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2005/03/24

ブログと情報強度(その3)ローエンド破壊されるマスコミ

 せっかくだから気分が勢いに乗っているうちに書いてしまおう。情報強度の話、3回目である。

 ところで僕が「情報強度」という言葉を思いついたのは、国際政治の分野で、イラク戦争のような一国の正規軍同士の正面衝突である「戦争」に対して、ゲリラによる散発的な銃撃戦とかを「低強度紛争(Low Intensity Conflict)」と呼ぶことを思い出したからだ。

 ブログって、既存マスメディアという「正規軍」に対する「ゲリラ」みたいなもんだというイメージがあるんだよね。なんか、ひょろひょろした頼りなさげな民兵みたいなやつらがパラパラと沸いては消え、沸いては消えして物陰からエアガンでピシピシ狙撃してくるみたいな。

 既存のマスコミや識者な人たちは、パチンコ弾があさってを向いてる初めの頃は大して気にもとめなかったんだけど、そのうちやたら自分たちの顔に弾がピシピシ当たるようになって、なんか当たり所悪かった奴が突然「炎上」とか言って倒れたりして(笑)、「このクソ愚民どもめが!」とか怒鳴りつけたりもするんだけど、そのうちますます狙撃兵の数が増え始める。武器は相変わらずエアガンなんだけど(笑)。

 で、ささいなミスにいちいちパチンコ弾を撃ち込んでくる狙撃兵に神経を消耗するうちに、気がついたら陣地の外堀も埋められ、柵にもはしごが掛けられて、ひょろひょろ兵が陣地内をうろちょろするようになってた、とか(笑)。ゲリラ兵をバカにしちゃいけません。LICの始祖たる毛沢東も言っているじゃないですか、「敵を我々の領内に誘い入れれば、我々は弱くても四方から敵を取り囲める」と。

 なんかこれってブログそのものだなーと思って、それで「情報強度(Info-Intensity)」という造語をでっちあげてみたんだけど、最近もっとこの事態を説明する直接的で良い言葉を見つけた。技術経営(MOT)の分野では知られた「ローエンド破壊」という言葉だ。『イノベーションへの解』の中でクレイトン・クリステンセンが唱えた概念で、昨年6月頃にちょっと話題になったので知っている人もいるだろう。

 ローエンド破壊という言葉を分かりやすく説明してくれているのは、CNETの渡辺氏のブログの昨年5月26日のエントリ「ローエンド破壊の進むプリンタ市場:Dell vs HP」である。デルは「ローエンド破壊型イノベーション」を、米国でも日本でもクリステンセンのセオリーに忠実に実行し、ものの見事に競合企業(米国ではHP、日本ではセイコーエプソン・キヤノン)の当初の予想を裏切って大成功した。

 この記事に書かれてない部分を含めて、少しその戦略の解説を補っておこう。デルが家庭や小規模オフィス向けのインクジェット&レーザープリンター市場に参入したのは、米国で2003年、日本は2004年のいずれも前半からだ。商品そのものは、低価格プリンターメーカーとして名を馳せているレックスマーク・インターナショナル(本当の生産は船井電機)によるOEM(相手先ブランドによる製造)品である。

 HPのフィオリーナ会長(当時)も述べているように、デルのプリンターには機能面で何ら新規性は見られず、「ただ他のメーカーの格安プリンターにデルのロゴをつけて売っているだけ」と誰もが思っていた。日本でもエプソン、キヤノンは当初まったく同じ反応を示していた。つまり、ハナからバカにしていた。

 ところがふたを開けてみると、デルのプリンターは圧倒的な勢いで売れ始めた。デルのパソコンは米国で市場の33%を握る。このユーザーが、こぞってプリンターもデルから買い求めはじめたのだ。米国では既に四半期シェアを20%台に乗せたという話も出ている。

 日本でも昨年から同じことが起きている。日本の場合、国内市場でのデルのパソコンのシェアはまだ10%だから、米国に比べてその影響は小さめではある。それでもこれまで10年以上キヤノンとエプソンの2社以外でインクジェットプリンター市場でのシェアを2ケタに乗せたメーカーはなかったのだから、もしデルが日本でパソコン同様にインクジェットプリンターでもシェア1割を取るようなことになれば、大変なできごとには違いない。

 HPやキヤノン、エプソンとデルの、いったい何が違ったのだろうか。製品そのものはどう見てもデルより他社の方が品質は上だ。デルが悪いというわけではないが、製品だけ見てもデルをわざわざ買う必然性は見あたらない。

 違っていたのは、その流通とサービスサポートだ。プリンターの故障を経験した人なら分かると思うが、ちょっと面倒なトラブル(たいていはプリンタドライバーとかソフトの問題)だと、メーカーのサポート窓口に電話で問い合わせても「それはお客様のパソコンに問題があると思われますので、パソコンメーカーにお問い合わせください」という返事しか返ってこないものだ。

 だいたい家でプリンターを使う時は、年賀状印刷など休日作業でしかも今日明日中に済ませてしまいたい用事である。いちいち月曜日まで待ってパソコンメーカーに問い合わせているヒマはないので、電話口で怒髪天を衝くことになる。ちくしょう、二度とお前のとこの商品なんか買ってやるか。

 デルはこのすき間を突いた。プリンターには何の変哲もないが、変哲があるのはパソコンとデル自身だ。デルのパソコンにはプリンターのドライバーなども一通りインストールしておき、どんな問い合わせにもパソコンとプリンター一緒に対応できる。ついでにインクも切れかけたら表示が出て、デルの通販ですぐに買える。この便利さが「たかがプリンターに余計な時間をかけたくない」という顧客の気持ちをつかんだわけだ。

 要するに「ローエンド破壊」とは、単に超低価格な商品を出して既存のライバルを出し抜くことではない。低価格品でもいいということは、その商品そのものにはもはや誰も特別な機能や価値を求めていない、つまりコモデティだということだ。

 コモデティ化した商品の価値は、「必要な時に、正確に届く」「使うのが面倒くさくない」「他のもっと魅力的な商品と抱き合わせで手に入る」といった、デリバリーやアフターのプロセスで生じる。インクジェットプリンターはもうコモデティだと見切ったデルが、大した広告宣伝もせずにインクジェットプリンター市場への参入で成功を収めたのは、まさにこのプロセスの付加価値化に目を付けたからだ。

 翻って、ブログを見てみよう。マスメディアの流す情報はコモデティか?たぶん、そうだろうね。どこにいても聞こえてくるし、よほどニュースに敏感な仕事をやっているのでもなければ、朝や晩に食事しながらテレビとネットをちらっと見れば、世の中のたいていの動向はキャッチアップできる。

 一方でブログの情報は、マスメディアが流すニュースやコラムに比べれば、確かにまったく取るに足りないクオリティしか持ってない。少なくとも、99%はそうだ。だが、ほとんどは「無料で」しかも「関心事のキーワードをgoogleに入れて1クリックするだけで」すぐに手に入る。1つ1つの記事のクオリティは低いかもしれないが、トラックバックなどで関連するブログをざっと見れば、少なくともそのテーマの問題点が奈辺にあるかはだいたい分かる。意見を述べている人にお礼や反論が言いたくなれば、すぐにコメントも書ける(他の魅力的なサービスと抱き合わせてある)。

 つまり、一見「レベルが非常に低い」ように見えるブログは、その実『マスメディア(特に活字メディア)』というビジネスを、着実に「ローエンド破壊」しているのである。このことに気がついてないマスコミ関係者があまりにも多い。

 では、もともとその市場の寡占を謳歌していた事業者は、「ローエンド破壊」で市場に参入してくるライバルとどのように戦うべきか?クリステンセンはその著書の中で「ローエンド破壊される市場にもともといた事業者たちが最後まで逃げずにいることは、ほとんど不可能である」とだけ書いている。それ以上の示唆はない。

 僕なりに考える方策を述べておこう。一番簡単なのは、その製品やサービスの市場の外側で決着を付けることだ。それが可能ならば、という注釈はつくものの、HPにとってインクジェットプリンター市場を荒らすデルを駆逐する最善の方法は「デルを買収し、HPの中に取り込む」ことである。実際には、HPはデルを買うことなどできないわけだが。

 ブログについても基本は同じだ。もしマスコミがブログに完膚無きまでに市場をローエンド破壊されたくないのなら、何らかの形で「自分の中にブログを取り込む」しかない。単に「これまでやったことがないから」という理由でブログの取り込みを拒否するようなメディア企業は、「EPIC2014」にも描かれたように、ニュースという市場の本流から駆逐されて、高齢者や低所得層など、デジタルデバイドされたマイノリティのためだけのミニコミ媒体に成り下がるだろう。

 すでに米国のメディア企業は、インターネットとの間の競争の主戦場が「コンテンツのクオリティ」ではなく「デリバリーのプロセス」に移ったことを認識している。これまたCNETの渡辺氏が「ジャーナリズムと資本論:フジ/ライブドアを絡めて」という3月18日の記事で書いているが、米国のメディアは全国的なニュースに対しては既に独自にニュースを取材するのをほとんど止めて、APやロイターなどの通信社に任せっきりにするようになっている。各社横並びでほとんど同じニュースを遅れじと1面トップに並べる日本の大手一般紙とは、既に感覚がかなり違う。

 また、ブログを中に取り込む動きも加速し始めた。ニューヨークタイムズがAbout.comを買収したのは記憶に新しいが、About.comはシステムをMovable Typeで構築した「ブログメディア」そのものであり、「EPIC2014」を見たNYT幹部が焦りまくったのがこの買収のきっかけだ、というまことしやかな噂さえある。

 日本のマスコミでも、今年後半ぐらいからこうした「ブログメディア取り込み」の動きがあちこちで始まりそうな気配を感じる。その時、「取材-執筆(編集・編成)-報道(配信)」というメディアビジネスのバリューチェーンの中で、マスメディア自身が果たす役割も大きな変化に直面することになるだろう。

 ライブドアのようなとんでもない新参者がどこから現れるか分からない激戦区の中で、その荒波を乗り越えていけるかどうかが、今のメディア企業に問われ始めていると言ってもいいように思う。

 気分によってはまだ続きます(笑)。では次回。

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コメント

ローエンド破壊面白いですね。

物質は疲労が蓄積されると破壊されます。コンクリートや金属のような強固なものでも細かな刺激の積み重ねにより疲労して壊れます。マンモスがネズミに喰われる科学雑誌の挿絵の様に。

情報の「格」というものが次第に崩壊していく時、新たな判断の尺度が生み出されていくにはそういう小さな影響の積み重ねがあるのだと思います。

個々のブログの情報強度を上げるよりも、ブログと言うメディアが持つ情報量の総体がある臨界を越えるためには、もう一つ二つ工夫が必要だと感じています。

投稿: p-style | 2005/03/24 16:06

ということは、R30さんは
「ニュースなんてもうコモディティだからマスコミは一次情報だけ流してりゃいいんだよ、
 俺らが取り込んで付加価値つけてせいぜい延命させてやるよ、結局殺すけどな」
と言い切るホリエモンの主張はリーズナブルだと?

投稿: ねなし | 2005/03/24 16:34

デルはいつも「コモディティ」になったら俺たちの出番だと言っていましたネ

投稿: マルセル | 2005/03/24 17:06

コメントどうもです>p-styleさん、ねなしさん

> ホリエモンの主張はリーズナブルだと?
ま、そこまで簡単な話でもないわけですよ、現実のメディアのバリューチェーンはね。その話は、次回話そうと思います。

投稿: R30@管理人 | 2005/03/24 17:32

でもDELLのプリンターなんて欲しくないんだ
レックスのプリンターのヘボさを知ってるからこそ尚更

もう少数派になるのかしらね・・・そんな自分はHP派ですけど<既にマイノリティ

投稿: baba-sato | 2005/03/24 17:41

レスどもです。その4?期待してます。てか、
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050324-00000110-rtp-biz
SBキター

投稿: ねなし | 2005/03/24 18:24

LICのオリジナルは、ナポレオン支配下のスペインゲリラだと言ってみるテスト

投稿: アゲ | 2005/03/24 18:42

DELL のプリンタの話は、ローエンド品はそもそも安いんだから、価格が選択の基準にならないって話ですかねぇ。
電子部品でも受動部品みたいに安い部品のほうが、価格そのものより不良品率の低さの方が最終製品のコストに影響するので、日本で作られてたりしますよね。
ブログに当てはめるのと、どーせいい加減な情報だからってことですか。それだと 2ch の方がそれに近いような。
2ch だと根拠レスでも地元の人の情報があったりするし。

投稿: 粘着電脳研究家 | 2005/03/24 20:16

 また取って付けたような専門用語を。ローエンド破壊ですかそうですか。

 つーかそれはいつ何時もありうる話で、誰もがやんなきゃ俺がやるレベルの話。
 昔はそういう稼業をするのはやくざ者と相場が決まってたし、いまでも真っ当な躾を施すご家庭では「そういうもんだよ」的なニュアンスで世間を語ったりするから、まともないい子に育てば育つほど「誰もがやんなきゃ俺がやるレベル」に移行できないだけというか。
「誰もがやんないから、それはやってはいけないことなんでしょ?」になっちゃうだけっつーか。

 そのへんの思考の盲点を付いただけっつーか。

 だいたい、真面目に働いて頑張って出世めざすような気質の人は間違いなく「誰もがやんないから、それはやってはいけないことなんでしょ?」思考を極めちゃうし、そうでないと社会で生き残れなかったりするわけで、そこの思考の盲点付いたからって、べつにどうってこたぁないよね。
 フツーにヤサグレてれば、誰もが一度は通る道なんじゃないの? ローエンド破壊ってやつは。

 それを事業云々の域まで高めるには才能が必要なんだろうけど。

投稿: うんこ | 2005/03/24 22:02

いや、誰もがやれる市場でスケールメリットを生かしてこそのローエンド破壊だろ。ヤクザはローエンド破壊できんだろうに。逆だ。

投稿: ななし | 2005/03/24 22:59

おもしろかった

投稿: き | 2005/03/24 23:04

ブログは、インターネットの登場より着々と進んできた、情報発信の敷居の低下による、情報のコモディティ化の、一番最近の起爆剤にすぎなく、ブログ自体は単なる便利なツールとしか思えません。

「(インターネットによる)情報のコモディティ化」=「ブログ」という最近の「ブログ」の拡大解釈的用法には、どうにも違和感があります。

インターネットやブログといった「技術」ではなく、「情報のコモディティ化現象」を表す別のよい言葉はないもんでしょうか。技術は現象の前提条件ですが、必ず現象がついてくるわけではないですから。

投稿: X | 2005/03/25 01:57

メディア(流通手段)の競合と情報生産の容易さがごっちゃになっている。前者は厳然としてあるが後者は疑問だ。
マスコミが対峙しているのはメディアの競合。情報価値の危機は誰でも生産できるコモディティ化ではなく
きわめて速い拡散によって商品の形を維持できないデジタルとネットワーク時代の問題。
R30氏は“作文”は容易だという。しかし氏はプロなので参考にならない、つうかプロがそんなこと言っていいのか。

ブログが世の隅々まで至ったとしてその世界がどうなるのか想像すると何が変わるのかと思える。
居酒屋談義が時空間的に自由に行えるとしてそれで…?
私はネットワークにむしろ過剰な期待をしている部類の人間だ。しかしインターネットがもたらしたのは
個人的体験の問題であると思っている。より密度の高いコミュニケーションを容易に取れ、望むのであれば
公開されたいかなる情報へもアクセスできる。ネットは各個人の体験を劇的に高度化させたのは間違いない。

しかしジャーナリズムや社会の情報レイヤーとしてはどうか?
より正確な知識、より深い認識というのは今までもあった。手を伸ばせばその未知を丁寧に解説した書籍も手に入る。
しかしそれを読まなかったのは何故か。関心を持たなかったのは何故か。
コンセンサスと共有する知識として必要なかったからではないか?
その頚木を何故ブログなら打破できると確信できるのだろう。

投稿: ffff | 2005/03/25 03:16

続くはいつじゃ。わくわく。

投稿: 野猫 | 2005/03/25 05:39

マスメディアが流すニュースやコラムは、
権力者にとって都合の良いスクリーニングが激しくて
情報入手の手段としては精度が低すぎますね。
誰も好き好んでプロパガンダ何かを見たくない訳でw

既存のマスメディアに用があるのは
大衆ではなく権力者と関係者だけな感じがします。
大衆の需要を満たすなら必然とインターネットが
主流になりますねw

ジャーナリストの成長を妨げるのが現在のメジャー
ですがブログが良い影響を与えるといいですね。

投稿: f | 2005/03/25 11:21

>ブログが世の隅々まで至ったとしてその世界が
>どうなるのか想像すると何が変わるのかと思える。

まず、つぐみちゃんが見つかるかもしれません。
ブログの力で。
http://blog.livedoor.jp/haneda2/

他にも簡単に思い浮かぶ事ですが、

仮定として、

1 ブログをほぼ全員が開設している。
2 誰もがノートパソコンをもち、どこからでも
  情報を受送信できる。

の二つが揃った時代が到来したとします。

その場合、

情報源→メディア→大衆

だった今までのシステムが崩壊します。

今まで、メディアは、情報源と大衆の間に入って
そこから利ざやを稼いでたんですが、
上の仮定が満たされると

情報源⇔大衆

が実現するので、相当変わるのではないでしょうか?

今、福岡や新潟の地震のような災害では、
マスコミが報道してますが
ブログ時代になったら、マスコミなんかに
報道を任せなくても、被災地の人達が
自分達で惨状をブログで伝えれます。

で、必要としている人のところに
ブログ同士で連絡を取り合って支援物資送るようになるかもしれません。

他にも、イラク戦争とかだってブログ時代になれば
ジャーナリストが戦地に行く必要なんて無いんですよ。
現地にいるイラクの人が、惨状をブログで伝えれば、それでいいんです。

生の声以上の報道なんてないんですから。

イラク戦争で子供を無くした親が綴るブログ、
戦争で友達を失った子供が綴ったブログ、
災害にあった人達が綴るブログ、
そういうリアルな声が大量に発信され始めたら
既存のメディアがどんなに文章のプロでも勝てませんよ。だから自分の言葉で喋ってもらえばいいんです。

どんなに文章力が稚拙でも、そういう人達が書いた文章には
圧倒的なリアリティがありますから。

投稿: pal | 2005/03/25 17:54

>>pal

それは個別間のコミュニケーションですよ。
大衆⇔大衆と言いますが実際は個⇔個、精々群⇔群がランダムに存在した方向性のないものです。これはマスコミの代替ではなくて電話の進化上にあるものだと思うのです。

地震に関するブログを私は読んでいません。縁者も居ないし地理的にも離れているので自発的に情報収集する必要がないからです。
しかし地震があったことは知っています。これがブロードキャスト、マスコミなんでしょう。
RSSリーダで今日のトピックを知りえる?そのブログの起点はなんでしょう。Googleが新聞社を無意味にする?Googleニュースの表示序列は何に依存していますか?
web検索のようにリンクや参照数で事件の重要性を検出すればいい?じゃあ2ちゃんねるから検出される多用されるトピックや語彙といった「重要事項」に興味ありますか?
真実かどうかということはブログ以前から数え切れないほどの無名の頭の良い人が調べたり考えたりしています。テクノロジーによって唐突にあらゆる真実の重要性が増すわけではありません。
問題なのは東部沿線の鉄道マニアにとっての○○線今日の運行状況という興味の群ではなく、私たちが依存し、構成している社会でどう振舞うべきかというコンセンサスです。これはランダムなコミュニケーションの中から生まれるとは思えません。従来それは衆愚と言ってきたものではないですか?

いままで小声で物理的、属性的に身近な人と語り合っていたのが機械の力を借りて大音量で叫ぶことが(少なくとも夢想)出来るわけです。
この偉大な拡声器さえあれば社会により自身の利害に関わる「真実」で社会をまとめることができるというのは奇妙だと思いませんか。
役に立たないわけではありません。とても役に立つ拡声器ですがマスコミと並べて語る対象ではないと思います。

投稿: sage | 2005/03/25 19:02

2.5はから回り気味だったけど3は面白いね。

エプソンはシェアにあぐらかきすぎだよな。
インク7色セットの使っているけど、1色でもなくなると「補充しないと動かないかんね!」とか言って止まりやがる。
黒が残ってたら白黒印刷ぐらいしたいのがユーザー心理というもの。インク残量表示自体もいい加減らしいが。
ユーザーがビジネスモデルを斟酌してやる必要はないわけで、今後一切エプソン製品を買わないことを決意しました。

投稿: 三島八雲 | 2005/03/26 00:53

sageさん

>真実かどうかということはブログ以前から数え切れないほどの無名の頭の良い人が調べたり考えたりしています。テクノロジーによって唐突にあらゆる真実の重要性が増すわけではありません。
>私たちが依存し、構成している社会でどう振舞うべきかというコンセンサスです。これはランダムなコミュニケーションの中から生まれるとは思えません。従来それは衆愚と言ってきたものではないですか?

私もちょっと前までそう考えてました。直接民主制なんて幻想の中でしか機能しないんだから、Blogも徒花に終わるだろと。でも、そうじゃない気もしてきたのです。

そもそもマスコミはテレビ・新聞というテクノロジー以前から存在していたわけではなくて、当然社会をまとめる力が一貫してジャーナリズムにあったわけでもない。なぜ能天気に今後も「コンセンサス」は「マスコミ」だけが持ちうると思っているのか非常に疑問です。

Blogはランダムなコミュニケーションを保障できて、それが魅力的ではあるんですが、実際には影響力はランクがあって、完全ランダムでもない。そのうち「マスBlog」もできるでしょう。ただ、以前はマスかそうでないかで0、1だった影響力が、今後緩やかなカーブを描くようになる。まぁ、そのダムの決壊が結局ローエンド破壊ってことなんでしょうか(笑

かつて、テレビというテクノロジーが登場したとき、真実の重要性を増しはしませんでしたが、客観性を高めたのは間違いないでしょうし。

あー明日やすみか俺ーほげー

投稿: ねなし | 2005/03/26 02:48

すごく面白い話ですが、私のメディア観、マスコミ観とは対極にあるような気がします。私がひねくれてるのかもしれませんが、私は、マスコミ、メディアといった組織の力、影響力を信じていません。情報の編集、発信、あるいはもっと言って知を作る作業は究極的に個人によるものでしかないと思っています。だから、そもそも、あることがらの意見に関して、居酒屋談義だろうが、便所の落書きだろうが、おもしろいものは面白いのです。その面白さは個人の力です。どこのメディアに乗ろうと、マスコミが吹聴しようと面白くないものは面白くないのです。ブログも同じです。すごく面白いものもあるだろうし面白くないのもある。私は、そもそも情報の世界では、ゲリラ戦しかありえないと思いますよ。個人しかない。で、ブログ論を語る時間違ってはいけないのは、ブログがあたかも、1つの新しいマスコミ、1つの新しいメディアとして影響力を持つと錯覚することです。それはバカげています。ブログは、ひとつひとつのバラバラな個人です。これがとても健全です。だから面白いんです。だから居酒屋談義もおもしれーんですよ、署名しない無責任なマスコミより。

投稿: solnote | 2005/03/26 10:31

2投目失礼します。

現状のweb利用環境ではブログがマスメディアに取って代わる事は無いと思います。もっと受け手が意識せずに利用できるメディアにならないと無理でしょう。そこからは「利用者側の都合」に基づいたSFチックな話題になってしまいますが。

現状でのビジネスツールやコミュニケーションツールとして「上手なブログ利用」が果たしている事について考えると「組織内のリアルタイムな情報共有」には最適だと思われます。そこから考えると「大衆から小衆へ」変わって来た現在で、マスメディアの果たしていた役割の一部をブログで実現できるようになったというところはあるかと思われます。陳腐化した情報でも語り手が変われば面白いし、組織内でしか意味が無い情報を即時的に共有するツールとしては最強です。マスメディアのローエンド破壊はそういうあたりから既に始まっています。そういう意味では「マスメディア+web(ブログ)という事で発生するであろうメディアの変容」は「マスメディアを殺す」のだと思います。きつい意味ではなく「世代交代」と同義かも知れません。

「規模=権威」がだんだん消失して行く。そして情報利用の決め手が発信源の社会的地位ではなく「個の満足」に移行して行く。そういう構図なのかななんて思ったりします。

投稿: p-style | 2005/03/26 15:42

考えてみたらローエンド破壊をしてるのは「旧来」のマスコミだな。
ナショナルブランドのプロモーションのおまけにコンテンツを提供してるんだから。
ブログのプレイヤーの多くは手持ちの余剰を溶かしているだけ。

投稿: h | 2005/03/29 10:42

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