、皆さんで相談して1人500~1000円相当のものを月曜日に人数分買ってきてください」

 入社2ヶ月しか経ってない僕は、そのメールを見てのけぞった。バレンタインデーに女性陣から配られたチョコレートというのは、おやゆびの先ほどの大きさの箱に入った、2センチ四方ぐらいの小さなトリュフチョコ2つだった。うちのカミサンの値踏みでは、「どう見ても200円はかかってない代物」である。

 そのお返しが500~1000円なのか。倍返しどころの騒ぎではない。必殺MAX5倍返しである。しかもホワイトデーの主役は、チョコレートに比べて体積当たり単価の安いクッキーである。ディズニーショップで売っている高さ10cm以上の円筒形のクッキー缶でさえ、800円ほどである。

小指の先ほどのチョコのお返しに1人1つの缶入りクッキーかよ。藁しべ長者も腰を抜かすぞ。

 一瞬上司の真意を疑ったが、まさかここで返信メールで「ボスはそんなに職場の女性が恐いんですか」とか、いちいち確かめるわけにもいかない。しかも徹底した年次主義のマスコミ文化で育った僕にとっては、上司の命令は常に絶対である。メールの宛先になった人のうち、一番入社が新しいのは僕である。とすれば、まずは黙って買いに行くしかない。

 さっそく日曜日の午前中に近くのショッピングモールに行き、こじゃれた雑貨店に行くと、白い小さなセラミックボールに入ったカワイイくまの顔の小さなクッキーが並んでいる。しかも476円。見た目よりは安い、ビミョーな金額だ。

 「お、これ良さそう♪」

 と思った僕は、ケータイで写メを上司に送った。他の先輩方から「買っときます」連絡も入ってなかったので、これで十分だろうと思い、そのまま月曜日に出社した。

 すると、月曜日に上司からメールをもらった先輩のうち、僕以外にも2人がプレゼントを買ってきていた。しかも先輩たちのは、僕の買ったのよりもさらに体積がでかい。メールの指示通り、数百円台後半ぐらいのクッキーを買ってきたらしい。

 僕「なんだ、重複してたんですか・・・(´Д`;)」

 メールを出した上司も来ていて、ばつが悪そうに頭をかいて立っている。

 上司「いやー、分散して頼んでおけば買い忘れるっていうリスクが最小化できると思ったんだよ」
 

・・・上司、そんなところまでリスクマネジメント能力発揮しなくても。

 先輩「しょうがない、全部詰め合わせて配ろう」

 そう言うと、先輩が首尾良く持ってきていた大きめの手提げ袋にみんなのもってきたクッキーを1つずつ詰め始めた。僕も手伝う。1つ1つもきれいに包装されているのをさらに包むので、

 先輩「まるで福袋かクリスマスプレゼントみたいだなあ・・・・(´ロ`;)」

 僕の脳裏にフラッシュバックする、2月に女性陣からもらった親指の先ほどのチョコ。

あのチョコのためになぜここまでやらないかんのか(。´Д⊂)うぅ・・・

 その後、3月のサンタクロースよろしく、先輩とともに大量の袋を抱えて、職場中の女性の席を1人1人まわって「2月の折はありがとうございました」と言って頭を下げながら配って回る。ここまで腰の低いホワイトデーは、生まれて初めてだ。_| ̄|○

 普通の会社の女性社員なら、ホワイトデーに男性にここまでされたら甘エビでカツオを釣ったかのように狂喜乱舞するだろうと思う。だが、うちの会社は違う。一応「わーありがとー」と棒読みの返事を返しつつ、誰もが袋の中の品物チェックに余念がない。

 そのうち1人が、僕の買ってきたセラミックボール入りのクッキーを見つけて、こう言った。

 「このクッキー、なんかかわいくない?こんな商品、××(部署名)の男性陣が見つけてこられるわけがない!(゚Д゚)クワッ」

 「奥さんの手を借りた人がいるわね!誰?」

 皆さん、そこまで言うか(汗)・・・うちの部署の男は本当はみんな心優しいんですよ、卑屈なまでに・・・(;´Д`)ノ

 僕「あ、それ、僕が買ってきたんスけど・・・(;´Д`)」

 女性陣「R30さんだったのね!奥さんが選んだんでしょ!(゚Д゚)」

 僕「いや・・・そ、その、僕が自分で・・・(´ロ`;)」

 女性陣「えーっ、ウッソー!!R30さんってこんなの選ぶ人なの?!信じらんな~い!」
 

サンタクロースがここまで言われたら、来年は代わりにブラックサンタを差し向けようとか思うに違いない('A`)

 その日家に帰ると、カミサンが家でいくつものクッキーの箱に埋もれていた。「会社でいろんな人からお返しをもらった」らしい。そう言えば管理職なカミサンは、2月には部下や上司(社長)に必死に気を使って、チョコを配りまくってたからなあ。会社用のチョコだけで5000円以上散財してたんじゃないだろうか。彼女の場合はお返しがあって当然だ。

 そのカミサンから嬉しい言葉が。「私こんなにクッキー食べきれないから、食べていいわよ。あげる」

 僕「ホント?(゚∀゚;≡゚∀゚;)じゃあ、明日1箱会社に持っていってみんなで食べてもいいかな?」

 カミサン「ええ、どうぞ」

 やった。これでおやつのエサのたしになる。翌日、僕はクッキーを1箱、会社に持っていって、誰でもつまめるようにミーティング用の机の上に並べた。

 すると、めざとくそれを見つけた人が取り調べモードに。

 女性「R30さん、それ何?」

 僕「クッキー」

 女性「そんなこと、分かってるわよ!(゚Д゚) 誰のクッキーかって聞いてるのよ!」

 僕「僕が持ってきたんだけど・・・いや、みんなで食べてもらえればと」

 女性「じゃなくて、昨日のホワイトデーのでしょ?誰がもらったもんなの?」

 僕「あ、うちのカミサンがもらったもので・・・食べきれないって言うから('A`)」

 女性「ああ、やっぱりR30さんの奥さんだったのね!じゃあ『R30の奥様からの差し入れです』って、ポストイットに貼っておくわ!(*´∀`)」
 

何が何でもR30の細やかな気遣いの賜物とは認めたくないようだ・・・(´ロ`;)ぬぁぁぁ

 3月14日は、心の底から企業カルチャーの差というものを実感した日でした。

(ちなみにこの話はいかなる現実の個人・団体・組織とも関係ありません。(´ロ`;)実録鬼嫁日記の文体のマネって、難しいねえ・・・orz)

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コメント

R30さん、ありがとうございます。
ホワイトデー、すっかり忘れてまして。今、そんなのがあったなと思い出しました。
 
 
 
!・・・・・・・・ 
 
 

ヤヴァイよ (((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

投稿: greenlight | 2005/03/17 05:14

不覚にも笑ってしまいました。つーか昼休みの事務所でニヤニヤしながらこれを読んでる俺の表情はさぞ面白かろう、というところで。

うちは女子社員のほうが男性より多いので、ホワイトデーの負担額は大変でございます。手出しは数倍返しなのに結果的には2倍額ぐらい?なのであまり感謝の念は帰ってきません、ううう。

投稿: mgkiller | 2005/03/17 12:11

R30さん、はじめまして。

>1ヶ月前の同じ日に比べると、世の中の大騒動(中止宣言発表、切込隊長荒れるetc.)などの度合いは全然静かな記念日である。
>この日本という資本主義社会がいかに今もって男性中心の価値観で回っているかが、これほど分かるイベントもない。
ホワイトデーはバレンタインデーの「お返し」ですから、バレンタインデーというイベント自体に全く関係の無かった人間は自動的に排除されているはずで、
それが世間の反応の温度差にもつながっているのでは?
あと、女性はともかく、男性の場合は義理でもクラスメートや会社の同僚に
無差別に恋愛的な関係を想起させうるプレゼントを配った場合、逆にドン引きされる可能性があると言う事も関係しているのでは。

以上、この世に生を受けてからただの一度もこのイベントに積極的に参加できる権利を有したことの無い人間の意見でした。
・・・・・・昔は手作りチョコを貰ったこともあったんだけどな。妹から('A`)

投稿: うぼし | 2005/03/17 14:00

365日すべて、バレンタインデー、ホワイトデーにして、
その好きな一日でも数日でも、活用すればいいのであって、
バーゲンセールみたいな、愛の安売りは廃止すべし!

まだ、売れ残った、バレンタインデーのチョコが半額だというのを、
スーパーに陳列してあって、この無駄で非効率な経済活動に義憤を感じるぞ。
だいたい、うん倍返しなんていうのは、性差別の温床であり、
いずれ、子供たちにも伝染して、悪影響が…

ま、どうでもいいことだけど、
一番気になるのは、切込隊長は、ホワイトデーするのかなぁ?

投稿: 野猫 | 2005/03/17 14:18

>おやゆびの先ほどの大きさの箱に入った、2センチ四方ぐらいの小さなトリュフチョコ2つだった。

トリュフチョコって1個で300円くらいはします。

有名チョコ店だと一個で500円以上シマス。

値踏みあってます?

投稿: ねぽ | 2005/03/17 15:01

ただの儀礼的慣習というところまで形骸化すれば、中元歳暮と同じで廃止もうたえるのでしょうが、恋や愛と絡められてはね。日本の悪しき「公平、平等」原則の発動ですよ。うまく仕組んだものです。>うぼしさん、野猫さん

トリュフっていうか、あのココアパウダーがかかってるタイプの生チョコだったかも。あれってトリュフじゃないんですかね?それほど感動的においしいわけでもなかった覚えが。>ねぽさん

投稿: R30@管理人 | 2005/03/17 15:47

お値段3倍の練炭返却で吉

投稿: うんこ | 2005/03/17 18:23

いやぁ、リーサラじゃないから義理チョコも無い今年でした。あはは。
よってお返しも無し。
でも、今度の声優さんの誕生日には6000円ほどのワインをプレゼント。

ホント、義理ってヤですね。村八分になっても別にいいや(実際前の会社では村八分)。

投稿: きんげいと | 2005/03/17 19:16

ふーん。
フェミニンですなあ。たいへんですなあ。
まあ気を緩めるとオナゴはこわいかもね。わらい。

投稿: ワシ | 2005/03/17 19:57

隊長は、どうも貰うだけかもしれない。
男ドモがみんな隊長を見習えば、義理チョコはなくなるよ。
解決は簡単。あはは。
そこが、R30さんと隊長との違いかも。

投稿: 野猫 | 2005/03/17 20:53

僕が、これまでいた部署は、男1女9
頑張っても、最大男2の部署(アパレル)
これは毎年拷問でしたよ
商品知識も半端ではないので、毎年(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル・・・休みたくなりました〜

今は、フリーランス気楽な『優しい時間』を過ごしておりますw

投稿: KOKE | 2005/03/17 23:24

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