プロのジャーナリズムとは何かについて考えてみる・その3
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プロのジャーナリズムとは何かについて考える・最終回

2004/12/14

保守エリートのPCコードに騙されてはいけない

 ゴリゴリのジャーナリズム論考ネタを書くのに、僕も少し疲れた。ので、気分を変えて別の話。先日、映像制作会社に勤めるある後輩の女性から「会社を辞めようと思っている」という相談を受けた。

 話を聞いてみると、どうやら彼女がつき合っている男がその原因らしい。だが、その男というのが噴飯モノだが極めてありがちなケース。いわば価値観流動化時代のダメ男の典型例とも言える人物のようなので、ここで晒させていただく次第である。

 ちなみに相手の男は30代前半、某大手都銀勤務。彼女はそいつとは数年前に友だちの紹介で知り合ったらしい。しばらく交際が続いたあと、1年前ぐらいから2人は同居しており、「そろそろ結婚しようか~」という話にはなっているらしいが、問題なのはこの男の最近の言動である。

 最近の彼女は仕事がたまっていて結構忙しい。夜帰るのも結構遅くなったりするのだが、そうすると彼は「そんな仕事に時間とられて、家事をおろそかにするなんて許せない」と激しく怒るんだそうな。

 しかもその理由がふるっている。「君の仕事は、僕の仕事みたいに社会的なステータスがある仕事じゃないだろう」だって。…たかが都銀ふぜいが何をアホぬかしとんのじゃボケとか思うわけだが、これってごまめの歯ぎしりですかそうですか。

 でも、「そこまで言うってことは、要するに彼は、貴女に仕事辞めて家庭に入ってほしいって思ってるんじゃないの?」と聞いてみると、そういうわけでもないらしい。「彼はいつも『○○ちゃんには働いていてほしいと思ってるよ』って言う」んだそうな。しかも絶対正社員、派遣とかパート系の「チャラチャラした仕事」はダメだ、との仰せ。

 で、彼女としては帰宅が夜遅くなる今の仕事を辞めて、もう少し早く帰れる仕事に転職したいんだと。

 で、僕は言った。「君さあ、そいつと別れた方がいいよ。今の君の年齢で、派遣やパートじゃなくて正社員で確実に早く帰れる仕事なんて、そうそう簡単には見つからないって。しかも今の会社だって、いつもいつも遅くなるわけじゃないでしょう?それよりそんな意味不明なこと言う彼氏なんか、結婚したって幸せになれっこないから、別れてもっといい相手探したほうがいいよ」。彼女は「また少し考えてみる」と言って帰っていった。

 僕なりに考えたのは、この都銀勤務の彼氏は、たぶん旧世代と新世代の価値観ギャップを自分の中で整理できてないんだろうなってことだ。

 彼女の話から察するに、彼自身の頭はそれほど良さそうではないが、おそらく父は大企業の役員クラスで母は献身的な専業主婦、それなりに不自由ない環境で育ち一流大学を出てすぐ当たり前のように大手都銀に入ったお坊っちゃまに違いない。妹がいたりすると父親の方針でお嬢様短大に入り、今は兄と同じく大企業でOLしてるか、既に結婚して専業主婦。ま、典型的な都会の保守階級である。

 だがふと世間を見回してみれば男女同権、女性活用が時代の流れ。彼としてもここで「女なんてのは家で子ども産んでオレのために家事してればいいんだ」とか言ったら袋叩きに遭うぐらいのことは、“エリート”だから分かるわな。それで将来の妻となる女性にも一応Political Correctnessのコードに基づき、「働けばいいよ」と優しい顔をしてみせるわけだ。

 だが実際に働くってのは男も女もそんなに楽なことじゃない。というか、本店の暇な部署で役員に見せる報告書だけ毎日書いてるような都銀マンと、テレビ屋や広告屋から毎日低コストだの納期厳守だの言われて搾取されまくっている制作屋じゃ、「働く」の意味が全然違うだろ。しかも女性だぜ。

 というような浮世の現実を、まるで知らないんだよ、丸の内の本社御殿にこもって仕事する銀行マンな彼は。だからPCコードに沿って発言していたつもりが、家事に差し支えない範囲にしろとか、働くなら正社員じゃなきゃダメだとか、本音がボロボロ混ざって支離滅裂な要求に化けちゃうんだ。

 僕としては、やっぱりこういう男性には下手に俗世間のPCなど意識して、いたいけな女性を精神的ダブル・バインドに追い込んだりせず、守旧派の本音を貫いて堂々と「女は子ども産んで家事だけやってろ」と、言い放ってほしいと思うのだよね。

 なぜかって?だってそれはある意味「何が何でも俺の腕だけで一生妻子を養ってみせる」という固い決意の表れでしょ。そこまでの決意を表明できるサラリーマンって、今どきすごく貴重だと思うよ。30歳以下の99%の男どもがそんなこと、とうの昔に諦めちゃってるっていうのにさ。エライよ。

 で、そこまで言われれば「私も家と子どもを守って、一生あなたについていきます」っていう、これまたヤマトナデシコ的な麗しき女性が伴侶に付くというものですよ。会社で働くということと、家で家事をこなすということは、人間にとってまったく別の能力が必要とされるんだと思うからさ。

 あいにくと近年はヤマトナデシコな女性の供給が(フェイク品はともかくも)極めて逼迫しているようだから、本音トークをぶちかまして取引成立にまで至るかどうかは微妙なとこではある。でもさ、本音と建て前の二枚舌で騙して結婚相手つかまえても、誰もハッピーにならないと思うんだけどな。そこんとこ、どうですかね。

12:16 午後 経済・政治・国際

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諦めが肝要かと トラックバック ひよひよ雑記帳 @2004/12/14 18:49:08
ここで叩かれ気味の男にも理がある、という趣旨で反論してみよう。同世代だし。 > 「そんな仕事に時間とられて、家事をおろそかにするなんて許せない」 全... 続きを読む

「男性は自分の上司よりも秘書と結婚したい」という研究 トラックバック むなぐるま @2004/12/15 10:45:27
Glass Ceilings at Altar as Well as Boar 続きを読む

ダブルスタンダード例 トラックバック おいらクリップ @2004/12/16 13:16:34
R30::マーケティング社会時評: 保守エリートのPCコードに騙されてはいけない とりあえずクリップ。典型的な相手への矛盾した要求の押し付け(当然自分にとっては... 続きを読む

淡い期待の分子は濃厚な我欲と盲目の逃避で構成される事について トラックバック ぎょろぐ。 @2004/12/18 21:02:35
タイトルの大仰さの割にはしょーもない事を書こうかと。 内容的にはR30氏のブロ... 続きを読む

やれと言われりゃやらんでもないが。 トラックバック ぎょろぐ。 @2004/12/22 12:17:17
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「守ってくれる男」がいない?〜ああ悪い、男が悪い、悪いのよ〜 トラックバック こころ世代のテンノーゲーム @2004/12/24 2:00:33
このあいだの『バンキシャ!』で、「ステキな韓国人男性」との出会いを目的にした、お見合いパーティーの特集をやっていた。 さて、その観想を書く、その前に。 「宣... 続きを読む

保守エリートのPCコード トラックバック 渋谷系@はてな @2004/12/26 12:25:09
R30::マーケティング社会時評: 保守エリートのPCコードに騙されてはいけない   >> 先日、映像制作会社に勤めるある後輩の女性から「会社を辞め... 続きを読む

Comments

いやー、本当におっしゃる通り。私の勤めている会社にも、リベラルぶりっ子のオヤジがいますんで、わかります。しかし、この男はホントにバカですね。いまどき国Ⅰ官僚だって「俺の仕事は社会的意義があるから・・・」なんて言いませんよ。その女性には、早く別れて、もっと正直な相手を見つけていただきたいですね・・・

POSTED_BY:そういう男、大嫌い @2004/12/14 12:35:42

あーそこのあなた、レス早すぎですよw

POSTED_BY:R30@管理人 @2004/12/14 12:38:47

いつも楽しく拝見させて頂いております。

私はここで紹介されている男のような価値観を「御都合主義」として扱っちゃってますね。実際そうやって落とし込まないとやってられませんし。もっとも、結婚相手となると諦めて済む話じゃないだけに、難しいですが。とりあえず私から見てもその男はお勧めできないとしか……

POSTED_BY:einzbren @2004/12/14 12:59:17

子どもができたあたりで破綻するものと思われ。
無駄に訴訟をふやす必要はないと思うので、結婚する前にバトるのがよろしいかと。

POSTED_BY:tomo @2004/12/14 13:53:42

男の言ってることは論外としても、「何が何でも俺の腕だけで一生妻子を養ってみせる」という物理的には必然性はないんだけど発せられる意志みたいなものが、現代のロマンティックなのだろうか、とか思ったりしました。

POSTED_BY:chainsaw @2004/12/14 15:54:21

男女の仲は、割り切れたものでないので、彼女が魅力に感じる人を探してあげるくらいしないと、考えるだけ無駄かもしれない…

ちなみに、結婚して、子供が生まれたら、間違いなく、そういうオトコは、他に女をつくるはず。子供を生まないつもりなら、うまくいくかもしれないけど、子供が一人でも欲しいなら、それとなく話してみるのもいいかもしれない…

男女の仲には介入しない方がいいとおもう。どんなに、未来が見えてしまっても。ただ、その女性が管理人さんのことを好きだと思っているなら、話は別かも。あら、もっと大変か?

POSTED_BY:野猫 @2004/12/14 18:01:26

ん~、かわいいプライドだと思って、その銀行マンをお子様扱いすれば、勝手に扱われてくれるような人種な気もするが、まあ本人知らんから分からんわい。男女の機微は難しいし人間は矛盾を内包してるわけだし…とSEマンは安月給の共働き。

POSTED_BY:Noname @2004/12/14 18:58:04

皆様、すごい勢いでたくさんのコメントありがとうございます。

僕がこの相談を受けて心中悩んでいたのは、表面的な問題はもちろん男性側のダブルバインドな物言いにあるのですが、TBいただいたhiyohiyoさんおっしゃるとおり、実際のところ彼の価値観を否定するべきではないと思うし(世間のPCに少し外れていると思うだけで、それ自体筋の通った価値観だから)、それを修正できる良いアイデアも彼女に提案できなかったからです。

なんつーか結局のところ「それって2人の相性の問題でしょ」というところに行き着いてしまうのですが、問題はなぜ彼女がそういう彼と結婚までしようと思っているかということの方でして(汗)。その部分については正直よく分かりません。

最近、別のところでも似たような男性の価値観矯正を相談されて「んなことできるわけねーだろ」とむかついた経験もあったりしたので、ちょっと書いてみました。

POSTED_BY:R30@管理人 @2004/12/14 19:00:57

こういう現象を見聞きするたびに思うのだけれど、なんでお見合いしないんでしょね。親族なりが決めた縁談って、ものすごく楽なのになーって思う。特にそれができる家の人間と、そうでない人間が世の中にはあって、それは良家の子女の特権なんじゃないかなーっていつも思う。
女性とかいうものが現代の風潮のまま深化助長していけば、どうなるのかあんまりよく分からない(分かっても言いたくない気分)けれど、現在よくある問題点のひとつは、じゃあニートであるカジテツ男が今時の主婦と同じ程度のレベルである専業主夫として女性に養ってもらおうとしたところで、出産はできないし、それがゆえに親族からの目は強烈になっていかざるを得ないし、男には出血倦怠を伴う周期的な生理も無いし、既存の体制の中にも常識的であると認めざるを得ないものもあるので、個別案件っていうのは、興味を持ったりつまらなく思ったりしちゃうよね。
で、そういうことを無視して、なんか妙なヒステリーを起こす女性なんかとは、結局お話になんないんだよな〜っていう経験が、なんとなく非常に多い。ちょっと狂ってるのだろうか、ある種の人との接触って想像以上に不毛なんだよね。
良い人ばっかりじゃないみたいに悪い人ばっかりじゃないみたいにさ。
できる人、わかる人ばっかりじゃなくって信じられないくらいに出来ない人分からない人ってのが、あんまりにもクローズアップされまくってるのが、根本的に慢性的になっている飽食の代償だと思ってみたり。このあたりと平和人権ビジネスの呼応と売国奴に関わる防衛問題につながるところらへんが馬鹿馬鹿しい。嗚呼。

POSTED_BY: @2004/12/14 19:04:27

男女別別か、ふたり同時にカウンセリングを受けた方がいいんじゃないかと思います。
で双方でどうにか折り合いをつける。
もしくはすっぱり絶縁。

ここでやっちゃいけないのはふたり"だけ"で話し合うことでしょう。
記事中の男のように、相手をコントロールしたがる人間をコントロールして、
考えを変えさせようとするの不可能らしいです。

詳しくはこの本に

護身Hand Book―実用知識で危険を見抜く
bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9978155139

POSTED_BY:TF @2004/12/14 22:21:45

ゴリゴリの記事も期待してますが、今回のも好きです。
chainsawさんの言う「現代のロマンティック」。僕には無理だけどPCに騙されるよりはいいですね。
ただ、都合の良い仕事もなかなか無いように、エリートで物分りのいい結婚願望ありの独身男もなかなかいないのも現実なんじゃないかなー。「ここにいますよ。いい男が」という人はいるだろうけど。

POSTED_BY:eda @2004/12/14 23:18:59

>ぬさん
カジテツ男は主婦にはなりえない。既存の体制(女性が主婦)が常識的。個別の例外はどうでもよい。ということ??

>カウンセリングを受けた方がいいんじゃないか
それが一番いいと思います。だけど彼女から「カウンセリング行かない?」と言われて、行けるかどうかと、日本のどこに信用できるカウンセリングがあるかと言う問題がありそう。本に載ってんのかな?

POSTED_BY:eda @2004/12/14 23:26:10

ダブルスタンダード、って、このこと?
なーんて。
この男性は、「俺って、なんてリベラルなヤツだ」って、陶酔してるかもね。
でも、「やっぱり家庭に居てくれ」という現実的願いもある・・・

でもさ、「僕が仕事がんばるから、君は家庭のことをがんばってくれ」といわれたら、それはそれで、そんな男性のことを素敵だと思うかも。

自分も違う人と結婚していたら、仕事を続けようと思ったかどうか、考えてしまうよなぁ。

まずは、彼女が彼との結婚生活(or 同居生活)の未来予想図を考えてみて、それを彼と話し合うことではないでしょうか。

「どんどん仕事していいよ」と自由奔放にさせてもらいすぎて、ちょっと「家庭に入ってくれ」という言葉に憧れを持ってしまった女性より

POSTED_BY:りう @2004/12/16 8:37:01

男が馬鹿という意見ばかりで時代遅れな人が多いな。
いまどき結婚問題で男を叩いて女がかわいそうと庇う人間がいるのか。
結婚なんだから二人で意見が合意すれば結婚だし、しなければ恋人段階で分かれるだけなのに。
深刻ぶってる人たちの気が知れない。
本当は自分達の地位やステータスの話がしたいだけでは?

POSTED_BY: @2004/12/25 20:13:43

>結婚なんだから二人で意見が合意すれば結婚だし、
>しなければ恋人段階で分かれるだけなのに。
↑の これはちょっと暴論ですね。
個別の話を例に社会現象を語ることの否定にもつながってしまいます。

しかし確かに、都銀総合職同士の男女話でない以上、この話の争点の中心には
男女の問題でない問題もたぶんに含んでいるはずなのに、
すべてを男女問題に関連付けている人が多いように見受けられます。

もちろん、この都銀勤め君は確かにいけすかない野郎だなとは思います。
でもそれを、本人達の意識はどうあれ、男女問題における
「旧世代と新世代の価値観ギャップ」だけのストーリーにしていいんですか。
二人の持つ経歴や地位やステータスの差それ自体の持つ意味の重大さに
気づかないかあるいは見て見ないフリをしていませんか。

男女や夫婦でない純粋な人間の関係としてシビアに捉えれば、
都銀君の主張は冷徹な面が強すぎるにせよ、
むしろ個人主義・資本主義の文脈で語られる現代的な価値観に沿った
ごく当然の要求の一つと解釈することもできるんじゃないですか。
(市場経済様に、婚姻契約を恋愛市場上で解釈してもよいです。
あるいは互いの男性内・女性内における価値偏差の均衡を。
まあ恋愛市場論は個人的には胡散臭くて好きじゃないですけれども)

むしろこの銀行男にいやらしさがあるとすれば、
札束で人の頬をたたいたり、生まれ(or 学歴etc) で人の意見を評価することに固執する、
そういうのと大差ない次元のいやらしさではありませんか。

>本音を貫いて堂々と「女は子ども産んで家事だけやってろ」と、言い放ってほしいと思うのだよね。
ゼロサムゲームか何かですか。勇ましいけどナンセンスでしょう、それは。

POSTED_BY:スープ @2004/12/27 0:43:19

上の文は忘れて下さい。すいません。
こんなややこしい話以前に、
「相談された側としてそれってどうよ」な問題でした。

POSTED_BY:スープ @2004/12/27 1:57:19

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POSTED_BY:gooqfewzdz @2007/09/26 11:49:39

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