« 低コスト社会に必要な中小商店 | トップページ | 【ヲチ終了】ライブドア、信託利回りを確定中 »

2005/02/17

京都議定書なんかどうでもいいよ、自然が一番

 気がつかないうちに累積PVが50万を突破。そういえば、ライブドア騒動以来、PVが週末除いて毎日1万以上来るようになった。磯崎さんのisologueも1日のPVが6万超えたって言ってるし。年末年始でしばらくアクセスが低迷してたけど、ほりえもんの燃料投下のおかげで盛り返してきてるみたいですねえ、ブログ界も。もしかしてそのためのネタだったのかしら?(笑)

 それはそうと、「極東ブログ」で3日間にわたって京都議定書関連の話題を取り上げられたfinalvent氏が「アルファブログはなぜ環境問題を取り上げないのか」というメモを日記の方に書いていた。耳が痛いですねえ。ではちょっとその話でも書いてみますか。まとまらなさそうだけど。

 これまでこのブログを読んできた人ならだいたい想像がつくだろうが、僕自身は環境問題に関心がないわけじゃなくて、むしろ前の職場でも数年前まではその話を積極的に問題提起して記事にしようとしてきたし、小さな会社から大きな会社まで環境絡みでいろいろ取材もしたし、今回も何か書けないかいろいろと考えたりしていた。

 でも結局書けなかったのは、まずマクロや経団連の欺瞞みたいなところではfinalvent氏がさらっとうまくまとめていたので、もう補足することがないなあと思ったのと、ミクロレベルに落として考えると、日本人にとって「環境」というキーワードって、あまりにも「とっかかりがなさすぎ」だってことなんだな。

 例えば、「地球温暖化」っていうのに対して日本人がまず連想するのはほら、あの「南の島が沈んじゃう」ぐらいの話でしょ?そりゃ確かに東京は昔よりずっと夏暑くなったし、日本のあちこちで「冬の雪の量が減った~」とか言ってたりするけど、だからってスキーができなくなるわけでもないし、自分が熱射病で死ぬわけでもない。南の島沈んだらちょっと悲しいけど、まあそれも自分に直接関係ないしね。

 でも、このあたりの身の危険に対する切迫感というのは海外は全然違ってるわけだ。有名な話だけど、ヨーロッパは日本の北海道よりもずっと緯度が高いところにあるわけで、そこで北極にオゾンホールが開いたら白人の皮膚ガンの発生率がガクンとアップするわけですよ。つまり、ダイレクトに命にかかわる。南の島の人たちも、観光産業がダメージを受けて国の面積が減る。

 CO2排出→温暖化ガス増大→オゾンホール、海面上昇→皮膚ガン、国土喪失てなわけで、もう自分たちの目の前に迫り来る危機だから、環境環境と叫ぶわけだ。

 しかし、世界で一番大量に化石エネルギーを消費している2つの国(米国と日本)が、とりわけこの問題に対して関心が低い国でもあるってのは、地球って本当に皮肉ですよねまったく。

 なんて、こんなところでせせら笑っていてもしょうがないので、さあどうしましょうかって話になるんですが、そこから先は極東ブログのこちらこちらこちらのエントリを読んでもらうとして、つまり「ヨーロッパの連中の言うとおりになんか、今からできっこないじゃん」というのが既に見えてるわけだ。

 となると、上の方で「いや、もう目標達成は不可能ってことは分かってるんですから」とか言ってるそばで「CO2排出削減しよーオー」なんて誰が気勢を上げると思いますか?誰もやりませんよそんなバカなこと。気勢上げるどころか、既に既得権握ってる人たちの殴り合いになってるじゃないですか。不毛すぎだよホントに。

 というわけで、例えばビジネス誌大手3誌を見ても「勝ち抜く環境経営」というタイトルで特集を組んだ日経ビジネス以外の2誌(ダイヤモンド、東洋経済)は、ニュースコラムでさえも環境のかの字にも触れてない。これが企業社会の意識の実態だろうし、僕はそれはとても賢明な判断だと思う。一銭の利益にもならない環境省と経産省の代理戦争に突っ込んでいく必要がどこにありますか。

 マーケッター的に言うと、「環境!環境!」と叫んでも客が食いついてくれないなら、目指すべき「温暖化ガス排出量削減」にもっと別の切り口で切り込んでいくまでの話である。そこでここ数年出てきたのが、ライフスタイル系で言うと「スローライフ」だったり「菜の花」だったりするし、ビジネス系では「リユース」だったり「CSR(企業の社会的責任)」だったりしたわけだ。

 つまり、なんか環境に良さげな商品を売り出したい時に、「スローライフに何とかかんとか」ってキャッチフレーズをまずつけておいて、客がいろいろ聞いてきた時に「いやぁ、実はこれって"環境"にも良かったりするんですよ(ダサイでしょ)アハハ」とか、恥ずかしそうにネタばらししたりっていうのが辛うじて許される程度なんじゃないかと。

 そういう意味では、日本の「環境マーケティング」というのは、それはそれで独自の進展を遂げつつあるとは思いますよ。欧米みたいな「切迫・恐怖感」ではなく、「上質ライフスタイル」みたいなところを原動力にしてきたのが、独特だと思います。個人的には、結構国際的競争力もあるレベルだと思うんだが。

 で、個々の商品やサービスのマーケティングのレベルでの「環境」というのは、これからも進化は続けると思うけど、しょせん数百円のランチョンマット1枚買うのにエコロジーでもそうでなくても排出されるCO2の量は大して変わらないわけで、もっとライフスタイルそのものをCO2セービングなものに変えていけないかというのが、これから数年先活発化する取り組みだと思う。

 実は昨日の「低コスト社会に必要な中小商店」というエントリは、そういう切り口を意識して書いた。誰も気づかないだろうと思ったし、気づいてもらいたいとも思わなかったけどさ(笑)。

 巨大なショッピングモールというのは、平日ほとんど非稼働だし、あれだけの空間を冷暖房し続けるというだけでものすごいエネルギー多消費施設だし、そこに買い物に行くのにマイカーで出かけなければならないというのも反環境的だと思う。表向きの利便性だけにとらわれると、ああいう資源多消費型の流通がまかり通る。

 だけど、本当にライフスタイルを資源少消費型に転換していきたいのであれば、1軒の店に食品の冷蔵庫、雑貨、実用衣料、かかりつけ薬局、交番、銀行、郵便局、役場、コミュニティーセンターみたいな機能を全部持たせて、徒歩や自転車で行ける距離のところにたくさんばらまいた方がいいに決まってる。だって、究極のエコロジー社会と言われた江戸時代っていうのが、そういう仕組みで成り立っていたんだから。つまり「庄屋」「名主」の復活ですよ(笑)。

 僕自身は、リユースビジネスの普及とか小商圏型店舗への傾斜とかは、それが「環境保護だ」とかっていう指摘をするのは言うだけ野暮だろうと思うようになったので、数年前から口にしなくなった。だけど日本の消費社会がそちらに向いていけば、結果的に大ヒット環境商品を生むよりも省資源化に役立つと思うし、実際そういう方向に向いていくだろうという確信みたいなものがある。

 京都議定書の話は、そんな中のごくごく表面的な、しかもどうしようもなく茶番な部分に過ぎない。ヨーロッパの人たちが顔を真っ赤にして叫ぶ気持ちも分からないでもないが、東洋の人間は「自然な流れ」を作ること自体が一番自然(環境)に良いと思ってるんですよ。だからあまりご心配なく。

|

« 低コスト社会に必要な中小商店 | トップページ | 【ヲチ終了】ライブドア、信託利回りを確定中 »

コメント

エコなんて表面的な話で権限と権利の体系と流通を
意図的に規定する文明史的なエポックだと思いますが。
所有という概念だって良く考えればあいまいなもの。かといって
全くの空虚な権利など流通するはずも無く環境というフレームがちょうど
良かっただけなのではないかと思ったりします。
空気や水がきれいになるのはむしろ副次的な作用では?

そりゃアメリカにとっては損しかしないのでダメ出しします。
奴隷を解放した人権とやらにどれだけの普遍性があるのか?
貧困は問題ないのに?アメリカは南軍なんですよ。
温暖化の原因に科学的な妥当性が無いというのはアメリカの
抗弁であって現時点でナンバーワンパワーではない日本の
やるべきことはアメリカ以外の利害を調整して自ら提案する
権利体系を起動させてしまうことでしょう。
世界はより面白く動き出すと思いますよ。

投稿: ななし | 2005/02/17 18:03

オゾンホールと京都議定書と何の関係が。
京都議定書が定める削減対象物質にClを含むもんはないようですが。

投稿: 狂犬 | 2005/02/17 19:44

CO2は地球の温度を上げるとは言われてますが、オゾンホールを拡大する力はないのでは?
それはフロンガスですよね?
それを受けてか最近はノンフロンの冷蔵庫とか出回ってきてますね。

投稿: ナナシ | 2005/02/17 20:45

京都議定書の成立過程では「環境」を経済ベースに乗っけるということばかりが、クローズアップされていたような気がするので、またこれが環境を語る上での日本の特徴だと思っていたので、どうでもいいよ、ってのは少しというかなんだか残念・・・
実際アメリカや中国などが加盟しないことから事実上どうやらどんなに国内で頑張っても自己満足にしかならないのと、決め手のエネルギー革命まちとか、これ以上化石燃料を使うのはやめましょう=原子力発電推進といったところしか、使いようがなかったというのが、実に現在の状況ではないかと、微妙な気もしているのですが、まあこのまま自然にまかせて気象災害が頻発するとわらえる

投稿: とらお | 2005/02/17 21:52

ttp://www.chironoworks.com/ragnarok/psychology/log/eid38.html
温暖化のほとんどの原因は水蒸気だそうです。確かに二酸化炭素も人間が出している中では一番の原因みたいですけど。
むしろ石油を燃やしすぎると枯渇することの方が問題ですかね、ただこれも説があって石油は地球の内側から湧き出てるもので、後500年持つという人も居るみたいです、石油を取り付くした油田からも時間が経てばまた取り出せるらしいですからね。
もし500年持つならばその間に新しいエネルギーとかも出来てそうですよね、核融合とか宇宙に浮かべるソーラーパネルとか。

投稿: 春日 | 2005/02/18 08:26

http://www.erca.go.jp/ondanka/stop/ningen.html
ボクは伝染病のリスクが増大するのは避けたい。マラリアとかかかりたくないですもん。
ま、国土に比べれば医療費かけるだけでなんとかなりそうな分は軽微かもしれませんが、一応は「日本人に切実かもしれない影響」をば例示。

投稿: アキト | 2005/02/21 12:14

そうですね
京都議定書より、レベルの低いブログの方が有害かもしれませんね

投稿: とおりすがり | 2005/02/23 01:52

なーんか、こんななんの文責も持つ気のない人の、
ただの便所の落書きみたいな文章が
普通のニュースのページと並んでるのってすごく問題ある気がするなぁ。

投稿: エキサイトニュース見てた人 | 2005/03/15 03:26

というか、これって山形浩生の真似事にしかすぎないですよね。雑誌に載ってたらそれこそ大笑いされるしかないような金獲るのも酷い記事。だからこそブログという形式で出しているのでしょうが。で、それを真面目に読む人が出てくるのが問題で……。この記事を読んでオオッすげえ!と思う前に、マスゴミなんかよりやっぱブログだと思う前に、他のちゃんとした資料や本を読みましょう。それから文句を言っても遅くないでしょ。

投稿: この記事もそのうちこっそり削除するのだろうか | 2005/04/02 01:24

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 京都議定書なんかどうでもいいよ、自然が一番:

» 無価値な現実と無価値な人間 [占い日記]
 ―― 現実には価値がない 17歳少年による教職員殺傷事件。 不明な点の多い犯行理由について、 田口ランディさんと友人の会話。  「... [続きを読む]

受信: 2005/02/17 16:24

» 京都議定書 [*「ふっかつのじゅもんがちがいます。」]
確かに、京都議定書などどうでもよい。 ただし、それはそういう理由からではない。 どうも、二酸化炭素が温暖化の元凶であるという論調は因果関係と相関関係の取り... [続きを読む]

受信: 2005/02/18 01:35

» [ブログ] それはちょっと... [フランスで暮すおっさんのつぶやき  antiECOの日記]
事実関係がおかしいと思うのですが、R30さん。 いや、その前に、50万PVおめでとうございます。 で、話は、最新のエントリの[http://shinta.tea... [続きを読む]

受信: 2005/02/18 08:16

» Russian Loophole in Kyoto Protocol [佐藤秀の徒然\{?。?`}/ワカリマシェ~ン]
この前、「そもそも京都議定書自体が巨大な抜け穴と言うも愚かな巨大な抜け穴を前提にしている目くらましである」と書いたが、その続編。目くらましは、京都議定書版Tax Havenだけではないのだ。実は京都議定書自体がグローバルな自由貿易の促進のために巧妙に仕組まれている...... [続きを読む]

受信: 2005/09/10 22:55

« 低コスト社会に必要な中小商店 | トップページ | 【ヲチ終了】ライブドア、信託利回りを確定中 »