僕のおつむは燃費が悪い件について
羊堂本舗のブログを見ていて、「ゲーム脳っていうのは頭が良いってことなんだ」というエントリを読んで感心。
こっちの分野はまったくの素人なのでゲーム脳がどうとか言われても「ふーん」という感想しか述べられないが、最新の科学の知見というのが実は昔から日常的に使っている慣用句などと感覚的にもぴったり一致しているとかって、よくあるよね。これなんか、その典型かなあと思った。
例えば「頭に血が上った」っていう慣用句。深い考えもなく怒ったり焦ったりすることを差す言葉だが、これっていうのは要するに脳が目の前の突発的な事象をさらっと処理できなくて、神経回路を全部使って考えようとするから血が頭に全部集まるのだよね。でも、そのような出来事に頻繁に接するようになって対応になれてしまうと、脳の方も処理に慣れてきて少しの働きだけで処理できるようになり、結果として頭に血が上らなくなる。
僕なんかも、よく難しい試験問題とかを解こうとしてうんうんうなってると頭がどんどん熱くなる感覚を持つんだけど、あれっていうのは僕のおつむがバカだからですね。実はこのブログのエントリ書くのにも、割としょっちゅう頭が熱くなったりするんですがあれって…(以下略)。ああ、僕の脳みそって燃費の悪い奴 orz
で、羊堂本舗のエントリに感想付けるだけで終わったらそれこそi386並みに燃費の悪いCPUだなR30はとか言われそうなので、苦し紛れだがちょっと思ったことを。
今に始まったことじゃないがコンピューター・サイエンスの分野ではこうした脳の働きを半導体で何とか真似できないかというのが「ニューロ・コンピューティング」とか呼ばれていろいろと試みられてきているわけだが、この「一度やり方をマスターした処理については次回以降最小の消費エネルギーで処理することが可能になる」という脳のすごい機能は、結構コンピューターの将来にとっても明るい話のように思う。
最近、このへんの分野をウォッチしていないのでアナクロな知識かも知れないけど、一度処理した長大な命令セットを覚えておいて、2度目以降はそれを短縮化した命令セットとして処理するというCPU機能というのをインテルあたりが研究しているという話を以前に聞いたことがある。
半導体集積回路自らが「学習」を重ねて頭が良くなっていくようなCPUが生まれれば、CPUの消費電力はますます下がり、しかも処理スピードはますます上がることになる。「ムーアの法則はもう破綻する」とか言われてずいぶんと経ったような気がするが、ハードとしての回路幅のミクロ化もさることながら、こうしたニューロマティックなアプローチが21世紀もコンピューターを延々進化させ続けると思うと、結構わくわくするよね。
まあ、逆にそういう集積回路の自己学習機能が「ターミネーター3」や「Mr.インクレディブル」に出てくるような学習能力のある殺人兵器みたいなものに応用されないとは限らない(というか既に応用研究は相当進んでいるらしい)わけで、そっち方面の進化はあまり期待したくないしわくわくもしないわけですが。
でもこういう未来話になると難しいことを考えるより先に素直にわくわくしてしまう、実はコンピューターフリークなR30でした。
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コメント
>半導体集積回路自らが「学習」を重ねて頭が良くなっていくようなCPUが生まれれば、CPUの消費電力はますます下がり、しかも処理スピードはますます上がることになる
うーん。そうなんですか?
フォン・ノイマン式だとCPUは純粋に演算のみを行う事になるので、学習をさせる場合は別途バッファさせるレジスタが必要になるから、現在は1次・2次、あぽーなんかは3次キャッシュを使用している訳ですが、3次はまぁメモリから使うからいいとしても、読み出し・書き込みの速度を必要とする1次・2次のSRAMの容量を上げてレジスタの容量を増やすと、消費電力は比例して上がりますよ。
最近はCPU単体のプロセスルールをどんどん小さくして消費電力を下げる努力はしていますけど、結局今年中にはIntelもAMDもやるであろうデュアル・コアなんかにしちゃえば、当然消費電力はコア単体では下がってもCPU全体では単体の倍近く上がっちゃいそうですし、結局は消費電力と処理速度はトレード・オフの関係から抜け出せない気もしますがね。フォンノイマン式だと。
ひじょーにピンポイントな突っ込みですが(^^;
投稿: ぎょろ | 2005/01/15 06:18
学習理論では言われていることらしいですが、
特定のタスクで学習をやりすぎると過学習という現象が起こって、
他のタスクに対するスコアや適応力が落ちます。
だから「ゲーム脳」なんてのはあながちウソではないけど、
別にゲームに限らず起こり得ることでして。
投稿: age | 2005/01/15 10:42
>最近、このへんの分野をウォッチしていないのでアナクロな知識かも知れないけど、一度処理した長大な命令セットを覚えておいて、2度目以降はそれを短縮化した命令セットとして処理するというCPU機能というのをインテルあたりが研究しているという話を以前に聞いたことがある。
クルーソーが正にこの機能を内蔵したCPUじゃありませんでしたっけ?
あ、あれは単純に1回やった命令を反復したときにメモリしている記憶を
繰り返すだけだったかな…
※すいません。アドレスはSPAM防止のため偽アドになってます。
投稿: mgkiller | 2005/01/15 13:49
エントリ書きました。夢のない話ですみません。
ちなみにPentium4というのは非常に燃費の悪いCPUでして、もしかしたらi386の方が効率が良いかもしれません。
投稿: maki | 2005/01/17 01:32
CPU の話でコメントが盛り上がってもしょうがないような気もしますが...
トランスメタの Crusoe と Efficeon の最適化については http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/1104/kaigai01.pdf あたりがよくまとまっていると思います。
投稿: kazuho | 2005/01/17 13:52
確かに。脳味噌の話が狭義のコンピュータ(CPU)ネタになっちゃってますね。すいません俺のせいか。
>奥さん
資料のご提示ありがとうございます。その図は非常に分かりやすいです。今だとEfficeonで話をするべきでした。トランスメタ系CPUの場合は単純に命令の実行頻度で最適化を行うということでしょうか。CからEになる過程で実行頻度の細分化がされて最適化のレベル分けがされたと。インテルのものとはアプローチが微妙に違うのかな。
むー、理系のくせに理科系が弱いので自分が理解してるのか不安だ…
投稿: mgkiller | 2005/01/17 23:05
> 確かに。脳味噌の話が狭義のコンピュータ(CPU)ネタになっちゃってますね。すいません俺のせいか。
ごめんなさい。mgkiller さんを批判したんじゃなくて、自分も含め、 CPU というキーワードで R30 氏に釣り上げられてるなぁ、って感想を述べたつもりでした。
PARROT もトランスメタも、実行頻度により最適化を行うという点では一緒だと思います。違いは μOP 化、最適化処理等をソフトウェアが担当するのかどうか、という部分かと。
投稿: kazuho | 2005/01/17 23:50
あ、こちらこそ気を使わせてしまってすいません。批判というつもりで受け止めたんではなくて、俺自身が自分の好きな方向にフレーミングする癖があるので自戒の意味も込めて反省してみた次第なので。マイナス方向に捉えているわけではありません。
ソフトウェアだと細かくチューニングしていける反面劇的なスピードアップは望み難いですし、ハードだと最適化で高速に寄与しやすいかわりに構成が変わればその都度カスタマイズしなきゃいけないので汎用性がなくなるということで悩ましいですね。
まあユーザーはその恩恵を受けられさえすれば良いのでどっちでも良いかというありきたりなオチになるのかもしれませんけど…
投稿: mgkiller | 2005/01/18 11:38
>CPU というキーワードで R30 氏に釣り上げられてるなぁ
そうですね、
>こっちの分野はまったくの素人なので
この辺に要注意!
こうやって理系は文型にいいように使われていくのです、と無理やり自分のエントリにつなげてみるテスト。(笑)
投稿: maki | 2005/01/18 12:20