もし堤義明氏がホリエモンに家督を譲っていたら
今朝のニュース番組はどこのチャンネルもみんな西武王国特集だった。検察が引導を渡してくれたのでやっと大手を振ってこれまでの恩人をこき下ろせます、といった風情。醜悪なことこの上ない。
「ピストル堤」こと堤康次郎氏に始まる華麗なる土地買収の100年史はさておき、ちょっと考えてみたいのは禁断の歴史の「イフ」である。つまり、もし堤義明氏率いる西武王国が未だ健全なりとすれば、どのような姿になっていたか、ということだ。
ダイエー中内にしても西武堤にしても、結局のところ戦後経済成長のエンジンだった土地資本主義にうまくのっかったものである。「のっかっただけ」とは決して言いたくない。だってそれをうまく利用してあれだけの企業グループを作り上げたのはまぎれもなく彼らの力量なのだし、同じことを試みて失敗して闇に消えた人たちは無数にいるのだからね。
ただ、世の中的には(そして西武グループ的にも)95年を境目にして、日本土地資本主義は終焉し、代わりに孫正義とかほりえもんとかが暴れまくる株式資本主義が到来したわけだ。いろいろと批判や問題もあろうが、流れとしては明らかにこちらの方向である。
西武グループも、調べてみると資産や利益などがピークを迎えたのが94年で、それ以降はずっと落ち目である。で、ここにきてようやく証券法違反しても何しても、誰もコクドの大赤字を支えられないということが分かってしまい、明るみに出たというだけの話だ。
じゃあ、そこに至るまでにもし堤氏がレジーム・チェンジを行い、土地資本主義から株式資本主義への転向を表明していたとしたらどうなっただろうか。
何を滑稽な話を、と思われるかもしれない。ま、そうだろうね実際のところ。幼少の頃株の売買で一山当てた経験もあった父康次郎氏と違い、義明氏は早稲田大の観光学会で仲間を集めてる時から、土地以外の価値を知らなかったに違いない。「西武鉄道が何で上場しているのか、よく分からない」という例の名言も、彼のそういう生い立ちに依っている。
でも、彼自身が転向しなくても、跡継ぎにそれをやらせることだってできたのではないか。
義明氏には二人ほど子供がいるようだが、これまで彼らの名前どころか、存在さえ聞いたことがなかった。ということは、両方とも父親とは比べようもないぼんくらか、それともあえて表に出たがらない平々凡々なタイプの人だったのだろうか。30歳を超えたグループ総帥の御曹司ともあれば、親の方が気を使って小さな事業を任せたり、財界やらにちょこちょこと顔を出させるものだと思うから。
それに、跡継ぎは嫡子でなくても良い。もしレジームチェンジをするつもりがあったのなら、外部から頭の良さそうな奴、それこそ例えばホリエモンみたいな奴を外から引っ張ってきてとっとと社長にでも据えてやれば良かったのかな。なんかそれもすっごい無理がありそうな気もするが(笑)。
ま、今さら何を言っても「あり得ない」って言われて終わる話だけれどね。でも本当に100年200年続いている企業グループ(関西の酒造メーカーとか)でも土地がその基盤になっているところは少なくないわけだし、超長期で見て土地資本主義が間違っていると決めつけるわけにもいかないでしょう。
とすると、やっぱりあまりにワンマンで君臨しすぎて、事業の存続性と後継者育成とを怠った義明氏が、やっぱりそれまでの人だったのねという話で終わってしまうのかな。せめて長野五輪までずるずる引っ張らなければ、もう少し良い方向に向かっていたとも思うのだが。何よりも堅実と旨としてきた不動産屋がある日突然オリンピックという虚構のイベント業に手を染めちゃったのがそもそも間違いだったということか。
カリスマで知られた経営者だけに、そういう結論で流されて世の中から消えるというのも寂しいですね。堤氏には、ぜひ自らが信じてきた土地資本主義の来し方行く末をまとめた回想録を書いてほしいと思います。
(3/4 9:20追記) 信州のコーヒー屋さんからのTB読んで、衝撃を受けた。未だかつてこれほど見事に堤義明を切ってみせた人物評があっただろうか。素晴らしい。タダのブログでここまでのクオリティの記事が読めることに改めて乾杯。今年のアルファブログエントリ候補、再び登場です。
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堤義明(前)会長 トラックバック ローマ帝国すぽーつ120円 @2005/03/03 14:31:32
昨日は忘れてたわけじゃないですよ。ただ信長の野望をやってて気がついたら時間切れだ... 続きを読む
コクド堤前会長、逮捕へ トラックバック 微熱日記 @2005/03/03 14:46:58
東京地検特捜部は、ついに、コクド前会長の堤義明氏を証券取引法違反
容疑で逮捕しました。
西武鉄道を上場廃止に追い込んだこの問題は、ついに刑事事件に発展
... 続きを読む
カリスマ経営者も因果なものだ トラックバック 聞いた、見た、読んだ。 @2005/03/03 19:17:07
コクドの堤前会長が証券取引法違反の容疑で逮捕された。
堤前会長が逮捕されたことで、マスコミ的には堤王国は崩壊したということにされている。でもこれで西武鉄道... 続きを読む
「ほりえもん≒キムタク」論を超えて トラックバック 玄倉川の岸辺 @2005/03/03 20:02:45
これまで「玄倉川の岸辺」では “ほりえもんの「六本木ラブストーリー」主演キムタク”“「ほりえもん=ヒーロー」ならばヒロインは? ”という2回のエントリで「ほりえ... 続きを読む
あの方のこと トラックバック マーケティング千日回峰行之記 @2005/03/03 22:00:56
さっき事務所の上を、ヘリが何機も飛んでいましたが、あれはやはりあの方が逮捕されたからなのでしょうか? 本社は、同じ区内ですしね。
最近は、ようやくあの方の... 続きを読む
時流は乗り続けるもの トラックバック のんびりエッセイ @2005/03/03 22:27:46
つい先日までライブドアの堀江社長を叩いていたかと思うと、一転して今度は西武の堤家叩きに奔走と、マスコミの心変わりには相変わらず感心させられる。まあマスコミの変わ... 続きを読む
英雄の落日 -幽幻の世- トラックバック ロリコンファル @2005/03/04 0:12:38
>> 「我々は苦しむこと以上に恐れるのである」 (アラン「幸福論」) 「変わってしまった、世界は大いに変わってしまった!」 と愕然と呟きなが... 続きを読む
これは堤康次郎の挫折だと思う。 トラックバック Espresso Diary @2005/03/04 0:13:10
入社したばかりの里谷多英に与えられた仕事は、新聞の切り抜き作業だったとか。フジテレビに関する全ての記事を切り抜いておくよう命じられ、最初に見つけたのが社員の不祥... 続きを読む
三月の雪の東京で、堤義明逮捕と日本の山里の未来を考える トラックバック MWC_COACH blog 〜山や歩き旅のニュースなど〜 @2005/03/04 20:15:52
昨日、堤義明元コクド会長が逮捕された。西武グループの総帥、西武王国の独裁者などとも言われたカリスマ経営者だったらしい(「らしい」と書くのは、恥ずかしながらこれ... 続きを読む
ホリエモンはピストル堤の再来だ。間違いない! トラックバック rave pool @2005/03/07 21:47:48
堤義明―今となっては「堕ちたカリスマ」と呼ばれていますが、決して無能な経営者ではありませんでした。
父である「ピストル堤」こと堤康次郎氏の経営手法を見事なまで... 続きを読む
■市場の倫理・統治の倫理/ジェイコブス トラックバック 汝、沈黙するなかれ、北の大地より。 @2005/03/10 19:45:20
コクドの堤会長の逮捕劇、それに連なる「お前らわかってて報道しなかったのだろう」 続きを読む


10:23 午前





Comments
TB送らせていただきました。
ほりえもん=織田信長 という論がありますが、堤=斎藤道三 として首を取られる前にほりえもん宛に「国譲り状」を書けば面白いかも知れません。
R30さん、一行目が西"部"になってまっせ〜
今、気がついて直しました!どうもありがとうです。><
>それに、跡継ぎは嫡子でなくても良い。
それは康次郎の遺言でダメ
族譜を守らなきゃ
http://www.uwasanoshiokinin.com/seibu3.html