首都大学東京に思う、大学は何する所ぞ
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クビ大なんてマジでどうでもいい

2005/01/29

中国の社会的起業家?

 昨日、秋葉原に行ってiPod mini見たらすごく欲しくなった。でも新しく買った携帯の電話番号を移すヒマもないぐらい忙しいのに、iPodなんか買ってたら生活破綻しそう。今の仕事が一段落してから考えよう。

 さて、先日絡みエントリを書いていろいろと騒いだインド洋津波関連での寄付の話だけれど、そう言えば少し古い話だが、国境なき医師団や国際赤十字が相次いで「十分お金が集まったので募金やめます」宣言を出したらしい。津波もすごかったが、その後の寄付の津波も国際的には負けず劣らずものすごかったようで。そんなことを考えつつ、今回の津波とは直接関連はないのだけれど、非営利組織ネタを書いてみたい。

 とあるところで、中国のNGOについての話を聞く機会があった。中国のNGOと聞くと、まずちょっと中国のことを知っている人なら「政府の縛りがあれだけきつい国で、NGOなんて存在するのか?」と思うところだ。まったくその通りで、つい最近まで中国にはNGOというものはほとんど皆無だった。

 ところが、ネガティブとポジティブ、2つの要因からここ1~2年の間に、NGO・NPOが急速に中国人の関心を引くようになったらしい。

 ネガティブな要因というのは、国内の地域ごとや階層ごとの貧富の格差があまりに激しくなって、社会的な不安が増していること。一方、ポジティブな要因は、そういった社会問題の解決に取り組むことそれ自体を事業にする「社会的起業(Social Entrepreneurship)」というのが、どうも欧米やら日本にはあるらしいということを彼らが知ったことだ。

 「日本に社会的起業の事例がある」という認識自体には、結構反論が出そうだ。たとえば、日本では圧倒的多数のNPO・NGOが「福祉・介護」の分野におけるものなので、ほとんどはボランティア集めてお年寄りや障害者の面倒見てるだけだと思われている。まあ、実際のところそれがほとんどだ。

 だから、社会的弱者の保護でお金を集めてちょっとでも超過利潤を出したりすると、いくらそれは活動を広げるために再投資するんですと説明しても、「弱い人々を食い物にして儲けている」といった批判にさらされる。ましてやそこに「社会的起業」みたいな言葉を持ち出してくると、「奴らはどうせエセ宗教団体かアカい政治勢力に違いない」みたいな偏見で見られてしまう。日本で「社会的起業家」と名乗って成功するのは、「ベンチャー起業家」として成功するより100倍は難しい。

 だが、中国の場合はNPOにも「お金を儲けること」自体にもまったく偏見がなくて、むしろ「え、お金を儲けながら社会的弱者を助けることもできるの?素晴らしいじゃん!」みたいな感動が、社会的起業に対するイメージとしてあるようだ。つまり、自分でビジネスを興すことを夢見る多くの人たちにとって、「目の前にある貧困や差別を解決」できて、しかも「商品・サービスの売り上げだけでなく、寄付や公的資金も収益に組み入れられる」という社会的起業は、新しいSMB(Small and mid-size Business)の開業手法として魅力的に見えるものらしい。

 その話を聞いていて、僕は結構複雑な気持ちになった。

 日本で「社会的起業」の話が盛り上がったのは、僕の実感だと2001年頃からかなあと思う。町田洋次氏の「社会起業家」が発刊されたのが2000年11月。その本によれば、Social Entrepreneurの概念が初めて示されたのは90年代後半の英国だというから(本当か?という気はするが、ここでは検証はしない)、まあそれほど昔からあった話ではないだろう。

 もちろん、その前段階では、米国におけるベン&ジェリーやパタゴニア、スターバックスなどに見られるような「社会的責任を果たす会社」の考え方があったはずで、社会的起業とそのブリッジとなったのが、1998年に発刊された森孝之氏の「『想い』を売る会社」あたりだろう。

 その後、ETIC.の主催でソーシャル・アントレプレナーのコンテスト「STYLE」が始まって大盛り上がりしたのが2002年4月だから、社会的起業家というのはちょうどネットバブルとその崩壊とパラレルに生まれたタームだと思って間違いない。

 で、じゃあいったい日本においてはその後どうよ?というと、たかが3年やそこいらで世にとどろくような大成功者が出てくるわけもないのだけれど、それにしてもETIC.の育てた起業家インターンの学生がビジネスを始めて大成功したという話も聞かないし、既存のNPOセクターが影響を受けて活性化したという話も聞かない。NPOに関しては、なんかもう80~90年代前半までの話が手あかの付いた「成功事例」として紹介されるばかりで、新しい話は何も出てこない。

 思うに、ETIC.もそうだが、日本のちょっと山っ気のある若者は、社会的弱者やその歪みをことごとく世の中から隠蔽する日本の“きわめて優秀な”行政と、そのニッチを占拠してお山の大将よろしく既得権を主張する既存のNPOとに阻まれて、社会的弱者を助けるような事業を自ら興そうとは、思わなかったのだろう。

 僕は、そういう若者が日本にいなかったわけではないと思う。だが、彼らは自分のエネルギーを発揮する場所として、社会的起業の代わりにITベンチャーを選んだのではないか。

 シリコンバレーのテクノロジーベンチャーと違い、ソフトバンクや楽天などはテクノロジーそのもののアドバンテージを追求する代わりに営業力や規制突破力、そして巧妙な財務戦略をその事業コアとした。だから、逆にネットバブル崩壊以降も生き残り、既存の社会ヒエラルキーをぶっ壊したい野望を持つ若者を吸い集めたのだ。残念ながら日本では、ITベンチャーの方がNPOよりも若者にとっては魅力的だったのである。

 中国でこれから社会的起業家というのがどのくらい選択肢として有効たりうるかは、正直なところまだ分からないけれども、経済格差や社会的な歪みという点では日本の比ではないし、くだらない既得権を主張するNPOも存在しないという意味では、中国で社会的起業が今後ちょっとしたブームになりそうな気もしないでもない。

 で、その彼らの言うには「だから、欧米や日本の『社会的起業』の成功例を、なるべくいろいろと知りたい」のだという。日本では手あかのついた事例でも、海外に“輸出”すると大きな価値を持つという事実を聞くと、ここ10年近く大したイノベーションもないことを省みるに忸怩たる思いがあるのだが、でも先進国になるということはそういうことなのだろう。

 そして、幸いなことに最先端の電子部品製造装置などの技術特許の類いとは違って、NPOや社会的弱者支援のノウハウなど、途上国にいくら盗まれても痛くもかゆくもないどころか、「最初に井戸を掘った人」として感謝されるものである。となれば、ここは手あかの付いた成功事例でも何でも、精一杯相手に恩を売りつつ「これは日本発のノウハウで~す」と中国に売り込みまくるのが、日中関係改善の有効な手だてと言えるのではないだろうか。

 というわけで、その話を教えてくれた友人は、社会的起業(笑)ノウハウ移転のためのNPOのウェブサイトの運営業務を助けてくれる人(もちろん有給スタッフ)を募集しているそうな。ここはちょいと、切込隊長にならって人材募集をしてみたい。

 以下の条件で働いてみたい人は、こちらの団体のウェブサイトから、事務局長に連絡を取ってみてください(事務局長は日本語ができます)。僕も、この団体の活動に今後少しずつ協力していこうと思っています。

  • 毎日2~3時間程度を、コミュニティーサイトにおける日中英3カ国のユーザーの問い合わせや団体のスタッフメンバーからのリクエスト対応、サイト保守に費やせる方
  • ちなみに、そのやりとりは半分以上が英語なので、英語の読み書き能力は必須(中国語はできれば良いが、できなくても問題ない)
  • 今すぐできる必要はないが、phpベースのウェブアプリケーションをある程度理解でき、ちょっとしたサイトのデザイン修正などもできる
  • 月給13~15万円、オフィスはとても小さいので基本的に在宅勤務を希望、ただし東京で月1~2回程度の打ち合わせに出席できる方

03:51 午後 経済・政治・国際

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Comments

こんにちわ★
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ではこれからも頑張って下さい☆

POSTED_BY:人気BLOGランキング @2005/01/29 20:50:24

( ´,_ゝ`)プッ

POSTED_BY:R30@管理人 @2005/01/30 2:39:47

TBありがとうございます。非営利組織で活動を行うことと、社会的起業というのは一般に捉えられ方も違うものでしょうが、営利を求めながらも社会に還元できる起業を求める姿勢は、それとして大切だろうなぁと思ったりします。全然詳しくないので良くは分からないんですけど…。

POSTED_BY:ダイスケ@国際協力・NGO情報ブログ @2005/01/31 0:40:30

すみません、いきなりですが質問、よろしいでしょうか?私は今北京に住んでいるのですが、北京のどのあたりでiPodを購入できるか、ご存知でしょうか?

POSTED_BY:和茶 @2005/12/03 14:11:27

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