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2004/11/30

2004年11月のバックナンバー

「釜ゆでうどん」であること
再開後最初のエントリ。書くことの決意表明。

書評:「ビジネス・エシックス」
英米流のビジネスエシックスの起源を考える。

メディア・アートとは何か-「ART WIRED」イベントレビュー
多摩美大でのアートイベントのレポートと日本のアートシーンについての考察。

10年後のマンション価格
以前の記事の再掲。マンション価格はどう決まるかについて。

続・10年後のマンション価格
以前の記事の再掲。不動産価格と地域コミュニティーの関係。

ニートになりたい僕たち
未だに大量のPVを集め続ける傑作コラム。30代男性の雇用について。

誰か教えて
ゴミエントリ。

運命という才能
小此木啓吾「モラトリアム人間」から考えた、30代の職業観。

「ニートになりたい僕たち」への反応の感想
ニート論の続き。働くことの意味を答えられなくなっている現代社会。

湯川vs切込論争に思う、ネット・ジャーナリズム論の不毛
湯川氏と切込隊長へものすごい勢いで投げつけたうんこ。マスコミ批判の開始宣言。

「結婚したら負けかなと思ってる」
非モテ論とニート(非労働)論の接続。それらを許す親の存在がカギ。

人の死を直視するということについて
イラク人質処刑問題によせて。タイで出家した際の体験談。

はてなが住所登録義務化を撤回
速報エントリ。

はてなの将来と「参加型ジャーナリズム」
速報の後に考えた、はてなを使ったネットメディアについての難解な論考。

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2004/11/26

はてなの将来と「参加型ジャーナリズム」

 なんか前のエントリで「詳しくは週末に投稿します」とか言ってたら年末進行で忙しいはずの山本一郎@切込隊長がなぜかものすごい勢いで類似エントリを放り込んできたので、生煮えでも早くネタ提供しておくべきかなと思って参戦する次第。

 その前から湯川氏@時事通信のブログで「参加型ジャーナリズム」のための技術革新の話、それから報道ビジネス研究会のブログでも「特ダネ競争よりも配信経路にニュースの価値があるのでは」という、techdirtのサイトの投稿が紹介されていた。

 いやね、techdirtの話はね、もう分かってる人は分かってて、後は「誰がやるか」ってことだけなんですよ。えーと具体的に誰とか聞かないでね(笑)。今まで僕がやろうとしてきたこともまさにそういうことだっt(以下検閲削除)。そういう意味では「技術革新なんか別に要らなくて、そういうビジネスモデルを実際に企画してやるやつがいねーだけなんだよ」という切込氏の主張に全面的に大賛成するものであります。

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2004/11/25

はてなが住所登録義務化を撤回

 ついさっきメールが来ていた。リリースのリンクはこちら

 この件については僕もアンテナや検索を使っており、ダイアリーも利用を検討しているところだったので、かなり関心を持ってウオッチしていた。とりあえず法曹の専門家からでさえ疑問が唱えられていた一律義務化が全面撤回されたことで、はてなというコミュニティーが守れたことは良かったと思う。というか、おそらくコミュニティー崩壊の一歩手前まで行っていたのだろう。実際、アンテナしか使ってない僕でさえ逃げ出す準備をしていたぐらいだから(笑)。

 はてなについては、少しじっくりと語りたいことがあったのだけれど、この話題が落ち着かないことには…と思っていた。今週末にでも、はてなについて思うことを書いてみたい。

 まあとりあえずは近藤社長、大英断でした。お疲れさまとだけ、申し上げておきます。

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2004/11/24

人の死を直視するということについて

 大学生の時、とある事情からタイの田舎で出家した経験がある。

 日本では出家というとびっくりされるが、タイでは20歳になった男子は必ず1回は出家することが文化的風習だ。つまりタイ式「成人式」である。キリスト教の広まった最近のバンコクではそうでもないらしいが、基本的に出家したことのない成人男性は「未熟者」と見られる。また、女性にとって人生で最大の功徳(善行をなして徳を積むこと)とは、「息子を出家させること」とされている。

 僕は高校時代にも一度タイにホームステイしていたことがあり、実は出家は日本では決してできない自分のための「成人式」のつもりであると同時に、その時に僕を実の息子同様に可愛がってくれたホストマザーに対する恩返しのつもりもあった。もちろん、彼女は自分の息子が出家するのと同じぐらいに、僕の出家をたいそう喜んでくれた。

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2004/11/22

「結婚したら負けかなと思ってる」

 前回のニートの記事も、小難しい内容よりも先にタイトルが割と共感を呼んじゃったみたいなところがあったので、今回もタイトル先行で行ってみたいと思います(笑)。ネタ元はとくダネのあのニート君の有名なせりふ「働いたら負けかなと思ってる」から。

 以前のブログで「少子化の根本的原因は、子どもが小さいうちは母親が付き添っていないと精神発達が遅れるという『3歳児神話』にある」みたいな話を書いた。そのときは考えもしなかったことなのだが、どうも少子化とニートは、問題の根っこが同じところにあるらしい。

 前回の「ニートになりたい僕たち」で書いた話は、実はもう現実に先取りされていた。読売新聞の9月16日の報道によると専業主“夫”は7年連続で増加しており、昨年は96年の2倍に達し、ついに8万人を突破したとのこと(読売の元記事はもうネット上に存在しないので、このあたりのブログを参照)。要するに、男性と女性の立場がすごい勢いで入れ替わっているだけのことで、これからますます男もカジテツやらセンギョーやらになるわけだ。で、男性は子どもを産むことはできないんだから少子化進んで当然じゃん、みたいなアホくさい結論で終わりそうな気もする。

 というところで終わってもしょーがないので、今度はちょっと逆の側から、つまり女性が結婚しない理由について考えてみたい。

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2004/11/17

湯川vs切込論争に思う、ネット・ジャーナリズム論の不毛

 湯川鶴章氏@時事通信切込隊長氏との間で、ネットがリアル世論に比肩する世論を形成しうるかという話が議論になっている。「世論形成」の話が議論になっているはず、だったのに論点がだんだんとずれていき、結局「ネットのジャーナリズムはそれ自体として独立した(ネタ振りの)役割を果たせるか」みたいな方向に行き着いてしまった。なんだかなあ。

 議論を見ると、もともとの世論形成のメカニズムについては、さすがに切込隊長のほうが統計や投票行動分析などの知識を持っているだけあって、単なる印象論で語る湯川氏とは議論の精緻さが全然違うと思えた。特に、「世論」という、社会学的に定義すればそもそも狭いメディア業界の枠を超えたところに存在する言葉を、議論のきっかけになった最初のエントリに書いたという時点で湯川氏の論が「甘い」だけのような気がするのだけれどね。

 まあ、彼のブログは「あちこちに議論を誘発する」のが主たる目的なので、議論に勝とうが負けようが「切込隊長が議論を挑んできた」というだけで、既に彼自身の目的は達成されたも同然だと思うわけだが。

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2004/11/15

「ニートになりたい僕たち」への反応の感想

 先週の月曜日にアップしたエントリ「ニートになりたい僕たち」が、何やらものすごい反響を呼んだみたいだ。ちょうどasahi.comに、自分もニートになるんじゃないかと思いながら働いている若者のルポ記事が出たタイミングでもあり、それとセットになってブログ界の人たちなら誰でも知っている超有名ニュースブログに次々とリンクが貼られ、それ以外の個人ブログにもたくさん引用された。

 個人的には少々跳ねた「トンデモ論」を書いたつもりだったのだけれど、引用先のブログを見ると「実は私もニートになりたかった」っていうカミングアウト系、「そう言われれば確かにニートってカジテツのことじゃん」という膝打ち系、「ああ~俺達ってやっぱり割を食う世代なのね」というしょぼーん系など、割と肯定的な反応が多かったです。リンクしてくださった方々、どうもありがとうございます。

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2004/11/11

運命という才能

 「マスコミとコンサルの奴はモラトリアムを続けたいだけだ」と、いとーさんにコメント欄で一刀両断にされたものですから、倒れてもタダじゃ起きないのがポリシー(嘘)の僕としましてはこれも何かネタにしなきゃなぁと。

 そこで引っぱり出してきたのがこれ。故・小此木啓吾著『モラトリアム人間を考える』(中公文庫)。懐かしいね。1980年にブームになり、その後高校・大学の国語の受験問題にも頻繁に引用されるようになったこの本、R30の読者なら、読んだことはなくてもこのタイトルぐらいは聞いたことがあるはず。

 今になって読み返してみて、面白いことに気がつく。

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2004/11/08

誰か教えて

 このブログにはただの一言も「ゴッ●ル」って言葉を使ってないのに、来訪者の検索ワードに「ゴッ●ル」が入っているのはなぜ??誰か教えて。(つД`;)

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ニートになりたい僕たち

 知り合いの社長ブログ(笑)に、「ニートはほんとに問題か」っていうエントリが数日前に出た。IT企業の若い社員が「そもそも正社員って何?」と言っているという話、さもありなん。若い人には、正社員よりニートの方がライフスタイルとしてずっと親近感がある。

 NEET(Not in Employment, Education or Training:無業者)については、NHKが今年5月にクロ現で取り上げてからあちこちのブログで話題が沸騰したわけだが、「ニートなんて良くないよ!みんなちゃんと働かなくっちゃ!」という人の意見も、「ニートを生んだのは日本社会であって、彼らは悪くない」的な意見も、どこかぴんとこない。

 どうしてかなぁとずっと考えていたのだけど、何かもやもやして吹っ切れない。今のところ思いついたことを書きとめておこうと思う。

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2004/11/06

続・10年後のマンション価格

注)このエントリは08/11/2004 09:10:53 AMにアップしたものを日付だけ変えてそのまま再録しました、URLは変わっています。リンクされていた方はリンク先変更をお願いします。
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 昨日(といっても数時間前)に書いた、マンションの価値評価の続き。自宅用としてマンションを賃貸でなくわざわざ「買う」人にとっての価値とは何か、10年後に価値の下がらないマンションとは何かというお話です。

 前のエントリでも書いたように、もしこれからの人生に転勤や失業といった“不測の事態”が起きる可能性があって、しかも特定の地域に住み続けなければならないという縛りのない人(独身者とか片方が無職の子なし夫婦とか)だったら、住みたい場所を賃貸で借りて住んでいればいいだけのことだ。

 かつては賃貸住宅は分譲住宅に比べて品質が悪いとか言われていたが、公団(都市再生機構)の最近の賃貸マンションには一昔前の分譲並みクオリティーのものだってあるし、定期借家権制度の普及で、購入した分譲マンションや戸建て住宅が2~3年の短期で貸しに出されるケースも増えてきた。ライフスタイルに合わせて家を住み替えたいという人にとって、賃貸住宅の選択肢は確実に広がっている。

 ではなぜ人はマンションを買うのか。それは、ライフスタイルに合わせて賃貸を住み替えることでは解決できない問題があるからだ。

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10年後のマンション価格

注)このエントリは08/10/2004 11:32:55 PMにアップしたものを日付だけ変えてそのまま再録しましたが、URLは変わっています。リンクされていた方はリンク先変更をお願いします。
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 8月22日号のYomiuri Weeklyに「東西430駅マンション10年後の価格」という特集が載っていた。最近、住宅に関心を持っているので買って読んでみたが、例によってYWの空砲だった。不動産評価会社、東京カンテイのマンション売買データをもとに、「10年後に値下がりしにくいマンション」の駅を上位100駅までランキングしたというものだ。

 結論から言うと「下らない」の一言に尽きる。なぜかというと、10年後の価格下落率の予想方法というのが、「現在の新築価格と中古流通価格の単位面積当たりの差を求め、それを中古物件の築年数で割り、1年当たりの減価額の10倍を新築物件の単位面積当たり価格で割る」というものだからだ。

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2004/11/05

メディア・アートとは何か-「ART WIRED」イベントレビュー

 「メディア・アートとは何か?」という問いは、二重の意味で難問である。「アートとは何か」という、素朴だが非常に難しい問いの上に、「メディア」という言葉が引き起こす意味の限定・拡張が行われる。そしてその答えは、どんどんファイン・アートの定義からかけ離れ、ずれていってしまう。

 10月29日(金)、多摩美術大学上野毛キャンパスで行われた『ART WIRED-アートとテクノロジーが可能にする表現の最先端』という講演を見に行ってきた。この講演はリンク先を見てもらえば分かるが、アジア欧州財団(ASEF)という文化交流団体と、東京で現代アートのネットワーク・人材育成を進めるNPO「アーツ・イニシアティブ・トウキョウ(AIT)」の共催した、アーティストキャンプの一環として行われたものだ。

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2004/11/03

書評:「ビジネス・エシックス」

ビジネス・エシックス 1ヶ月以上も書かないとネタが大量にたまってしまうのだけれど、とりあえず書評から始めよう。最近気になっていたテーマ「ビジネス・エシックス(Business Ethics:経営倫理学)」で少し手ごろそうな本を見つけたので、手にとって読んでみた。「ビジネス・エシックス」(塩原俊彦著・講談社現代新書)。なぜこのテーマかというと、これが海外のMBAコースでは必ずといっていいほど履修科目になっており、日本のビジネススクールなどでもやらなきゃね、的な議論が起こっているという話を耳にしたからだ。

 読んでみた感想を一言で言うと(Amazonのレビューにも書かれているが)、これはお手軽なMBA的ビジネス・エシックスの入門書ではない。なぜ今米国でビジネス・エシックスの必要性が叫ばれており、しかるにビジネス・エシックスとはどういう学問なのかを根本から解き明かそうとしているからだ。

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2004/11/02

「釜ゆでうどん」であること

 再開後最初のエントリにまず、なぜ再開するのか少し考えを書いておきたい。

 もともとこのブログは、リアルでほとんど会えない友人に、僕が今考えていることを伝えるために始めたものだった。ただ、仕事柄ネットの世界の技術動向を理解していなければという思いもあり、「ブログ」というものがどんな影響を及ぼし得るのか自分で体験してみようという気持ちもあった。

 半年間ブログをやってみて感じたのは、ぶっちゃけて言うと「自分で思ったことを好き勝手に書ける場所があるって楽しいねえ」ってことである。知っている人は知っているから今さら隠し立てしないが僕はマスコミの片隅で飯を食っていて、普通の人に比べれば「自分で思ったことを書いて他人に読ませる」チャンスがべらぼうにたくさんある。それでもブログをやってみて、改めてそう思った。

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