三角合併、一時凍結…そして霞ヶ関の深謀
とりあえず、速報。自民党が今頃になって法改正の意味に気がつき、恐れをなしたらしい。
外国株式対価の合併、1年凍結・会社法案で自民部会(NIKKEI.NET)
ライブドアのせいでやっと気がついたとは言え、遅すぎんだよおまいらは。(19:20追記)しかし、これってよく考えたら霞ヶ関の壮大な「釣り」のような気がしてきた。R30は、ここで経産省の陰謀説をぶち挙げてみる。
ライブドアによる新株予約権発行差し止め請求が認められたのは、驚くことでも何でもない。こちらは予定通り。つまり裁判所と法務省、経産省は当然ながらちゃんと連携しているということだね。ということは、欽ちゃんもということか。おっと。こちらの話には口を出さないんだった。あうあう。
三角合併はこちらのブログなどが書いているように、関係者にとっては「何を今さら」という類の話なんだけど、やっぱりライブドアミサイルは威力があったね。自民党の部会で延期されてしまった。
ちょうど昨日夜(つまり今日の朝)のタイミングで米国からこれに対して規制改革協議の席上でいちゃもんが。とは言え、凍結の話の方が会議より後だったのだろうから、いちゃもんをつけさせてガス抜きした上での部会決定・発表、と計算ずくだったのだろうな。これは、まあしょうがない。だって、ポイズン・ピル法制ができただけでは、あらゆる上場企業が対応策を導入するかどうか判断するのに間に合わない可能性があるわけだからね。
…と、考えてみると、このタイミングとライブドア騒動の勃発、なんか出来過ぎているような気がするわけだよね。こちらのブログの読みというのは、ある意味すごく陰謀論的ではあるけれども、意外に当たってるような気がする。つまり、フジテレビという今回のターゲットは、「一番目立つ、だから政治家も世の中も三角合併の危険に気がついて大騒ぎになって意識高まる、そして結果的には買収失敗、あるいは最悪でもドローになって実害は及ばない」という条件で選ばれたんじゃないかと。ホリエモンはただの当て馬だったとか。うーん。
この仮説、あまりにも大胆すぎてちょっとビビってしまうのだが、これとそっくりな事件というのが、日本ではしょっちゅう(4~5年に1回ぐらい)起こっているんだよね、これまでも。
僕が鮮明に覚えているのは、93年に細川内閣が押し通した米のミニマムアクセス輸入の事件である。あの年は、夏頃から米の作況指数が記録的な凶作になると言われ、小売店の店頭から米が消えて大騒ぎになった。そのおかげで輸入絶対反対を叫んで聞かない農協は世論に押し切られてミニマムアクセスを認め、タイ米とカリフォルニア米を数十万トン輸入することになった。
余談だが、あの時僕は心底憤った。ミニマムアクセスで輸入されたカリフォルニア米は国内産の米に負けず劣らずおいしい米だったらしいが、タイ米はカリフォルニア米の「さしみのつま」役として輸入されただけだった。当時、タイ政府に知り合いのいる人が「タイは日本に最高級の香り米(それでも日本の米の3分の1以下の価格)を輸出したがっていたが、買い付けに来た日本の商社から『日本人はタイ米の香りを好まない。香りのついていない、家畜の飼料に近いランクの米を買いたい』と言われ、その結果日本市場でまずい米と酷評された。日本の商社のおかげでタイ米のブランドに傷が付いた」と怒っていたのだった。
その後、ミニマムアクセスは99年に関税方式に変更され、日本国内でもコストコなど外資系の小売店舗に行けば最高級の香り米が入手できるようになったのだが、今でも「タイ米はまずい」と思っている日本人はきっとものすごく多いに違いない。つまり、あの騒動は米国産の米を少量でも良いから「輸入した」という実績を作るために行われたもので、それ以上でもそれ以下でもなかったのだ。
それに気がついたのは、あの後、2ちゃんねるだったかどこかで、当時の不作は「農水省のでっち上げたデータだった」とする追跡取材記事を見たからだ。その記事には、7~8月時点で農水省が発表した作況指数(確か80台)は、特に猛暑の影響がひどい地域のものを恣意的に選んで出したもので、その後9月に入って全国平均は90台半ば(ほぼ平年値)まで回復したのにもかかわらず、数字を訂正せずにマスコミを動員して「凶作」を宣伝させ、ミニマムアクセスの輸入権をちらつかせながら商社に市場に流通する米の買い占めを指示し、世論の危機感を煽りに煽って輸入解禁に持ち込んだ、という話が書いてあった。
とりあえず、今検索した限りではウェブ上にはこのあたりしか見つけられなかったが。というか、あれってまさにこの萬晩報の伴武澄さんの記事だったかも。
何やら、今回の会社法改正関連のスケジュールとライブドア騒動の成り行きが、妙にあの時に似ていると思うのは僕だけか。こちらは逆に、国内企業に日米投資イニシアチブの約束事の危険性を気づかせて、6月の株主総会で買収防衛策を導入させるためという点で少し状況が異なるが。
まあ、それが陰謀だったにせよ何にせよ、個人的にはとりあえず対策とっとかないとやばそうな国内企業がポイズン・ピルを導入するまでの時間が稼げたという意味では、本当に良かったんじゃないかと思う。
これが「ライブドアがフジテレビ」なんてお笑いネタじゃなくて、「エクソン・モービルが新日本石油+コスモ石油+出光興産の国内勢まとめていただき」とか、「GEが三菱重工と石川島播磨など防衛庁下請けを全部お買いあげ」とかなったら、マジで洒落になんねえよ。リベラルブロガーなんで国体とか国防とか言いたくないけど(笑)、そのへんが全部終わるでしょう、これって。ヨーカ堂がウォルマートに買収されたりとか、花王がP&Gに買収されたりとか、そういうレベルの話じゃなくなるわな。
というわけで、まあ何が何だか分からないけれど、この読み筋から行くと「日本経済のために当て馬を自ら買って出たホリエモンは尊い、皆の衆は骨を拾って丁重にお祀り奉るように」っていう結論になりそうな気がしますな。霞ヶ関マジック恐るべし。真実は永久に闇の中ですが。
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コメント
格好悪いけど、いいんじゃないでしょうか。1年間の凍結。
ニッポン放送の件で、新法案の意味が広まったでしょうし。。
投稿: ひろ | 2005/03/11 17:46
すごいですね(^^;
こんな風に簡単に陰謀論を読めるようになると、黒幕も減るかも??
投稿: ひろ | 2005/03/11 19:59
そんなことはいいから助けてくれ
投稿: 切込隊長 | 2005/03/11 22:23
イカダの人、乙
投稿: 名無しクマー | 2005/03/11 22:40
郵貯が米国に流れてその資金で
日本企業を買いに来るという訳ですか。
金は天下の回りモノとはよく言ったもので。
投稿: 純一 | 2005/03/12 02:08
うちは米生産農家ですが、あの年も別段特筆するべくもなしで、普通に取れました。まわりも。
兼業農家のおっさんが、社員食堂のタイ米のまずさにぶちぎれてじぶんちの米を持ち込んでいました。それくらい普通の年でした。
投稿: ごはん | 2005/03/12 18:02
ここ最近のライブドア周りの報道は、さながら「良く出来た経済“コン・ゲーム”ドラマ」を見ているような気がします。そういや、そのものずばりの「ウォール街」という題名の経済サスペンス映画もありましたけど、あれのポイントは「インサイダー取引」だったか。
投稿: guldeen | 2005/03/14 23:40